“ネパール版GTA”とも称されるオープンワールドゲーム『Gauley』が大注目浴びる。言うほどGTAではないけど野心作

個人デベロッパーのAshim Shakya氏は12月23日、ネパールオープンワールドアドベンチャー『Gauley ( गाउंले ) : Experience Nepal』のアップデートを配信した。本作はPC（itch.io）にて「In Development（開発中）」ステータスで配信されている。

『Gauley ( गाउंले ) : Experience Nepal』は、オープンワールドのネパールを体感できるアドベンチャーゲームである。プレイヤーはネパールに暮らす一人の人間として生きることになるようだ。ただし、本稿執筆時点で本作のステータスはIn Developmentとなっており、ゲームとしては未完成の部分も多い。それでもなお、Unreal Engineで作られた広大なマップでネパールを見て回れることもあり、海外掲示板Redditや動画投稿サイトYouTubeに投稿された本作を紹介する動画が話題となっている。

筆者もプレイしてみたところ、現在公開されているバージョンでは自由に探索をおこなう「Explore」と、いくつかのシーンとミッションを楽しめる「Story Mode」の2つのモードで遊ぶことができる。Exploreでは歩いたりバイクに乗ったりして、かなり自由にマップを動き回ることが可能だ。探索中には操作キャラクターを切り替えるボタンを押すことで、キャラクターの性別を変更できるほか、マップ内のランダムなポイントにワープできる。寺院や市場、標高の高そうな村を見下ろす丘など、多くのロケーションが用意されているようだ。

また、バイクや自転車をはじめとした多くの乗り物を運転すれば徒歩よりも素早く移動することができるが、他人の乗り物を奪って勝手に運転することもできてしまう。そのせいで喧嘩になったり、逆に他人のバイクが追突してきて喧嘩になったりと、無法者のように振る舞うことも可能となっている。こうした仕様の影響もあり、本作はネパール版『Grand Theft Auto』、「Grand Theft Tuktuk」などと称されて話題を集めている様子である。

「Story Mode」では実装済みの複数のシーンをプレイでき、一つ一つのシーンでミッションこなして順次アンロックしていく形式だ。ただし、現行バージョンではシーン間はぶつ切りとなっており、シーンが移り変わると突然マップ上のまったく違う場所に移されることになる。それぞれのシーンでは、たとえば誰かをバイクに乗せて特定の地点まで送り迎えするミッションや、人を貪り食う凶暴なイエティとのバトルなどが展開されていく。バトルは武器の切り替えや、ローリングによる回避、攻撃と同じボタンを敵の攻撃モーションに合わせて押すことによるパリィなどができる、かなりアクロバティックなシステムとなっている。

ストーリーに関してはキャラクターボイスは筆者の聞き取れない言語で、字幕は英語のみとなっている。話されているのはおそらくネパール語であろう。会話はボタンを押さずともどんどん進んでいくので、現在公開されているバージョンで内容を理解するには、翻訳に頼らずともすらすら読める程度の英語力が必要となるだろう。

本作を手がけるAshim Shakya氏は、ゲームだけでなく多彩なアート作品を手がけるクリエイターである。インタラクティブな作品を作りたいとの思いからゲーム開発を始めたようで、過去には鳥として自由に飛び回るゲーム『Flight』や、ネパールを舞台としたホラーゲーム『Didi』などをitch.ioにてリリースしている。本作についてはネパールのプレイヤーから要望が多かったアクション性が高いゲームとして開発が始まったようだ（Medium）。なお本作は開発開始からすでに7年以上が経過しているが、Ashim氏はなんでも1人で作るほうが性に合っているのか、今後もチームで開発をおこなう予定はないとのこと。

ちなみに本作のタイトルである「Gauley ( गाउंले ) 」とは、ネパール語で「田舎」や「村」といった意味の単語である。本作の目指すところはネパールおよび南アジアのアートやストーリーを通じて国際的な注目を集めることだという。あたかも『Grand Theft Auto』のようだとして話題となっているものの、他人の車を奪うなどの行動はシステムとして可能となっているだけで、本作の提供するゲーム体験の中心とはならないかもしれない。今後のアップデート状況にも注目したい。

『Gauley ( गाउंले ) : Experience Nepal』はPC（itch.io）向けに開発中。定価の15米ドル（約2300円）で購入可能だ。