40年続く戦略シムの新作『大戦略SSB2』では“40年前に原点回帰”している。いまや開発元には「3世代分のスタッフ」、超長寿ゆえの模索と挑戦を訊く
40年以上続く『大戦略』シリーズの開発元に、シリーズとチームの歴史や、新作に関する話を伺った。

システムソフト・ベータは、現代兵器ウォー・シミュレーション『大戦略』シリーズの最新作『大戦略SSB2』を2026年2月26日に発売する。対応プラットフォームはPC(Steam/Windows)PS5//Nintendo Switch 2/Nintendo Switch。
『大戦略SSB2』は、陸海空の兵器を指揮するシミュレーションゲーム『大戦略』シリーズの最新作だ。プレイヤーは戦車や戦闘機といった兵器ユニットを生産し、移動や攻撃などの指示を与え、基地を占領しながら戦場を掌握していく。前作『大戦略SSB』からシリーズの新展開と位置づけられており、本作では多数の新要素が盛り込まれている。
弊誌は本作を開発するシステムソフト・ベータの開発者にインタビューする機会に恵まれた。初代の『現代大戦略』は1985年に登場した作品であり、40年以上の間にどのように『大戦略SSB』へと至り、『大戦略SSB2』ではどのように進化したのかなどをお伝えしていく。
40周年を迎えた今になって1980年代に原点回帰
―― 自己紹介をお願いします。
黒木 孝行(以下、黒木)氏:
黒木と申します。本作のディレクターを担当しております。よろしくお願いいたします。
鶴田宗生(以下、鶴田)氏:
歴史担当者兼取締役の鶴田と申します。管理部の責任者も務めています。いわゆる古株で、システムソフト、システムソフト・アルファー、システムソフト・ベータと、長年にわたって『大戦略』などに関わってきました。実際はそれ以外の製品をメインで担当してましたが、現場にずっといましたので、『大戦略』の昔の話や、これまでの歩みについて、いろいろとお話しできればと思います。
平岡三知(以下、平岡)氏:
代表取締役社長の平岡と申します。立場上、優等生的なコメントをせざるをえない部分もありますが、遠慮なく突っ込んだ質問をしていただければと思います。
――前作から4年が経過して『大戦略SSB2』がついに発売を迎えますがシリーズや作風についてあらためてご説明をお願いいたします。
平岡氏:
まず私からシリーズの概要を説明します。『大戦略』シリーズは現代兵器を題材にしたシミュレーションゲームで、1985年に『現代大戦略』として発売されて以来、40年以上続いてきました。部隊を生産・編成し、補給を管理しながら、どの地形に配置するかを考えていく。さまざまな場面で状況判断や局面を読む面白さを味わっていただける点が大きな特徴です。
2020年にシステムソフト・ベータの体制になってからは、『大戦略SSB』シリーズとして展開しています。名前としては衣替えしていますが、『大戦略』シリーズの魅力はそのままに、遊びやすさや、ルールの分かりやすさなどを見直しております。初心者から長年のシリーズファンまで、幅広く楽しんでいただけることを目指したものです。
今回の『大戦略SSB2』では、マップ構造が大きく変化しています。前作は陸海空の3層構造でしたが、本作ではさらに2層増え5層構造になりました。このほかにも、全体として「考える要素」と「駆け引きの要素」をより増やしました。戦略を立てたうえで、状況を読み、考え抜く、という面白さをより味わっていただけるよう開発しました。

黒木氏:
過去にさかのぼると『大戦略』はシステムソフトで生まれ、その後システムソフト・アルファーでも数多くの作品が作られてきました。ただ、シリーズを重ねる中で要素の追加が続き、システムがどんどん複雑化、悪く言えば肥大化してしまった側面がありました。たとえば兵器ごとに60を超えるほど膨大なデータがあり、特殊能力も50種類近くある。詳しいお客様からは、そういった作り込みを評価していただいた一方で、新規のお客様が入りにくい状況が生まれてました。
