『メイプルストーリー』は“過去のMMO”なのか?答えは「NO」、大熱量コミュニティがバリバリ盛り上がってるので。「Super Maple Party 2025」レポート

ネクソンは11月8日と9日、『メイプルストーリー』のオフラインイベント「Super Maple Party 2025」を開催した。本稿ではその様子についてお伝えする。

ネクソンは11月8日と9日、『メイプルストーリー』(以下、メイプル)のオフラインイベント「Super Maple Party 2025」を新宿住友ビル 三角広場にて開催した。弊誌は今回、この2日間にわたる大規模イベントに参加。本稿ではその様子についてお伝えする。

皆さんは、『メイプル』についてどのようなイメージを抱いているだろうか。本作は日本では2003年にサービスを開始し、実に約22年間も遊ばれている長寿MMOだ。本作についてよく知らなかった、あるいは「昔遊んだな」と感慨にふける方も多いのではないだろうか。長きにわたるサービスの間に「昔のMMO」というイメージを抱いている方も多いだろう。

キャラクター名のぼかしは編集部による

かくいう筆者も、今年配信された「NEXTアップデート(*)」における大刷新でふたたび本作に触れたいわゆる“復帰勢”だ。『メイプル』は中学生時代に熱心に遊んだものの、時は過ぎ去り“思い出の1ページ”に。復帰後も積極的な交流などはせず、ちまちまとプレイして懐かしさにひたるのみに留まっていた。しかし、オフイベントの会場に足を踏み入れた途端、どこか抱いていた「『メイプル』は懐かしのゲーム」との認識は塵となった。

*多角的な遊びやすさ改善や大量のコンテンツ追加など、既存・新規・復帰プレイヤーすべてを視野に入れた史上最大アップデートとなっていた。



めちゃくちゃ盛り上がってる

まず目に入ったのは、参加者たちの長蛇の列。広い会場に所狭しとファンが詰めかけており、入場の時を今か今かと待ち構えていた。実をいえば筆者は、『メイプル』が盛り上がっていることはなんとなく頭ではわかっていた。ログインすれば多くのプレイヤーたちが息づいており、“過疎”の気配などは無縁。昨年度は日本などの地域で第3四半期における過去最高益を記録(資料pdf)しており、22周年を迎えてなお隆盛の途上にある作品であると認識はしていた。

しかし、目の前の群衆から伝わるリアルな熱量の説得力には敵わない。データだけではわからない「あ、本当に盛り上がってるんだ」という『メイプル』の現在地を伝えてくれた。『メイプル』が「昔あったMMO」ではなく「今遊ばれているMMO」だと肌でわかった瞬間だ。

また、その人気を示すように物販についても連日長蛇の列となっており、筆者がひそかに狙っていたぬいぐるみ類などは一瞬で売り切れに。小耳に挟んだ話では、物販列先頭のファンなどは数時間待ちを乗り越えてグッズ買い求めていたのだという。しかし、本イベントのポテンシャルは、参加者数への驚きだけに留まらなかった。

驚きもそこそこに、筆者も群衆のひとりとなって本イベントを楽しませてもらった。まず入場者を出迎える「メイプル散歩道」では、壁に刻まれた年表とアートワークにより、本作の長い歴史を振り返ることができた。思い出の振り返りだけでなくアートの展覧としても楽しめる丁寧な内容で、筆者などは「ゲームと音楽だけが友達だった子ども時代」がフラッシュバックしていきなり崩れ落ちそうになった。そうしたノスタルジーは他所に置いても、『メイプル』が大切にしてきた世界観がよくわかる展示だ。

散歩道を通り抜ければ、『メイプル』を象徴する存在であるメイプルキノコ・イエティ・ピンクビーンの巨大バルーン、そして「モミジの木」がお出迎え。この一帯は「メイプル広場」と名付けられ、芝生仕立ての床では『メイプル』ゲーム内さながらに参加者たちが足を休めて交流したり、憩いのひとときを過ごしたりしていた。



