『UNDERTALE』も「YouTube上の楽曲の権利横取り」被害を受け、Toby Fox氏が声明。“対応に難あり”だった楽曲管理レーベルには「新担当者」就任へ

Toby Fox氏は1月24日、自身の手がけた楽曲を管理するレーベルMateria MusicがYouTubeと協議中である旨をXにて共有した。Materia MusicはToby Fox氏とスタンスの違いも見られた担当者を代える対応などもおこなっているようだ。

インディーゲーム『UNDERTALE』『DELTARUNE』の開発者 Toby Fox氏は1月24日、自身の手がけた楽曲を管理するレーベルMateria MusicがYouTubeと協議中である旨をXにて共有した。Materia Musicについては、YouTubeにおける音楽の著作権管理を巡る問題に関連して、対応手法が問題視されていた。

Materia Musicはビデオゲームの楽曲を中心として販売をおこなうレーベルであり、著作権管理会社だ。CEOは、Sebastian Wolff 氏が務めている。Toby Fox氏は『UNDERTALE』『DELTARUNE』のライセンス管理を同社に委託しており、オリジナルサウンドトラックなどのリリースや、ライブコンサートのライセンス管理などもおこなっている。

問題の発端となったのは、Toby Fox氏の楽曲を管理する音楽会社Materia Musicが、楽曲の著作権管理設定を変更し、動画投稿者との収益分配(revenue sharing)という形式を採用したことにある。これは不当な“Copyright Strike(著作権侵害の警告)”を回避する目的と思われるが、Toby氏いわく、クリエイターへ事前に十分な説明がおこなわれることはなかったようだ。

というのもYouTubeでは、動画内の音楽などを自動的に検出する著作権管理システムが導入されており、権利を侵害していると判断された動画のブロック、あるいはアップロード者と権利元との収益分配などが行われる仕組みだ。一方で近年では、第三者が原曲の一部を加工し曲の中に挿し込むなどして作り上げた“偽の楽曲”を音楽配信サービスに登録。そしてその楽曲のもととなった、本物の楽曲を用いたYouTube上のゲームプレイ動画が、“偽の楽曲”の著作権を侵害したとしてブロックされる事例も報告されている(関連記事)。自動検出システムが悪用されたとみられる事例が相次いでいるわけだ。

Toby Fox氏は、このような状況について、YouTube側の対応を批判。仮にYouTube上での著作権管理をやめると、悪意ある第三者が「自分が権利者である」と主張し、楽曲を登録して収益を得てしまう恐れがあると述べる。楽曲の権利に関する警告などが出ない方法、つまり権利をフリーにできればよいが、権利を手放すと“乗っ取り”による悪用の懸念もあるとして、YouTubeの音楽の著作権管理システムの改善を要望していた。

実際にToby Fox氏の楽曲もこの“横取り”被害に直面。『UNDERTALE』『DELTARUNE』の楽曲について、正当な利用であってもYouTubeの自動著作権検出によって申し立てを受けるケースがあるとして、Toby Fox氏がストリーマーに対し「必ず異議申し立て(dispute)を行ってほしい」と呼びかける一幕も見られた(GamesRadar+)。同氏の楽曲は特に再生数が多いため、偽の権利者や別楽曲を悪用した、不当なCopyright Strikeをより多く受けるアルゴリズムになっていたようだ。

『DELTARUNE』

そうした従来からの問題に対し、今回Materia Musicは、動画配信者などがCopyright Strikeを直接受ける事態を避けるため、収益分配という形式での運用に切り替えたという。しかしこの変更については、事前に十分な説明がなされておらず、Toby Fox氏自身も実施後に状況を把握したと明かしている。

またToby Fox氏は、今後の対応として、YouTubeの著作権問題を専門に扱う新たな担当者をMateria Musicが雇用したことも明らかにした。これにより、従来この分野の窓口を担っていた Sebastian Wolff 氏は、本件の直接的な対応から外れるという。

『UNDERTALE』

Sebastian Wolff氏については、過去に『UNDERTALE』のファンメイド作品『Undertale Yellow』において、タイトルロゴや楽曲使用の扱いをめぐって、Toby Fox氏と見解の違いがあったとみられている(関連記事)。当時は話し合いを経て問題は解消されたものの、権利行使やスタンスの違いもあったようだ。今回Toby Fox氏は、本件についてWolff氏は関与せず、別の担当者が対応する体制に変更したことを“良いニュース”として説明している。

Toby Fox氏によれば、現在Materia Musicは YouTube と協議を進めており、より良い選択肢がないかを模索している段階だという。同氏は「状況はかなり混乱している」としつつも、最終的にはクリエイターにとって、より扱いやすい環境になることを期待していると述べ、進展があり次第、改めて情報を共有するとしている。加えてToby Fox氏は、収益分配における権利側の取り分を「可能な限り低くする」よう指示したことも明らかにしており、同氏がファンコミュニティを最大限尊重しようとする姿勢も垣間見える。

『Undertale Yellow』
Image Credit: MasterSwordRemix on YouTube

『UNDERTALE』『DELTARUNE』に限らず、音楽リズムゲームなどの人気楽曲にも生じている“Copyright Strike”問題。今回のToby氏による一連の報告は、紆余曲折ありつつもMateria MusicとYouTube間でのやりとりが前進したこともうかがえる。協議などを経て今後の楽曲権利についての体制/運用がよりクリエイターにとって使いやすく変更されていくことに期待したいところだ。

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Motoharu Ono
Motoharu Ono

隠れた名作に目がない一方で、話題作にもすぐ手を伸ばすミーハー気質のゲーマー。『ゴースト・オブ・ツシマ』では本編よりもマルチプレイにハマり、アーマードコアの新作を心待ちにしている。

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