Steamで発売直後に削除されたホラーゲームがようやく再配信も、開発者は「初動逃して経済的に厳しい」と悲鳴。消されたきっかけは“元友人とのトラブル”

インディー開発者のAdam Pype氏は12月2日、自ら手がけたホラーゲーム『No Players Online』のSteamでの販売が再開されたと報告。本作は同氏の友人とのトラブルにより、リリース間もなくSteamから削除されていた。

インディー開発者のAdam Pype氏は12月2日、自ら手がけたホラーゲーム『No Players Online』のSteamでの販売が再開されたと報告した。本作は、PC(Steam/itch.io)向けに先月11月6日にリリースされたものの、11月14日にSteamから突如削除されていた。その背景には、同氏の友人が関わっていたという。

本作は、主人公が見つけた古いPCを操作する作品だ。プレイヤーは、PCに残されていたファイルを開き、もはや誰も遊んでいないというマルチプレイFPSのプロトタイプをプレイ。その中で手がかりを集めながら、そのゲームに隠された秘密に迫る。

『No Players Online』は、開発者のAdam Pype氏を擁するBeeswax Gamesが手がけ、先月11月6日にPC(Steam/itch.io)向けに配信。Steamのユーザーレビューにて、本稿執筆時点で約250件のうち80%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得するなど高く評価されている。作中では、1990年代風のPCのデスクトップ環境が再現されるなどレトロな雰囲気が特徴で、そうした映像表現とホラーの組み合わせなどが好評だ。

幸先良い出足となったかに思われた本作であるが、リリースからおよそ1週間後の11月14日にSteamから突如削除された。Pype氏によると、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づく著作権侵害の申し立てが、本作に関しおこなわれたことが原因とのこと。Valveのような事業者は、申し立てがあればまずは取り下げ措置を取ることが一般的だ。当時Pype氏は、訴訟を起こす可能性があるため詳細は明かせないとしつつ、著作権侵害の主張には根拠がないとし、本作が早期に再配信されるよう努めるとした。

それから約3週間が経った12月2日、Pype氏は『No Players Online』のSteamでの配信が再開されたと報告した。その中では、本作について著作権侵害を訴えたのは、同氏のかつての友人だったことが明かされた。その人物は、本作の共同開発者だと主張しているそうだが、Pype氏は実際には関わっていないと否定。同氏は過去数か月にわたって、無関係であるとその人物を説得してきたものの、突然DMCAに基づく通報がおこなわれたそうだ。

Pype氏は、その人物について大切な友人だと思っていたとし、こうした裏切り行為にあって辛いと心情を吐露。また、無関係の人物が簡便なフォームに記入するだけで、ゲームをストアから削除できるDMCAの仕組みは異常だとも述べている。

さらにPype氏は、本作のSteam版はローンチ直後にストアから取り下げられ、3週間ものあいだ販売停止となったことで、リリースの勢いは完全に失われてしまったとコメント。特に小規模なインディースタジオにとっては、リリース後最初の数か月が売り上げにおいて非常に重要な時期だとされており、今回の事態による収益面への打撃はかなり大きいという。本件についてValveに問い合わせたものの返信はないとのこと。

結果として、今後経済的に回復できるかどうかの見通しは立たず、またスタジオの将来についても不透明な状況に陥ってしまったそうだ。同氏は、まずは本作『No Players Online』の認知度を高めることが大事だとして、ファンに協力を求めた。これを受けて、ほかのインディー開発者らが本作へのサポートを呼びかけている。

『No Players Online』は、PC(Steam/itch.io)向けに配信中だ。なお、日本語設定にすると進行不能バグが発生する事象が確認されており、開発元によると近日中に修正予定とのこと。またAdam Pype氏は、スタジオの助けになるとして、Steam版ユーザーにレビュー投稿を呼びかけている。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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