グルメとミニゲームで大はしゃぎ

本イベントでは、フードやミニゲームもさまざま提供され、まさにお祭りさながらの活況となっていた。フードについては、トッポギ・キンパ・揚げマンドゥなど韓国グルメを中心としつつ、メイプルのモンスターたちが可愛らしくデザインされた「モンスターマカロン」を提供していた。

筆者はモンスターマカロンの可愛さに心惹かれつつも、チーズドッグとアイスアメリカーノをオーダー。お祭りで食べるグルメはやはりおいしい。実をいえば、その前にも揚げマンドゥとラムネを食していたのだが、とても美味しくてうっかり写真を撮る前に全部食べてしまった。

チーズドッグの中はしっかり、どっさりチーズ



射的、くじ引き、そして悲鳴があがりっぱなしの「超高難度ダルマ落とし」

ミニゲームについては、射的でモンスターの的を倒す「天狗狩り」、くじ引きで長剣を引き当てる「長剣探し」、そして超高難易度のダルマ落とし「TOTEM PANG! PANG!」が楽しめた。参加者は、これらのミニゲームを3種クリアすると特別なコインをゲットし、ゲーム内でもおなじみの巨大ガチャ「メイポンマシーン」を回すことができる。そのため、すべてのミニゲームに参加者が詰めかけ、「難しすぎないものの失敗の可能性が十分ある」といった塩梅のミニゲームに一喜一憂の声をあげて盛り上がっていた。

中でも特に盛り上がっていたのが、「TOTEM PANG! PANG!」だ。『メイプル』プレイヤーにはランダムポータルでお馴染みのミニゲーム「トーテムスラッシュ」を現実に再現したようなアトラクションとなる。このミニゲームは極めて難易度が高く、常に挑戦者や観客の「あぁー!!」「惜しい!」といった悲鳴が耐えない状況だった。筆者も挑戦したものの、結構な重さのハンマーに振り回されあっけなく失敗。しかしながら、成功者も数人いたそうで、どれほどの剛腕だったのか想像できない。



存在感ありすぎの“リアル”NPCが闊歩、ずっと見てられる

えらいシュッとしたシュピゲルマン(ゲーム内のシュピゲルマンは、もっと恰幅のいい謎多き人物である)

そうした遊びの合間に目を引くのが、『メイプル』のNPCに扮したキャストたちだ。関西風にいえば「えらいシュッとしたシュピゲルマン」を始めとして、長老スタン・Mrs.ミンミン・カサンドラ・キノコ神社の巫女たちといった印象的なNPCたちが揃い踏みしていた。いずれのNPCもプレイヤーお馴染みの「電球マーク」を掲げて会場内を闊歩しており、マークを“クリック”するとジャンケンミニゲームが開始。勝利すればおまもりカードが、一発勝利ではグミが“報酬”として貰えた。『メイプル』の中に入ったような気持ちになれる、見ているだけで飽きないアトラクションとなっていた。



満を持して新職業「レン」発表

そうしてはしゃぎ回っているうちに、1日目のメインイベントとなる「Hidden STAGE」が開幕。観客たちがステージに詰めかけ、熱視線が送られるなかでお披露目されたのは、『メイプル』次期大型アップデート「ASSEMBLE」で登場する新職業「レン」だった。壇上にはレンのキャラボイスをあてる高柳知葉さんが登場。キャラクター背景について明かされ、レンのオリジナル曲「記憶の旅路」も解禁された。こちらの歌唱は元EGOISTでchellyとしてボーカルを担当していたアーティストのrecheさんが担当している。

やがて、ステージの雰囲気が変わると“リアル”レンが登場。その姿を披露した後には、意表を突くように書道家の杉田曠機(すぎた こうき)氏が登場した。一体何事かと観客が固唾を呑んで見守るなか、杉田氏が入魂の筆づかいでしたためたのは「ASSEMBLE」の文字。そして、同アップデートの詳細が11月30日の生放送番組「WINTER SHOWCASE 2025 “ASSEMBLE”」にて明かされると告知された。なお、レンの事前登録キャンペーンについても案内があり、12月10日メンテナンス前までの登録で特別報酬が貰えるとのこと。