そこでいろいろな要素を削ぎ落とし、オーソドックスな『大戦略』として、もう一度シリーズをスタートさせるというコンセプトのもとで生まれたのが『大戦略SSB』です。振り返ってみると1987年発売の『大戦略II』が、シリーズの根本的なシステムをすべて内包していました。海の層が追加されたことで、陸海空の兵器をプレイヤーが自由に使ってシミュレーションゲームを楽しめるというコンセプトが完成していたんです。
また、『大戦略II』の当時は私は入社前ですが、お客様からの反応もよく、雑誌のユーザー参加企画などもあり、『大戦略』が一番盛り上がっていた時期だったと思います。その『大戦略II』のコンセプトに立ち戻ったものが『大戦略SSB』です。

――『大戦略SSB』はいわば原点回帰した作品だったんですね。『大戦略SSB2』はどのようなコンセプトになってるのでしょうか。
黒木氏:
また過去にさかのぼりますが、1989年に発売された『大戦略III グレートコマンダー』(以下、『大戦略III』)は、空が2層に変化し、セミリアルタイム制というリアルタイムに近い方向へと進化しました。『大戦略』シリーズは紙のミリタリーボードゲームを電子化したいという、生みの親である藤本(藤本淳一氏)の発想から生まれた作品です。進化の過程として、より実際の戦場に近づけるために、紙のボードゲームではできないリアルタイムに向かうのは、当時としては必然でもありました。
ただ、その頃はリアルタイム制のシミュレーションゲームがまだ発展途上でもあり、『大戦略』シリーズはターン制で進化すべきなのか、それともリアルタイム制で進化すべきなのか、社内でも長く議論が続いてきました。リアルタイム化によって売り上げが伸びた時期もあり、評価が難しかった側面もあります。
一方で、後年になると「ターン制で遊びたかった」というお客様の声も多く聞かれるようになりました。そうした歴史を踏まえたうえで『大戦略SSB2』では、リアルタイム制として進化した『大戦略III』を、シンプルなターン制として再構築するというコンセプトとなっています。
――つまり2026年の今になって、1987年の『大戦略II』と1989年の『大戦略III』に、オーソドックスなターン制として回帰しているということですよね。凄いですね。
黒木氏:
そうですね。『大戦略』シリーズは、『大戦略II』の時点でシステムとしてはほぼ完成してました。また最近ではSteamを中心に、オーソドックスなターン制シミュレーションゲームがあらためて受け入れられる流れになっています。複雑な要素だとか、何かしらのギミックを乗せないと成立しない、という時代からは変わってきたと感じています。
そうしたターン制シミュレーションゲームの需要があることが判明したため、一度過去に立ち返り、あらためて『大戦略』シリーズとして需要を探っていく必要があるのではないか、という考えに至りました。
――なるほど。『大戦略SSB』の後に『大戦略SSB2』という流れだけを見ると、シリーズを知らない人は前作に少し要素を足しただけと感じるかもしれませんが、実際にはコンセプトレベルからゲームデザインそのものを模索されていると。
黒木氏:
そうです。まず、シリーズ過去作で追加されてきた要素は本当に必要だったのかというところから考え直しました。削ぎ落した結果として『大戦略SSB』が完成したので、そこから『大戦略III』では何が追加されたのかを見つめ直して、『大戦略SSB2』へと至っています。

『大戦略』は一人が持ち込んだインディーゲームだった
――システムソフト・ベータさまといえば、システムソフト、システムソフト・アルファーから続くかなりの老舗チームと認識しております。改めて御社の成り立ちをお聞かせください。
鶴田氏:
では私から、『大戦略』シリーズの補足もしつつご説明します。システムソフトは福岡を拠点に、九州大学や当時の九州芸術工科大学(現・九州大学芸術工学部)といった国立大学の関係者を中心に集まったメンバーによって生まれました。当時は、パソコンを学校で学ぶ時代ではなく、パソコンが好きな人たちが集まったかたちです。そこにボードゲーム好きのメンバーが入って、『珊瑚海海戦』というボードゲームの処理をパソコンに任せる作品をシステムソフトから発売していました。
