『仁王3』先行プレイ感想。チーニンが送る戦国死にゲー最新作は、自由度も過去作の知見も山盛り。ストレスフリーな死にゲー体験

『仁王3』には、Team NINJA作品たちのDNAがどのように注ぎ込まれているのだろうか。

前作から6年を経て、遂にベールを脱いだ戦国死にゲー『仁王3』。6年の間に生み出されたTeam NINJA作品たちのDNAがいかに本作へ注ぎ込まれているのだろうか。このたび本作の序盤に関して先行プレイすることができたため、筆者が序盤をクリアして、作品に対し感じた印象をまとめていこうと思う。なお、本誌では後ほど、ゲームクリア時点における作品レビュー記事を掲載予定である。

『仁王3』はコーエーテクモゲームスが開発、販売を担当するアクションRPG。戦国死にゲー「仁王シリーズ最新作」となる。発売日は2月6日。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5である。

今回の物語は後の徳川家光である竹千代を主人公に据え、時代を遡りながら妖魔による歴史の歪みを正す物語となっている。

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※今回、筆者はPS5版をプレイしていることに留意してほしい。

スタジオ過去作の知見が活かされたオープンフィールド

『仁王3』において一番の目玉となるのはステージ制のほぼ撤廃と、広大なフィールドを通じた探索体験である。構成としては、妖魔をはじめとする、さまざまな敵たちが散らばる広々とした空間と、敵と地形がロジカルに(たとえば、狭い足場に浮遊する敵、場所の最奥に大ボスなど)配置された空間の複合になっている。フィールドは地域という形で区画が分かれており、探索するにあたってプレイヤーキャラの推奨レベルが設定されている。

レベルの低い順に区画を巡り、敵を倒して己を鍛え、すべての区画を巡り終える頃になると、メインの物語を進行する上でちょうどいいレベルに成長している、という設計になっている。メインの物語に関してもなるべくフィールドの区画をシームレスに利用する内容である。

広大なフィールドがあるにも関わらず、プレイヤーを「順路」に誘導する標識がある……。ともすれば、「令和の時代にこの仕様?」と疑問を抱いてしまう人もいるだろう。しかし、筆者としてはあまり気にならなかった。というのも、1つの区画にさまざまな戦闘体験が詰め込まれていたからである。もとより『仁王』シリーズはボス戦以前にキャラクターの操作が非常に楽しいゲームだ。

戦闘において活用可能なコマンド技が数多く、それらを1つずつ使いこなせるようになるたびに戦闘体験が変化していく。ステージ制を撤廃し、「スタートからゴールへ向かう」強制力が薄れ、無駄にウロウロできる探索体験が用意されたことで、この変化を楽しめる機会が増えたことが嬉しい。よって、「好きなボス戦にいきづらい、ダンジョンに行きづらい」といった、ご褒美に対するお預けを受けている感覚はあまりなかった。

また、結局のところ本作はステータスビルディングと同程度にプレイスキル重視のゲームでもあるため、推奨レベルを無視することも可能である。本作は広大なフィールドを用意したことで、無視するという態度も自然なものとして尊重されているように思う(とはいえ、筆者としては「推奨レベル」という表記は誘導されているように感じてしまい、目標設定の指標として便利ではあるが、好みではない)。

フィールドに用意されている戦闘体験の中身としては、シンプルに雑魚の強化版や、中ボスクラスの敵と戦える場所がある一方で、小地獄という、連戦を強いられる場所もある。先述したように、大ボスと戦える場所もある。フィールド内の強敵に遭遇した際、いったん引き返して気分転換できるのも、オープンなフィールドが導入されたことによる変化である。戦闘と戦闘の隙間を埋めるように、木霊探しや宝箱探し、すねこすりといった収集要素が、新アクションであるジャンプを活かした清涼剤として存在している。

プレイヤーがすべての区画を回り切ることを想定しているため、区画の1つ1つは「比較的小さめのマップ」に、各要素が「全部触れられるボリューム」で敷き詰められている印象だ。探索度が進むと未発見要素が開示されるシステムも含めて、『Ghost of Yōtei』など、同系統のゲームで近年採用されている流行のデザインである。探索要素をコンプリートできない状態を軽減するという、ユーザーへのストレス対策に効果的なのはもちろん、本作も引き続き、収集も含めあらゆる行動がステータスUPやボス攻略の易化に直結しているため、進行に詰まった際、攻略計画を練り直す指標にもなる。

区画によってはサイドクエストが存在する場所もあり、クエスト中にはロケーションを活かした物語体験を楽しめる。海辺でダイダラボッチを鎮めたり、井伊家の城に乗り込んだりする小話がある。フィールドを用意したことにより生まれたメリットに関して、特に筆者が興味深いと思ったのは、物語とゲームプレイの一体感が増強したことだ。

『仁王』時点では物語と作品の根幹となるゲームプレイの融合がほぼなかった。ステージを選ぶ大義名分でしかなかった。『仁王2』では分岐の概念が登場したものの、「進化した」と言えるほどではなく。やがて開発チームは『Rise of the Ronin』に辿りつき、勢力や因縁という形で一体感を生み出してはいたものの、作品の根幹となるオープンワールドアクションとは別個の体験であった。