写真は発表後のフォトセッションより



ビンゴ大会ってこんなに盛り上がるのか

続いては、『メイプル』グッズや食品などが当たるビンゴ大会がスタート。ここへ来て会場のボルテージはさらに上昇し、ステージ前はこれ以上ない人口密度に。壇上で進行するコスプレイヤーのエリー氏、そして『メイプル』GMのこたぼう氏に熱視線が集中するなか、ビンゴの数字がどんどん読み上げられていく。読み上げのたびに落胆や喜びの声が群衆からあがり、なかでも隠し玉であった「松阪牛」の当選者が出た際には会場が笑いと驚きに揺れていた。筆者の人生の中で、これほど会場一丸となってエキサイトしたビンゴ大会は初めてであった。



イベント2日目、ボロボロ泣かされる

会場で手に入れたものの一部

2日目には、ビンゴ大会がお昼に開催。前日と変わらぬ盛り上がりを見せていた。筆者も引き続きはしゃぎまわり、首尾よく巨大ガチャのコインをゲット。なお、会場スタンプラリーのコンプリートでもガチャのコインをゲットできたため、両日あわせて4回の巨大ガチャを楽しんだ。そして、ビンゴ大会の興奮も落ち着いた頃に、今回のオフイベントにおけるグランドフィナーレとなるオーケストラコンサートが始まった。

幕開けの1曲は、プレイヤーなら誰もが耳馴染みのある「ログイン画面」のBGM。いつも聴いているはずの曲が、オーケストラの力もあってぐっと胸に染み入ってくる。そして大スクリーンに映し出された「初期『メイプル』のログイン画面」に不意を打たれた筆者は、胸にふたたび去来する「ゲームと音楽だけが友達だった子ども時代」の記憶を呼び起こされ、気づけばボロボロと泣いていたのだった。

『メイプル』のBGMは、いずれも珠玉の出来であると筆者は思っている。思い出に紐づいた楽曲がオーケストラの手によって次々紡がれていく体験に、「本当に来てよかった」と感じた。また、筆者が正直あまり把握していない“休止期間”に追加されたエリアの楽曲についても、思い出と無関係に涙ぐんだり楽しんだりできた。オーケストラコンサート単体として、素晴らしい体験が構築されていたといえる。コンサートが終わった後も、参加者たちは帰ることを惜しむように、交流などに勤しんでいた。



『メイプル』はずっとそこに居た

筆者は、一度は『メイプル』をやめ、「青春の思い出の1ページ」として過去に置き去りにしていた身である。復帰後も、どこか懐古のためにプレイしていたように思う。しかし、2日間のイベントで得たのは「『メイプル』を勝手に過去のゲームにしていた」との反省であった。盛り上がりを示す決算資料よりも、現場で息づくファンたちの姿が「『メイプル』が今、遊ばれているゲームである」ことの何よりの証明であると受け取れた。

なお前述のとおり、『メイプル』では次期大型アップデート「ASSEMBLE」が配信予定。また、前回大型アップデートの方針を鑑みるに、「ASSEMBLE」でも新規・復帰プレイヤーに向けた高速キャラ育成サポートなど、スムーズな体験ができる施策が盛り込まれそうだ。『メイプル』を知っている人も、知らない人も、あるいは「思い出の1ページ」にしている人も、試しに『メイプル』の世界に足を踏み入れてほしい。22年間遊ばれ続けるMMOの底力を見られるはずだ。

メイプルストーリー』は、PC向けに配信中。次期大型アップデート「ASSEMBLE」の詳細は、11月30日の生放送番組「WINTER SHOWCASE 2025 “ASSEMBLE”」にて公開予定だ。なお、現在新職業・レンの事前登録も実施中となっている。期限は12月10日メンテナンス前まで。

[取材・撮影・執筆:Sayoko Narita]
[編集:Ayuo Kawase]

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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