こういう背景があり、生みの親である藤本がベースとなるゲームそのものを1人で作り上げ、システムソフトに持ち込んできたんです。それが初代『現代大戦略』として製品化され、1985年に発売に至ったという経緯です。
『現代大戦略』は陸空の2層でしたが、藤本の中では当初から海を含めた構想がありました。その後、『大戦略II』で海が追加されてシリーズは一度完成し、そこから先は新しい要素をどう足していくかというフェーズに入りました。世界各国で新兵器が開発されていたという時代背景もあり、そういった兵器やリアルタイム制などを導入して、ナンバリングとして拡張を続けていきます。
そして2001年の『大戦略VII』の開発中に、システムソフトからシステムソフト・アルファーへと体制が移行しました。アルファー時代には、シナリオ性を強化した『現代大戦略』シリーズが展開され、その時々の世界情勢を反映した作品が多く作られています。一方で、システムソフト・アルファーからのナンバリング作品は『大戦略VIII』のみとなっています。
2020年に日本一ソフトウェアの子会社として システムソフト・ベータとなり、もう一度ターン制の『大戦略』をしっかり作りたいという想いを、親会社や現会長からの理解も得て、新たなスタートを切ったのが『大戦略SSB』シリーズです。
――ありがとうございます。『大戦略』シリーズは時事性に注目が集まりがちですが、ゲームシステムそのものを何度も見直し、振り返りながら地道に作られてるんですね。
鶴田氏:
時事的な題材を扱うようになったのは、システムソフト・アルファー以降だと思います。システムソフト時代は、とにかく兵器が好きな人たちが集まっていました。かなりの兵器オタクで、一般の方が知らないような知識を当たり前のように持っているメンバーばかりでした。まだインターネットも普及していなかった時代に、海外の雑誌を取り寄せたりしてましたね。
そうした「兵器好きかつボードゲーム好き」という人たちが集まっていたのがシステムソフトの原点で、システムソフト・ベータの根っこにも残っていると思います。
――やはり皆さんミリタリーがお好きですか。
黒木氏:
私はにわか程度で兵器かっこいいなという程度です。
鶴田氏:
私は好きだとずっと言ってますね(笑)

――なるほど。スタッフとしてはミリタリーや兵器とかがかっこいいと思うところが根底にあると。
鶴田氏:
そうだと思います。でも今は戦争の仕方が変わってきて、兵器同士がぶつかる戦いというのはゲームの中だけでしか起きないものになってますね。
――確かに今はドローンを使うなど変化してますしね。
鶴田氏:
今の若い世代に、当時と同じ感覚を求めるのは難しいだろうなという思いはあります。兵器というのは相手を倒すためのものなので、「かっこいい」という言葉も使い方には気をつけなければいけないとは思うんです。ただ、当時はさまざまな要素をかっこよさの対象として見ていたというところはあります。
――ありがとうございます。黒木さんと鶴田さんは年齢が離れてる印象がありますが、現在のシステムソフト・ベータのスタッフ構成は、どのようになっているのでしょうか。
平岡氏:
だいたい三段階くらいの世代構成になっていますね。鶴田のようにシステムソフト時代から在籍している世代。黒木のように、システムソフト・アルファーから在籍している世代。そして、システムソフト・ベータになってから加わった世代です。私もシステムソフト・ベータになってから入ってきましたし、新卒で入ってきたメンバーもいます。おじいちゃんと孫は言い過ぎですが、それくらいの3世代のチームになっています。
戦略シミュレーション作品はライバルではなく仲間
――国内の戦争シムの歴史をずっと見てきた『大戦略』シリーズの開発者様から見て、今はどのような市場になっているのでしょうか。
