ゲーム配信に“視聴者”が直接介入できる配信システム「THIRD」は、実はいままでなかったサービス。「Twitchで似たようなシステムある」との意見に開発者反論
コメントをすることで配信者に環境に介入していくという遊び自体は、目新しいものではないとの指摘もある。そうした指摘に開発者が反論している。

株式会社UNCHAINは12月1日、視聴者が配信中のゲームにリアルタイムで介入できる配信向けゲームシステム「THIRD(サード)」を配信開始した。
「THIRD」は、YouTubeやTwitchといったプラットフォームでのゲーム配信にて、視聴者がゲーム内容に“直接介入”できるようになるシステムだ。「THIRD」に対応したゲームでの配信では、視聴者はギフトを通じて、プレイヤーの体力回復やアイテム配布といった支援や、敵を増加させての妨害などの「介入アクション」が可能。
一方で、コメントをすることで配信者に環境に介入していくという遊び自体は、目新しいものではないとの指摘もある。そうした指摘に対して開発者が反論している。
――「THIRD」自体は面白いシステムだと思いますが、前回弊誌で出した記事では「見たことがある」「似たようなシステムがTwitchであるしそれでいい」といった反応もありました。「THIRD」ならではの新規性はありますか?
ウィンレイ氏:
よく見かける「ゲーム内に干渉できるサービス」は公式じゃないものだったり、オーバーレイ形式のものがほとんどだと思われます。ビジネスモデルもサービス提供者が配信者からお金をもらうものがほとんどです。一方で、「THIRD」は公式サービスなので逆に収益を我々から還元します。なので、これまでのサービスとは似ているようで結構違うサービスなんですよ。
また、前述の要素以外だとTHIRDの場合は、「おまけの機能」でではなく、「介入そのものをゲームデザインの前提」にしている点も特徴です。つまり「ゲームを作る」のではなく「コミュニケーションサービスを作る」ことに主旨を置いています。もちろん後続でこういった類のサービスはどんどん出てくるとも思ってます!
――なるほど。「THIRD」目指すものはなんですか?
ウィンレイ氏:
“観戦”から”参戦”へ。のパラダイムシフトを完成させることです。このパラダイムシフトがもたらす最大の成果は、ゲーム業界に、かつてのソシャゲ黎明期に巻き起こったような、クリエイター参入の熱狂と経済圏を再び創出することです。かつては数千万規模の開発で大ヒットが生まれ、多くのプレイヤーがゲーム業界に参入しました。しかし、今は開発費が肥大化し新規プレイヤーが参入しにくい障壁ができてしまいました。
「THIRD」は、この状況を打破したいです。日常的に行われているギフティングをTHIRDを介すことによって開発資金や配信者への報酬として直接還元する仕組みを提供します。また、「ゲームを作る」のではなく「コミュニケーションサービスを作る」ことへのシフトにより、ゲーム開発者は低コストでTHIRDを前提とした挑戦的なゲームを開発しやすくなります。
つまり、THIRDは、「何を配信するか」ではなく、「どう一緒に遊ぶか」を発明する為のゲームシステムとして、配信の同質化を終わらせるだけでなく、ソシャゲ黎明期のような熱狂を日本から世界に巻き起こすことを目指しています。
――近年のゲーム配信に課題を感じていた、ということですね。
ウィンレイ氏:
近年のゲーム配信は、流行りのタイトルに配信者が集まり、視聴数を取りにいくほど、配信内容は似ていき、配信者の方も視聴者の方も疲弊していくのではないかと思っています。人気ゲームを追いかけ、視聴者はゲーム好きだけになり、新規が広がりにくい。この構造はよくないなと。
ゲーム配信が流行り始めたころは、みんな純粋にゲームを楽しんでいたと思います。子どものころや、大学生のころなど、友達の家でゲームして遊んでいたことが誰しもあると思っていて。「THIRD」はあれを再現したいです。配信者の人気度合いは関係なく。プレイヤーと見る人がいれば、そこでおしゃべりするように介入ができる。ゲーム配信の本来の楽しさとなるハズです。
――ちなみに、「THIRD」を使う上でゲーム配信者のモチベーションはどう生むのでしょうか。
ウィンレイ氏:
もっとも重要なモチベーションは、収益以上に「コミュニティとの相互作用」かなと。自分のプレイやリアクションに対し、視聴者がギフティングという行動を通じて直接ゲームに介入し、その結果が即座に返ってくること。この相互作用が配信者にとって良いモチベーションになると考えます。「THIRD」は、視聴者の介入が配信者の「見せ場」や「ハプニング」を強制的に作り出すため、配信者が良いコンテンツを提供する手応えを得やすい環境です。
また、視聴者の参戦によって、同じゲームでも「毎回オンリーワンのイベント」となり、配信者の企画力や個性が自然と立ち上がり、そこもモチベーションになると思います。
――ゲーム配信者と視聴者の関係はどうあればいいと思いますか。
ウィンレイ氏:
「共に配信を創り上げる、対等な共同制作者」であるべきだと考えています。配信者は「舞台上の主役」としてプレイを進行し、視聴者は「舞台の演出家」としてギフティングを通じてゲーム世界を操作する。視聴者の介入がゲームの結末や世界観に不可逆的な影響を与える、熱量の高い関係が理想です。
ゲーム配信は配信時点ですでにクリアした人がいたりして、「ネタバレしないように」とか「あれはやっちゃだめ」とか暗黙のルールが多すぎるかなと。「THIRD」はみんなで体験を共有するサービスなので、そういう遠慮や空気読みは必要ないのも特徴です。
――今後THIRDはどういう風に展開していく予定でしょうか。
ウィンレイ氏:
現在は内製で1本でも多くTHIRD搭載ゲームを量産し、「参戦型ゲームの成功事例」を積み上げるフェーズです。これをやり遂げることで、2nd/3rdパーティが「自社タイトルにもTHIRDを載せたい」と思っていただける流れを作りたいです。
――ありがとうございました。
「THIRD」は現在配信中だ。
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