Steamでは2025年「新作が2万本以上に増え、“成功”したゲームも3%に微増した」とのアナリスト分析。“物語系ゲーム”の躍進傾向も
2025年のSteamでは2万タイトル以上に増加し、そのうち成功したゲームの割合も前年からわずかに増加していたという。

ゲームマーケティングアナリストのChris Zukowski氏は1月27日、自身のブログで2025年のSteam市場を振り返る分析記事を公開した。同氏は、年間2万本超の新作が投入される厳しい市場環境を前提としつつ、ユーザーレビュー1000件以上に到達した作品の割合が、2025年には前年からわずかに上昇へ転じた点に注目している。あわせて、“成功作”がどのジャンルに多く見られるのかもデータから考察されている。
SteamはValveが運営するPC向けゲーム配信プラットフォームで、インディーからAAAまで幅広い作品が集まるゲーム市場だ。利用者規模は年々拡大しており、2025年3月にはピーク時の同時接続ユーザー数が4000万人を突破していた(SteamDB)。加えて、新作のリリース本数も年々増加しており、Zukowski氏の分析によると、2025年にSteamでリリースされた新作は2万282本に上ったという。同氏はこうした状況を踏まえ、Steam市場は拡大を続けている一方で、1本のゲームがユーザーの目に留まり、継続的に遊ばれるまでの競争は激しさを増していると指摘している。
Zukowski氏は、こうした厳しい競争環境を前提としたうえで、レビュー1000件以上への到達率に注目している。Steam市場における「成功」をどのような指標で捉えるかについてはさまざまな観点があるが、しばしばレビュー件数が用いられる例はある(関連記事)。一定のレビュー件数があれば有意なエンゲージメントを獲得しており、売上やプレイヤー数などほかの指標でも良好な結果が出ているであろうという考え方だろう。
“成功”の割合とジャンル別傾向
Zukowski氏が示したデータを年別に見ると、2022年は2.74%、2023年は2.56%、2024年は2.44%と、ここ数年は緩やかな低下が続いていた。しかし2025年は、2万282本中608本がレビュー1000件以上に到達し、到達率は2.99%となっている。依然として成功に届く作品は限られた割合にとどまるものの、前年まで続いていた低下傾向はいったん止まり、数値はわずかながら上昇へ転じたのだ。

では、その変化は市場全体に均等に現れていたのだろうか。Zukowski氏の分析では、レビュー1000件以上に到達した作品数をジャンル別に整理することで、“成功”がどこに集中していたのかを分析している。2025年にもっとも多くの成功作を生んだジャンルはナラティブで、該当作品は51本にのぼった。続いてシミュレーションが43本、ホラーが39本となっており、この3ジャンルが成功作数の上位を占めている。さらにRPGが28本、アイドル/インクリメンタルが27本、ローグライクが22本、性的コンテンツが21本、マルチプレイヤーシューターとシューターがそれぞれ21本、マネジメントが19本と続いた。
その反面、同じ年に多数の作品がリリースされているジャンルの中には、レビュー1000件以上に到達した作品がごくわずかにとどまっているものもある。成功作の総数自体が限られるなかで、2025年は成功が繰り返し確認されるジャンルと、ほとんど成功例が見られないジャンルとで分布に差が生じていたことがうかがえる。

成功作の分布を、総リリース数に対する割合で見ると、ジャンル間の差はさらに明確になる。Zukowski氏の分析によれば、2025年はオープンワールド型サバイバルクラフトが72本中15本で、レビュー1000件以上到達率は20.8%と突出して高かった。農業も60本中5本で8.3%となっており、比較的高い水準にある。
そのほか、ローグライクデッキ構築は212本中11本で5.1%、シミュレーションは1048本中43本で4.1%、マネジメントは549本中19本で3.4%、ホラーは1208本中39本で3.2%と、いずれも全体平均の2.99%を上回っている。これに対し、パズルは4022本中14本で0.34%、2Dプラットフォーマーは1658本中3本で0.18%にとどまっており、同じSteam市場の中でも、ジャンルによって“成功”に到達する割合は大きく異なっていた。

ナラティブ系作品の躍進
2025年のSteamにおいて、レビュー1000件以上への到達率ではオープンワールド型サバイバルクラフトなどが高い数値を示していた一方で、到達した作品数そのもので見ると、もっとも多かったジャンルはナラティブだった。Zukowski氏の分析では、2025年にナラティブとして分類された成功作は51本にのぼっている。また同氏は例年同様の分析をおこなっており、2022年から毎年レビュー1000件以上のナラティブ系ゲームの本数が増えている。

同氏はナラティブを、ビジュアルノベルや推理系作品、実写映像を用いた選択肢主導型のゲーム(いわゆるFMV作品)など、ストーリー体験を主軸とするゲーム群として整理している。FMV作品は中国など非英語圏で制作されたタイトルが多く、従来は英語圏に届きにくい傾向があったが、2025年は英語翻訳対応が進んだことで、より広いユーザー層に届く作品が増えたことが、成功数の増加につながった可能性があるという。また近年ではSteamの中国語ユーザーが英語ユーザーに肩を並べるほど増加しており、主に中国語ユーザーからの人気を博すFMV作品がヒットしやすい土壌があることも垣間見える。なお同氏の集計ではFMV作品は19本だったそうで、それらを除いた場合でもナラティブ系ジャンルは32本と上位に位置しており、ストーリー主導型のゲームが継続的に一定数の成功例を生んでいることが確認できる。

このように、Zukowski氏の分析では、特定のジャンルに成功作が集まる傾向が数字として示されている。ただいずれにせよ同氏が基準とするユーザーレビュー1000件以上に到達する作品は、2025年のSteam市場でもごく一部に限られていることが分かる。そもそも“成功”の定義は開発チームの規模などによって異なり、レビューが1000件に到達しなくとも開発費を回収したり、次回作の開発に必要な売上を得たりしている作品も存在しうる点にも留意したい。同氏を含めSteamにおいて“成功”している作品の分析はさまざまな観点からおこなわれており、今後もその傾向は注目されそうだ。
この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。



