スクエニ騙し合いマルチ『KILLER INN(キラーイン)』では、人狼がバレても“力”で圧倒できる。推理×殺し合いの “マダミス風”アクションを、羊・狼の両視点からお届け

本作でプレイヤーは、多数派の羊チームと少数派の狼チームに分かれて戦う。最大24人でプレイ可能で、羊チーム16人・狼チーム8人の人数構成となっている。

スクウェア・エニックスは2月13日、マルチプレイ向け推理対戦ゲーム『KILLER INN(キラーイン)』の早期アクセス配信を開始する予定だ。対応プラットフォームはPC(Steam)で、価格は税込1200円となる見込み。

『KILLER INN』は、いわゆる「人狼ゲーム」を題材にした非対称型チーム対戦アクションゲームだ。本作でプレイヤーは、多数派の羊チームと少数派の狼チームに分かれて戦う。最大24人でプレイ可能で、羊チーム16人・狼チーム8人の人数構成となっている。

どちらの陣営も、相手チームの全員を排除すれば勝利となる。しかし本作には、通常の人狼ゲームに見られるような議論や投票のフェイズは存在しない。推理を進めながらも、最終的にはシューティングアクションによる命の取り合いで決着をつけなければならない点が大きな特徴である。

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このたび弊誌は、早期アクセス配信に先駆けて開催された本作の合同試遊会に参加する機会に恵まれた。犯人探しの推理と実力による殺し合いが交錯する本作は、独自の「マーダーミステリーアクションゲーム」として非常にスリリングな内容に仕上がっている。今回の試遊では、これを羊チームと狼チーム双方の立場から体験することができた。本稿では、それぞれの視点でプレイした感想をお伝えする。

名探偵にも屍にもなり得る羊は、常にハラハラ

羊チームの勝利条件は、狼チームを全員排除すること、あるいは制限時間内にマップから脱出することである。狼を特定するためには、羊たちによる証拠集めが不可欠だ。発見した死体を調査し、現場に残された手がかりをもとに犯人を絞り込んでいく。一方、脱出を目指す場合は、フィールド各所に出現する強敵「ガーディアン」を倒して鍵を集めなければならない。

いずれの目標に向かうにしても、まずはNPCから受注するクエストをこなすことが行動の基本となる。クエストの達成によってキャラクターのレベルを上げたり、得られた報酬をもとに武器や防具などのアイテムを取り揃えたりすることが可能だ。クエスト自体は、指定された品の収集やパズルなど手軽にクリアできる内容が中心で、さくさくと強化を進めることができた。

プレイヤーの探索や戦闘を補助するアイテムの種類は非常に豊富である。ショップでは銃や医療キットを購入できるほか、引き出しや宝箱からもランダムに装備を入手可能。これらは作業台でアップグレードすることもできる。アイテムが手に入る機会は多いため、使いこなせるようになれば立ち回りの幅がぐっと広がりそうだ。しかし、その種類の多さゆえに今回の試遊では個々の性能を把握しきれず、十分に活用することができなかった。早期アクセス版では繰り返しプレイすることで、それぞれの効果や使い分けをじっくり確かめたいところだ。

自分が装備を整えている間にも、事件は着々と進行していく。死体の発見やガーディアンとの戦闘といったイベントが発生すると、画面中央に通知が表示され、対象地点を追跡できるようになる。マップ画面だけでなく、フィールド上にも目的地までの距離と最短ルートがマーカーで示されるため、入り組んだ古城のステージであっても迷いにくくて助かった。

死体の発見場所に向かうと、髪の毛や衣服の切れ端といった証拠を入手できる。たとえば黄色の布片が見つかれば、黄色の衣服を身につけたキャラクターたちが容疑者として浮上する。こうした調査を重ねることで、犯人を特定していくのだ。なお、得られた証拠は自動的に記録されるうえ、決定的な手がかりが揃えばシステム側が犯人を「狼確定」と通知してくれる。プレイヤーが詳細を記憶しておく必要はないため、自身はフィールドの探索に専念することができた。

なお、調査結果は自分のみが知り得る情報であり、他のプレイヤーには表示されない。たとえ狼を特定できたとしても、その情報を把握しているのは基本的に自分だけだと考えて動くべきだろう。さらに、周囲には別の狼が潜伏している可能性もあるため、安易に他者を頼るのは危険ですらある。その結果、羊が多数派であるとはいえ、単身で動かざるを得ない場面も多かった。狼を排除するには直接攻撃を仕掛けるほかないため、1人で突撃する際はいっそう緊張感が高まる。だが、犯人を特定すると自身の攻撃にバフがかかる仕様は心強く、行動を後押ししてくれる要素となっていた。

本作において、狼を排除できるかどうかは自身の腕にかかっている。相手が明らかに狼でも、銃撃戦に負ければあっけなく返り討ちに遭ってしまうのだ。試遊では、特定した狼に狙いを定めていたところ、近くにいたプレイヤーも実は狼で、挟み撃ちにされて倒されたことがあった。今すれ違った相手が、突然銃口を向けてくるかもしれない。そんな疑念を抱えながら進める探索は、まさにスリルに満ちていた。それぞれの羊は、狼の正体を見破ろうとする探偵役であると同時に、いつ襲われて被害者になってもおかしくない立場に置かれている。犯人を推理する緊迫感と、命の危険にさらされている不安が重なり、終始気の抜けない時間が続いていた。

