正体不明な開発者が手がける錬金術自動化お店経営シム『Alchemy Factory』、Steamで人気拡大中。彼らはどこの誰でなぜ本作を作ったのか、直接訊いてみた

パブリッシャーのGamirror GamesとデベロッパーのD5 Copperheadは2025年12月12日、自動化シムAlchemy Factoryの早期アクセス配信を開始した。

『Alchemy Factory』は、魔法と錬金術で生産ラインを作って成り上がる3D自動化シミュレーションゲームである。プレイヤーは小さな店を持つ見習い錬金術師として、一国を代表するほどの錬金マスターを目指す。本作は中世ファンタジー風の世界観で、錬金術と自動化を組み合わせた意欲作。素材の採取から加工、製造、販売に至るまで、あらゆる単純作業を自動化し、錬金術師としての腕を上げるのだ。

本作は早期アクセス直後から好評を集めており、本稿執筆時点でのSteamストアページでは1228件のレビュー中90%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得(関連記事)。自由度の高い建設システムを評価する声が多く、じわじわとセールスを伸ばしているようだ。筆者も工場建設はひととおり嗜むほうだが、ショップ経営と自動化要素にファンタジー風の世界観を掛け合わせた本作は「ありそうでなかった」ところを上手く突いており、堅実ながら独特な遊び心地を楽しませていただいた。

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さて、高品質なゲームを遊んだ後は、制作者の素性が気になるのがゲームメディア編集者の性である。しかし、本作のデベロッパーであるD5 Copperheadについては謎に包まれており、インターネット上の情報が極めて少ない。D5 Copperheadにとっては本作がSteamにリリースする最初の作品であり、ウェブサイト等も見当たらず、その実態が全く窺い知れないのだ。彗星のごとく現れ、いきなりヒット作をリリースした彼らは一体どのような集団なのか。弊誌では今回、そんな彼らへメールインタビューを実施。謎に包まれた開発スタジオの、秘密のベールの向こう側をお見せできれば幸いだ。

──自己紹介をお願いします。

D5 Copperhead:
はじめまして、D5 Copperheadです。私たちは中国・蘇州を拠点とする、設立からまだ2年に満たない小規模な開発スタジオです。『Alchemy Factory』は、私たちにとって初めての作品になります。

スタジオ名は『サイバーパンク2077』に登場するベーシックなライフルの名称に由来しています。性能があまり高くなく、使う人も少なかった武器なのですが、以前その名前を個人的なゲーム用ニックネームとして使っていたことがあり、そこからスタジオ名として採用しました。

累計販売本数は15万本を突破

──Alchemy Factoryの評判の高さは、リリース直後に弊誌でも取り上げさせていただきまし。現時点での売上はいかがでしょうか?

D5 Copperhead:
発売から1か月あまりが経過した現時点で、全世界での累計販売本数はおよそ15万本に達しています。

──15万!かなりのヒットですね。日本でも人気を博している本作ですが、D5 Copperheadについてはまだまだ知られていないように感じます。そもそもどれくらいの規模のスタジオなのでしょうか?

D5 Copperhead:
もともとは、ひとりで小規模なオートメーションゲームを開発しようと思い立ったところから始まりました。しかし、しばらくして「プログラムだけではビジュアル面がどうしても地味になってしまう」と感じ、美術担当のメンバーに声をかけて一緒に制作することになりました。その後、制作中のデモをプログラマーの友人に見せたところ、強い興味を持ってくれまいた。そのまま彼も開発に参加してくれることになり、現在は3人で開発を進めています。

──かなり小規模な制作体制なんですね。在籍スタッフの開発経験はどのくらいあったのでしょうか。

D5 Copperhead:
メンバー全員がゲーム会社等で複数の開発を経験しています。ですが、有名タイトルの開発に携わったというわけではなく、途中で中止になってしまったプロジェクトに関わっていたケースがほとんどです。

ファンタジーの世界観で自動化ゲームをやりたい

──ここからは『Alchemy Factory』について教えてください。「錬金術」と「工場自動化」を組み合わせるというアイデアはどこから生まれたのでしょうか。

D5 Copperhead:
発想の源として大きかったのは、『Opus Magnum』の存在です。同作も錬金術と自動化を組み合わせた作品ですが、どちらかというとパズル寄りの内容でした。

