『GTAバイスシティ』のファンメイド「Webブラウザ版」、通告受け公開中止に。“勝手に一部無料公開”はさすがにアウト
ファンコミュニティによる『グランド・セフト・オート・バイスシティ』のブラウザ版が、DMCAに基づく通告を受け公開中止となった。

海外のファンコミュニティがWebブラウザでプレイできるかたちで『グランド・セフト・オート・バイスシティ』(以下、GTAバイスシティ)を公開。しかしDMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づく通告を受け、公開が中止されたことが明らかになった。
『GTAバイスシティ』は、2002年にPS2、2003年にPC/Xbox向けに発売されたゲーム。『GTA』シリーズとしては4作目にあたる。刑務所から出所してきたイタリアンマフィアのトミー・ベルセッティを主人公に、彼の裏社会での成り上がりを描いたオープンワールドゲームだ。

今回話題になっている非公式のWebブラウザ版『GTAバイスシティ』は、オンラインプラットフォームDOS Zoneで公開された作品。オリジナル版の要素をすべて内包しており、ロードも高速化。また、クラウドセーブにも対応していた。ストーリー上の最初のチェックポイントまではブラウザ版だけで遊べるが、それ以降は、本編のゲームファイルをアップロードしなければ、続きをプレイできない仕組みになっていた。
DOS Zoneの管理者によると、GTAシリーズを手がけるRockstar Gamesの親会社、Take-Two Interactiveより、同作の公開中止を求めるメールが届いたとのこと。Take-Two Interactiveは、同作は両社の許諾を得ていないとして、『GTAバイスシティ』の公開中止を要請。あわせて両社に関連するグラフィックやロゴ、デモなどが即刻削除されない場合、DOS Zoneに対して、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)通告を実施することを警告してきたという。その後、実際にDMCA通告が実施され、Webブラウザ版の公開が中止になったそうだ。
Webブラウザ版としての公開については、当初から海外掲示板Redditなどで、権利面での問題を懸念する声が少なからず上がっていた。実際に『GTAバイスシティ』の一部をWeb上に公開し、また続きをプレイするために本編全体のアップロードを要求していたからだ。セーブ高速化といった独自の改善が加えられているものの、ゲーム本編を一部とはいえ無断で無料配信すること自体に権利上の問題があったと言えるだろう。

なお、ファンコミュニティによって過去の作品を復刻するプロジェクトはこれまでにもさまざま出現しているものの、権利元の承諾なしでは、中止や凍結といった結末になることも少なくない。例えば「Friday The 13th: Resurrected」などは、その一例だ。同作は、発売中止になった『Friday the 13th: The Game』の本編に、新スキンなどを追加して公開するプロジェクトだった。しかし、映画「13日の金曜日」の権利保有会社Horror Inc.からの要請によって開発が中止に。こちらの場合は、完全な本編を無断で無料配信する計画だったことから、中止前の段階から、ユーザーより権利面の懸念が寄せられていた(関連記事)。
現代ではさまざまな理由で遊べなくなってしまった作品も多く、それらを復活させる取り組みには意義が見出されている側面もある。その作品が根強く愛されていることの表れともいえるだろう。一方で今回のように、オリジナル版の権利を侵害するようなプロジェクトはたとえ非営利目的であっても厳しい対応を受けることがうかがえる。
この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。