このような焦燥感から先制攻撃を仕掛けると、相手は無実の羊で、同士討ちペナルティによって自滅してしまったこともあった。本作では、羊が誤って他の羊を殺してしまった場合は、攻撃した側が即座に排除されてしまうのだ。こうした羊同士の疑心暗鬼は、結果的に狼サイドを利することになる。とはいえ、仲間の羊の数が次々と減っていく状況では、どうしても焦りが生まれてしまうものだ。こうした羊側の葛藤は、ゲームの駆け引きをより面白いものにしていると感じた。

そして羊には、根気強く脱出ルートを目指すという選択肢もある。ガーディアンを倒して手に入れた鍵でゲートを開き、錨を上げて船を出せれば脱出成功だ。しかし、そのためには船着き場への集合や出航準備といったタスクを、制限時間内に完遂させなければならない。さらにゲーム終盤になると、羊チームの人数は狼の襲撃によって減っているのが常だ。生存者が少なすぎたり、準備にもたついたりすると、それだけで脱出ルートの確保は極めて困難になってしまう。実際、最後の1人となった羊が脱出を試みたものの、錨を上げている最中に襲撃されて敗北するという場面もあった。その点については、少人数でも状況を打開できるような救済措置があっても良いのではないかと感じた。

人狼らしい心理戦と、力でねじ伏せる強さを備えた狼

次に、狼チームの視点から見ていこう。狼チームの勝利条件は、羊チームを全滅させることだ。序盤は羊チームと同様にクエストをこなし、装備を揃えていくことになる。羊たちと同じ動線で動き、ときには協力してガーディアンを倒すなど、善良な味方を演じて疑いをかわすのが定石となるだろう。

しかし、ただ潜伏していれば良いわけでもない。それぞれの狼は、ゲーム開始以前で既にNPCを1人殺したことになっており、その死体がフィールドのどこかに放置された状態からスタートする。羊に死体を調査されると証拠を回収されてしまうため、自ら現場に赴いて「証拠隠滅」をおこなわなければならないのだ。これは狼専用のアクションとなる。序盤から能動的な立ち回りが求められる点が、狼サイドにも一定の緊張感を生んでいた。

やがて装備が整い、状況的にも相手を倒せると判断したら、羊の排除を進めていく。無防備なプレイヤーに突然襲いかかるときは、人狼としての襲撃をこの上ない臨場感をもって体験することができた。もし他の羊に正体がバレたとしても、そのときはそのときだ。居直って銃撃戦を制し、力で黙らせる覚悟が求められる。

狼側は通常の人狼ゲームと同じように、仲間の狼を判別できる。つまり、全プレイヤーの陣営を把握した上で立ち回れるというわけだ。複数の狼が羊を包囲する構図を作れた瞬間には、思わずニヤリとしてしまう。こうした優位を保ったまま、一気にパワープレイに持ち込むことも可能だ。仲間の位置や行動が分かる分、狼チームの方が連携して動きやすい印象を受けた。また、単独で行動する場合でも頼りになるのが、ショップで利用できるプレイヤー追跡機能である。任意のプレイヤーの現在地を追うことができるため、獲物の羊を追い詰める上で強力なツールとなってくれた。

本作には、プレイヤー同士の位置、距離、空間を反映した立体サウンドのボイスチャットが搭載。プレイ中には、羊からボイスチャットを通じて「〇〇が狼だ!」と告発されることもある。しかし、その発言が必ずしも信じられるとは限らない。狼があえて羊を犯人だとでっち上げて、場を混乱に陥れることもできるからだ。人狼ゲームらしい心理戦が、アクションと並行して繰り広げられるのである。

何度でも遊べるマーダーミステリーの体現

本作では、相手の正体を暴いたり欺いたりするだけでは勝利できない。羊であっても狼であっても、相手を物理的に排除しなければならず、結局は力がものを言うのだ。そのため、「狼確定だから吊って終了」や「狼と羊が同数で狼の勝ち」といった定型的な展開にはならない。最後まで一人ひとりの判断や立ち回りが勝敗の行方を大きく左右し、プレイのたびに異なる結末が待ち受けている。その予測不能な展開こそが、本作の醍醐味となっている。

ゆえに、人狼や推理ゲーム特有のスリルを求めるプレイヤーにはもちろん、シューターにおける実力に自信がある方にも本作をおすすめしたい。たとえ推理に自信がなくても、己の腕一つで戦況を一変させられるだけの柔軟さが本作には備わっているからだ。

謎を生み出すのも、それを解き明かすのも、すべてはプレイヤー自身のアクションに委ねられている。遊ぶたびに異なるドラマが生まれる本作には、人狼ゲーム特有のリプレイ性と、何度も遊びたくなるPvPとしての中毒性があると感じた。

そんな本作は、今月13日に早期アクセス配信を開始する予定だ。正式リリースに向けた開発段階のバージョンである早期アクセス版では、プレイヤーおよびコミュニティとの交流を通して直接フィードバックを受け取ることを目的としているという。今後の開発によって、内容がさらに洗練されていくことだろう。また、今回の試遊を通じて、プレイを重ねるほどに戦術の幅が広がっていく可能性を強く感じた。多くのプレイヤーの手に触れた先に、本作がどのような完成形へと磨き上げられていくのか、製品版を遊べる日が今から楽しみである。

『KILLER INN(キラーイン)』は2月13日より、PC(Steam)向けに早期アクセス版が配信予定だ。

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Niki Jinnouchi
Niki Jinnouchi

RPGやシミュレーションゲームをよく遊びます。一人でまったりプレイするのが好きです。

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