平岡氏:
ストラテジー市場全体として作品数が増え、ジャンルとして成熟してきていること自体は、とても良いことだと捉えています。『大戦略』しかなかった時代から、ユーザーに多くの選択肢が生まれたというのはとても健全ですね。
黒木氏:
私個人としては、他社からミリタリー系のゲームが出ていることを、とても喜ばしく感じています。ライバルというよりも、仲間という感覚のほうが強いですね。
というのも、私は40歳なんですが、学生時代から20代にかけて、ミリタリーを題材にしたコンテンツは、かなり下火でした。関心を持つ人も少なく、ジャンルとしてはほぼ死んでいたと言っていい時代だったと思います。ゲームとしては、年に一度システムソフトやセガさんのシミュレーション作品が出たら喜んで買う、というような状況でした。そもそもミリタリーコンテンツが盛り上がっていないと、お客様にあこがれや興味を持っていただけません。
転機になったのは、私が30歳頃に『艦隊これくしょん -艦これ-』や「ガールズ&パンツァー」などミリタリーを題材にしたゲームやアニメがヒットし、それをきっかけにミリタリーという題材そのものが見直された感覚がありました。最近では若い世代の中にも、ロボットよりもリアルな戦車や戦闘機に魅力を感じる方が増えているように感じています。
そういう流れもあり、Steamでも兵器を題材にしたゲームが数多く登場しています。私たちはそれを競争相手というより、ミリタリーコンテンツを一緒に盛り上げていく存在として見ています。弊社はミリタリーゲームを主軸にしていますので、ミリタリー全体が盛り上がったうえで、その中で泳いでいければいいなと。そういう意味で本当に仲間というイメージですね。

――たしかに最近はSteamでもミリタリー系やストラテジー系のタイトルがかなり増えてる印象です。その中で、『大戦略』の強みや個性はどのようなものがあるとお考えでしょうか。
平岡氏:
『大戦略』の変わらない強みは、大きく二つあると考えています。1つ目は、現代兵器を題材にした「What if(もし~だったら)」です。実在する現代兵器を使って、もしもの展開をシミュレーションゲームとして楽しめる点です。「What if」の中には、現実でも緊張関係にある国や勢力同士の戦いが描かれる場合もありますが、それも数ある「What if」の中の一つに過ぎません。
2つ目は、プレイヤーごとに勝ち筋がまったく違うことです。同じマップでも、正面から力任せで押し切る人もいれば、逆に私なんかは損害を抑えながら、じわじわ進軍する戦い方が結構好きです。さまざまな勝ち筋が成立する点は、大きな個性だと思います。
鶴田氏:
開発側としての強みは、長年にわたって蓄積してきた兵器データと、それをゲームに落とし込むノウハウだと思います。本シリーズは、歩兵と戦闘機が出てきますので、現実の兵器性能をそのまま再現してしまうとゲームとしては成り立ちません。どういうスケールで、どのくらいのバランスにすれば面白くなるのか。その調整こそ『大戦略』がずっと向き合ってきた部分だと思います。
今回の『大戦略SSB2』でも、ゲームバランスの調整にはかなり力を入れています。シリーズ初期こそ開発プログラマーの思想が色濃く反映される部分も大きかったですが、40年間で現代兵器だけでもおよそ1200種類の兵器データが蓄積されました。それらの一つ一つをどのようにゲームに生かすのか。その経験とノウハウの積み重ねこそが、『大戦略』の一番の強みだと考えています。
――ということは同ジャンルのゲームがトレンドになっていても、自分たちのやれることをやっていこうと一貫しているのでしょうか。
鶴田氏::
基本的にはそういう考え方です。確かに今のトレンドを見ると、若い世代を中心に、3Dの兵器に搭乗して戦うようなタイプのゲームが好まれているのは事実だと思います。ただ、そういった方向性では、これまでの『大戦略』の概念とはやはり違ってきてしまう。