──工場自動化系の作品ではなく、自動化パズルからの発想だったんですね。たしかに両作品の世界観には似たものがある気がします。

『Opus Magnum』

D5 Copperhead:
工場自動化というジャンルは産業系やSF系の世界観が多く、扱う素材も鉄板や銅線といったものに限られがちですよね。どうしても同じような作品になりやすく、レシピ設計の自由度にも制約があります。そこで、あえてファンタジー風の世界観を採用し、主人公を錬金術師とすることで、レシピやシステムの設計をより自由にできるのではないかと考えました。

──とはいえ本作は工場自動化系ジャンルに属しますよね。既存の工場自動化ゲーム研究されたのでしょうか。

D5 Copperhead:
もちろん、このジャンルを選んだ以上、既存の工場自動化ゲームについては一通りリサーチしています。自動化ゲームの核となるのは、やはり搬送ベルトの仕組みです。個人的に『Shapez』のベルト建設体験は非常に優れたものがあると感じているので、本作の搬送ベルトの仕組みにおいてかなり参考にしましたね。ボクセルをベースにした配置と、機械同士を直接つなぐ構造はかなり意識しています。

『Shapez』

D5 Copperhead:
逆に『Factorio』 や 『Dyson Sphere Program』に見られるロボットアーム式、あるいは『Satisfactory』のようなスプライン方式は使用していません。また、意図的に電力システムは導入していません。中世をモチーフにした世界観では電気が存在しないため、すべての装置は“動力源を意識させない”形で稼働する設計にしています。

──世界観を意識しつつ、工場建設のフォーマットに寄せている……という感じでしょうか。コンベアの代わりに射出装置やカノン砲でアイテムを射出して移動させるのも、ファンタジー風の世界観に寄せた特徴ですよね。

D5 Copperhead:
はい、射出装置というモチーフ自体が中世の世界観と相性がよく、本作の舞台設定にも自然に馴染むと感じたため採用しました。このアイデアについては、『マジカル★ポーション工房』を参考にしています。同作でも射出装置を使ってアイテムを運ぶ仕組みが採用されており、非常に印象的でした。

『マジカル★ポーション工房』

建設の可能性をどんどん広げるアップデートがしたい

──Steamのレビューを見ると、多くの要望がプレイヤーから寄せられているように思います。これらは開発にどのような影響を与えていますか?

D5 Copperhead:
2025年6月に初めてデモ版を公開して以降、多くのプレイヤーの方々から貴重なフィードバックをいただいてきました。それらは『Alchemy Factory』を改善していくうえで、大きな支えとなっています。そうした背景もあり、本作は早期アクセスという形でのリリースを選んだので、プレイヤーの声に耳を傾けながら、継続的にゲームを改善していきたいと考えています。

──今後のアップデートの予定を差し支えない範囲で教えてください。

D5 Copperhead:
ロードマップでお伝えしている内容に加え、工場建設の可能性をさらに広げられるような装置や遊び方についても、引き続き検討を進めています。たとえば、生産ラインをより細かく制御できるロジック系の装置や、より自由度の高い伸縮式の梁などがその一例です。

また、パフォーマンスの最適化も非常に重要なテーマだと考えています。大規模な工場を構築した場合でも、快適でスムーズなプレイ体験を提供できるよう、継続的に改善していく予定です。

ロードマップ

──最後に日本のユーザー特に本作にまだ触れていない人に向けてメッセージをお願いします。

D5 Copperhead:
『Alchemy Factory』を応援し、楽しんでくださっている日本の皆さんに、心より感謝いたします。まだ本作に触れたことがない方も、自動化ゲームが好きな方や、工場建設系の作品に興味をお持ちであれば、ぜひ一度『Alchemy Factory』を手に取ってみてください。

――ありがとうございました。

『Alchemy Factory』は、PC(Steam)にて発売中だ。

【UPDATE 2026/1/24 13:02】
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