大手PCメーカーASUS、メモリ製造参入を噂されるも「そんな計画はない」と一蹴。世界的なメモリ品薄のなかで
台湾のPCメーカーであるASUSが新たにメモリ製造に参入するという情報が報じられた。同社はこれについて、台湾国営メディアを通じて否定した。

世界的なメモリ不足が深刻化するなか、台湾のPCメーカーであるASUSが新たにメモリ製造に参入するという情報が報じられた。同社はこれについて、台湾国営メディアを通じて否定した。
AI分野での需要の急増に伴い、現在世界的にメモリが品薄となっている。2025年現在におけるDRAM(PCメモリモジュールの核となる半導体メモリ)製造は、韓国のSK hynixとSamson、そして米国のMicronの上位3社が大きなシェアを有している。ただ、Micronは「Crucial」ブランドとして展開してきたコンシューマー向け事業から撤退すると先日発表(関連記事)。これを契機に値上げ傾向が加速し、市場におけるメモリの価格は数倍に膨れ上がっている。
国内でもDRAMの不足・高騰を受けた駆け込み需要からか、BTOのPCメーカー各社は想定を大きく上回る注文が寄せられていることを報告。受注を一時停止する措置がとられている(関連記事)。またメモリ不足によって数世代前のCPUの価格が高騰するという現象も報告されており、意外なところへの影響も出ているかたちだ(関連記事)。メモリ価格の高騰は2027年末から2028年にかけて続くとの予測もあり、今後が不安視されている状況だ。
そうした中で、台湾を拠点とする大手PCメーカーのASUSがメモリ製造に参入するという噂が流れていた。発端となったとみられるのは、ペルシャのテック系メディアであるSakhtafzarの投稿。同メディアは“信頼できる情報”をもとに、在庫不足や既存サプライヤーの独占状態が2026年第2四半期末までに解消されない場合、ASUSが生産ラインを立ち上げてメモリ製造市場に参入することを計画していると伝えた。これを同月25日に同じくテック系メディアのWccftechが引用したことにより英語圏でもこの情報が拡散されることとなったようだ。
そしてASUSは12月26日、台湾国営メディアCNAを通じて、これを否定する声明を発表。メモリウェハー工場に投資する計画はないと明言している。今後もメモリサプライヤーとのパートナーシップを深めていくとコメントしており、メモリ製造に参入する噂を否定したかたちだ。
なおCNAはメモリ製造参入へのハードルを説くアナリストの分析も伝えている。メモリチップ工場を建設する場合、生産開始までに少なくとも2年かかり、目下の問題の解決には至らないと考えられているそうだ。2年後の経済情勢や価格を読むことは難しく、メモリチップ工場建設への巨額の投資には大きなリスクが伴うという見方だ。なおSamsungとSK Hynixも増産に向けた設備投資には消極的で、AIブームが収束した際に供給過剰に陥ってしまう可能性を考え、長期的な収益性を維持する戦略を明かしていた(Hankyung)。各社が数年後を見据えた慎重な姿勢をとっており、メモリ不足が解決されるまでには時間がかかりそうだ。
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