『大戦略』は、将棋と同じようなターン制で、司令官の立場で戦略を組み立てていくゲームです。生産や部隊配置、補給や進軍のタイミングまで考えることそのものを楽しんでもらう。そこは今でもこれからも大切にしたいと考えて、現在の『大戦略SSB』シリーズにつながっています。
――ありがとうございます。長い歴史のあるシリーズですが、そういう意味では情報発信の仕方はかなり今風ですよね。「トランプ級戦闘艦」の制作発表など、時事性のあるネタも積極的に取り入れられている。こうした取り組みは、鶴田さん周辺が主導なのか、それとも若いチームの発案なのでしょうか。
鶴田氏:
若いチームの方ですね。今の流行りや、どう見せれば届くかという感覚は、現場の若いメンバーのほうが圧倒的に鋭い。システムソフト・アルファーの頃は正直そこまでできていなかったので、今はかなり助けられています。
平岡氏:
「トランプ級戦闘艦」が流行っているかと言われると、正直そうではないと思います(笑)ただ、うちの強みは意思決定の速さですね。今は会議室にいますがすぐ隣に大部屋があって、開発・営業・管理部など全員が部署を越えて同じ空間で仕事をしています。メールやチャットも使いますが、「トランプ級戦闘艦」のときも「これ入れる?」「入れよう」くらいのノリで決まりました。さらに、それをどう発信するのかについても、さきほどの3世代がうまく噛み合っている。結果として、お客様を巻き込んで盛り上げるような情報発信もできていると思います。
――ベテランが多いなかでも、風通しのいい雰囲気なんですね。
鶴田氏:
同じ部屋でやってることもあって身近に接していますね。私は管理部の立場なので現場からは少し距離を取ってますし、これから新しいお客様に届けていくには、今の感覚を分かっている若い人たちの力がとても重要だと思っています。なので、私は一歩引いて見ています。
『大戦略SSB2』は戦術ではなく真の戦略ゲームに
――そうした若い世代による『大戦略SSB2』が登場しますが、改めて前作ではできなかったこと、新たに実現できたポイントを教えてください。
黒木氏:
陸海空の3層から5層への変化のほかに、大きく2つあります。1つは兵器データの全面的な見直し、もう1つは資源システムの拡張です。
まず兵器データについてですが、弊社には長年蓄積してきた兵器データがあります。今回はそれを参考にしつつも、登場するすべての兵器のパラメーターをバランスを考えて再設定しています。理由としては、現実の兵器は製造年代によって価格が変わるためです。たとえば1990年代には最新だった戦闘機は当時としては高いですが、現代の視点では旧型のため安くなる。一方でゲームとしては、最新兵器と旧型兵器が当時の価格で設定されていた部分がありました。
そこで今回は、現実の生産価格よりも、ゲーム内での強さを基準に生産コストを見直しました。この価格ならこれくらいの性能だろうと直感的に理解できるようにすることで、兵器に詳しくない方でも判断できる。純粋なシミュレーションゲームとしてのバランスを重視してパラメータを設定したんですね。これまでの『大戦略』シリーズは、現実に安くて強い兵器が強すぎるという意見もありました。そういった面もあって、シリーズとしてバランス優先で調整するのはほぼ初の試みでもあります。
資源システムについては、従来の「軍資金」に加えて、「燃料」と「工業力」という要素を追加しています。軍資金は兵器を作るための資源です。燃料は兵器を動かすために必要な資源で、製油所を占領しないとどんどん枯渇していきます。
工業力は生産拠点を稼働させるために必要な資源です。初期は首都から一定範囲内の基地でしか生産できませんが、工場を占領して工業力を上げることで、首都から離れた基地でも兵器を生産できるようになっていきます。これまでは基地を占領していけば前線を押し上げることができましたが、工場を守ったり、遠くの工場を取りに行くといった、マップ全体を広く見る戦略がより重要になりました。力押しだけでは攻略が難しくなるような、別の駆け引きが生まれています。