今回、巨大なフィールドを用意し、ステージ制を事実上なくしたことで、プレイヤーの長期にわたる探索体験と歴史上の出来事が自然に接続し、開発陣の持つアートスタイルの魅力も相まって、没入感のある「時代を彷徨う」物語体験が成立するに至っている。

サムライとニンジャで「仁王」となる

次に触れるのは本作の戦闘システムだ。『仁王3』では既存の気力(俗に言うスタミナ)を消費して行う近接戦闘+陰陽術による遠隔攻撃といったスタイルが、サムライスタイル+ニンジャスタイルという形で、それぞれ完全に独立。戦闘中に2つのスタイルを切り替えながら戦っていく。武器種も「忍刀』などスタイル専用のものが用意されており、手斧や鎖鎌などがニンジャスタイル専用に移行している。そもそも、この『仁王』というシリーズは侍と忍者で戦っていくことをコンセプトの1つとして掲げていたゲームであり、本作にてようやく実現した形である(過去作では二人のキャラクターが物語にてバディのような関係性にあることに留まっていた)。

サムライスタイルは近接戦闘を得意とし、ニンジャスタイルは高速起動を通じて間合いを自在にコントロールしながら、空中戦や手数で戦うことを得意とする。そして、この2つを戦いの中で使い分ける「必要性」はあまりない(ニンジャスタイルで空中戦をしてくれ、というザコ敵はいるが)。本作では両スタイルの防御行動が極めて強力かつ、得意とする戦術の遂行を後押しするものであるため、「好きなスタイル」で戦っていける。サムライスタイルは同開発スタジオが手掛けた『Wo Long: Fallen Dynasty』、『Rise of the Ronin』を彷彿とさせるジャストタイミングでのガード「捌き」を通じて敵に張り付くことができ、ニンジャスタイルはジャストタイミングでの回避を通じて間合いをコントロールする。

基本的な操作感について、サムライスタイルは快適な立ち回りを実現している。回避とガードを織り交ぜながら戦っていた旧作と比較すると、「捌き」(成功で気力と技研ぎゲージ上昇)が極めて強力であるため、敵のモーションに行動が制限されずらく、武器ごとの得意とする動きを押し付けやすくなっている。たとえば、本作から登場する新武器「斧」は一撃が重いぶん気力消費も激しく、隙も大きい。しかし、「捌き」を駆使しながら戦うことで、しっかりと気力を回復しながら「技研ぎ」状態の強化攻撃を叩き込んでいける。手数武器であり、リーチの短い「手甲」は身軽な軽装状態で使いたいが、「捌き」のおかげで軽装による低防御のリスクをあまり気にせず戦える。傾向として、サムライスタイルはプレイヤーに近づいて攻撃してくる敵に有利な印象だ。

一方、ニンジャスタイルは先述したジャストタイミングの回避(成功で気力と忍術ゲージ上昇)に加え、攻撃後に回避へ派生するコマンドや、攻撃と間合い調整を両立するコマンドが多い。手数を重視し、それを通じた状態異常も効果的に利用できる。筆者としては同開発スタジオが手掛けた『ストレンジャー オブ パラダイス ファイナルファンタジー オリジン』の忍者を思い出す内容である。

こちらは強みを押し付けるのではなく、相手のモーションに合わせて柔軟に立ち回ることを重視している。そのため、縦横無尽に動き回るタイプの敵に対して有利に出られる。距離を離されても直ぐに距離を詰めることができたり、範囲攻撃や連打攻撃を回避しやすい。また、手数があるぶん敵の気力を削ぎやすいのも強みだ。今作では術や忍具といった遠隔攻撃が消費型ではなくなった(忍術ゲージ上昇で回数が回復する)ため、「攻撃をしない時間」が発生しにくい。筆者は最後の一押しを決めたいときに、ニンジャスタイルをよく使っている。ニンジャスタイルで高速接近し、サムライスタイルで攻めて、ニンジャスタイルに戻って距離を取るという使い方も可能だ。

キャラクターの強化要素については、恒例となっているハクスラ方式の装備品に、リセットがアイテム消費無しで可能になった、ステータスビルディングが合わさっている。これに加えて、先述した探索要素を通じたバフ効果や、守護霊および魂代の装備によるバフ効果、スキルという、ポイントを割り振ることで獲得可能なバフ効果、そしてゲーム内称号を通じたバフ効果と、山盛りのトッピングが用意されている。2つの戦闘スタイルの方向性や、探索重視のゲーム進行と合わせ、過去作から得た知見を盛り込みつつ、プレイヤーに「選択の自由」と「ストレスフリーな死にゲー体験」を提供したいという意図が伝わってくる。

だが、こういった感想はあくまで、筆者が執筆時点で戦国時代のクリアまでしかプレイしていないことに由来している。特に出現する敵のバリエーションなど、本作の魅力を形作る上で中核となる探索体験が、ゲームを進行していく中でいかに推移していくのか。更なるフィールドには何が用意されているのか。ゲームクリア時のレビューにて、総論を含めて再び言及したいと思う。

仁王3』はPC(Steam)/PS5に対応し、2月6日発売予定だ。

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Takayuki Sawahata
Takayuki Sawahata

娯楽としてだけではなく文化としてのゲームを知り、広めていきたい。ジャンル問わず死にゲー、マゾゲー大好き。

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