もちろん兵器の種類も増えていますが、今回の『大戦略SSB2』では、兵器パラメーターの見直しと、3種の資源を軸にした戦略性の変化が大きいです。

鶴田氏:
少し補足すると、資源自体は『大戦略II』や『大戦略III』の時代にもありました。ただ、今回導入した工業力は、過去作にはなかった新しい要素です。過去の流れを踏まえたうえで、今の形に再構築したという位置づけですね。
――ありがとうございます。既存のゲームに要素を足したというより、核となるゲームループにエッセンスが加わっている印象があるので、体験としても結構変わりそうですね。
黒木氏:
そうですね。まず初見で「違う」と感じさせずに、進めていくと今までの戦い方が通用しないという感覚になることを目指しました。従来の感覚で遊ぶと、意外とこれまでの定石ではクリアできなかったりして、自然と別の戦略を考える必要が出てくる。そういう意味では、前作とはまた違った楽しみ方、成長の仕方ができる作品になっていると思います。
鶴田氏:
資源が軍資金のみで兵器の運用だけでは、『大戦略』と言いながら実際は“大戦術”になってしまうんですよね。今回追加した資源の考え方は、本来の意味での“戦略”にあたります。そういう意味では、『大戦略』という名前にふさわしい要素と言える部分です。
――戦術と戦略はやはり違うものですか。
鶴田氏:
違いますね。戦略というのは、もっと大局を見る考え方です。たとえばどこに兵器を配置するのか、資源をどのように確保するのか、どれくらいお金を配分するのか、そういった大きな判断が戦略です。一方で戦術は、もっと局地的な話です。たとえば戦闘機には対空ミサイル、戦車には対戦車ヘリを向かわせる、といった部隊同士の組み合わせで勝つための判断ですね。
実際、最終的な勝敗を決めるのは戦術であることが多いです。だから兵器同士で戦うゲームになると、どうしても戦術重視になってしまう。昔はお客様からも、これは“大戦術”だよねと言われたこともありました。戦略をゲームに落とし込むのは難しい部分でもありますが、今回『大戦略SSB2』では、戦略を分かりやすく表現したものとなっています。
――最後になりますが、40周年を迎える『大戦略』シリーズは、今後どのような方向へ進んでいくのでしょうか。今回の新作発売にあたってのメッセージと、システムソフト・ベータとしての今後の展望をお聞かせください。
鶴田氏:
『大戦略』については、今の若い開発スタッフにしっかりと託して、この方向性のままさらに伸びていってほしい。それが率直な思いですね。
個人的な話ですが、私は『大戦略』をがっつり担当してきたわけではないんです。システムソフト時代に最初に担当したのは『エアーコンバット』というフライトシミュレーターで、その後は『ティル・ナ・ノーグ』というRPGに長く携わっていました。どちらもシステムソフトの中で生まれたタイトルなので、もし生きているうちに、もう一度製品として世に出ることがあれば嬉しいですね。
黒木氏:
『大戦略』シリーズの良いところは、陸海空の兵器を自由に編成し、指揮官になったつもりで戦略を組み立てて遊べる。その楽しさだけは絶対に変えたくない部分で、継承していきたい部分でもあります。
これから先、グラフィックがさらにきれいになったり、兵器の表現がもっとかっこよくなったりと、進化していくことはあると思います。でも、根本の面白さはすでにある。そこは変えずに、少しずつ進化させながら、これからもお客様に届けていきたい。それが私の目標です。
――ありがとうございました。
『大戦略SSB2』はPC(Steam/Windows)PS5//Nintendo Switch 2/Nintendo Switch向けに2月26日に発売予定だ。
[聞き手: Ayuo Kawase]
[編集: Hideaki Fujiwara]
[執筆・編集: Haruki Maeda]
この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。


