Valveの新小型ゲーミングPC「Steam Machine」のスペックは“大多数のSteamユーザー”以上。開発者いわく70%超のユーザーと同等以上の性能に

「Steam Machine」の性能を決定する際には、Steamにて毎月実施されている「ハードウェア調査」も考慮されたという。

Valveは11月13日、新しいSteamハードウェア製品として「Steam Machine」の新モデルを発表し、2026年初頭に発売すると告知した。Valveのハードウェアエンジニアによると、そんな本製品の性能はSteamにて毎月実施されている「ハードウェア調査」も考慮されているという。

Steam Machineは、SteamOSを搭載するゲーミングPCだ。2010年代に同名の製品が展開されており、その後継モデルということだろう。Steam Deckと同様にSteam向けゲームのプレイに最適化され、ユーザーのSteamライブラリを活用する新たな選択肢となる。一方でSteam Machineは、大画面でPCゲームをプレイするためのパワフルで汎用性の高い製品だという。

Steam Machineの筐体には約6インチ(160mm)の立方体スタイルが採用され、小型かつ動作が静かであるため、テレビの下でも机の上でも、ゲームをしたいあらゆる場所に収まるとのこと。OSにはArch LinuxベースのSteamOSが採用され、Protonと呼ばれる互換レイヤーによって対応するWindows向けゲームもプレイ可能だ(関連記事)。

そして性能面はSteam Deckの6倍以上の性能になると謳われている。具体的には、CPUにはAMD製のセミカスタム仕様のZen 4 CPUを採用。6コア・12スレッドで最大クロックは4.8GHz、TDPは30Wとされる。またGPUもAMD製のセミカスタム仕様の、RDNA 3 GPUが搭載。28基のコンピュートユニットを備え、最大持続クロックは2.45GHz、TDPは110W。超解像技術であるFSRに対応し、画面解像度4K・フレームレート60fpsでのプレイをサポートするとのこと。レイトレーシングにも対応するという。このほかメモリーは16GB DDR5、VRAMは8GB GDDR6を備えている。

このたびValveでハードウェアエンジニアを務めるYazan Aldehayyat氏が人気YouTubeチャンネルAdam Savage’s Testedのインタビューにて、Steam Machineに関するさまざまな質問に回答。このなかでは本製品の性能がどのようにして決められたかも明かされた。

Yazan氏によると、Steam Machineでは「Steam上のすべてのゲームをプレイできること」と「デバイスとしてエントリーレベルの価格」という2つの基準から性能が設計されたという。まず性能面では、ユーザーが特定のゲームを遊びたい場合に性能が足りるのかわからないといった心配をさせないようにする狙いがあったそうだ。とはいえ手ごろな価格であることも重要視され、2つの基準から最適な性能を探ることになったという。

この際に活用されたのが、Steamハードウェア調査だという。ValveはSteamユーザーに対して匿名かつ任意参加の月次調査として「Steamハードウェア&ソフトウェア 調査」を公開してきた。このなかではユーザーのPCのCPU・GPUのメーカーからモデルに至るまで細やかなデータがとられており、そうした集計データがSteam Machineの性能を決める際にも活用されたようだ。Yazan氏によるとSteam Machineは、Steamユーザーが自宅にもつ70%以上のデバイスと、同等かそれ以上の性能を備えているという。

ちなみに10月のハードウェア調査を見ると、たとえばCPUでは、Intel製のクロック数2.3 GHz~2.69 GHzの製品がもっとも多く21.93%、次いでAMD製の3.7 GHz以上のモデルが18.91%、Intel製の3.3 GHz~3.69 GHzのモデルが13.55%、AMD製の3.3 GHz~3.69 GHzのモデルが12.72%となっている。

またGPUは使用率4.47%のNVIDIA GeForce RTX 3060を筆頭に、GeForce RTX 4060、GeForce RTX 3050といったモデルが上位を占めている。一方でGeForce RTX 1650が3.05%、GeForce RTX 2060が2.11%、GeForce GTX 1060が1.95%と、過去のモデルのGPUを根強く使い続けるユーザーも一定数いるようだ。

このほかシステムメモリーは16GBが41.49%で最多。こちらは32GBを搭載するユーザー層も増加しており、10月は35.93%となっている。

Steam Deckに続く、Steam向けゲームのプレイに最適化された新デバイスとして展開されるSteam Machine。Steamハードウェア調査を見てみると、上述したようなSteam Machineの性能が現状のSteamユーザーの最新環境を踏襲していることもうかがえる。ゲームを問わず遊べることと、エントリーモデルとしての価格設定の両立を目指したというSteam Machineが、新たなSteamゲーマーをどれだけ生み出すかも注目されるところかもしれない。

「Steam Machine」は、2026年初頭に出荷開始予定。具体的な発売時期および価格は、日本での販売を担当するKOMODOより年明け以降に発表される。また「Steam Machine」を含むSteamハードウェアのリリースに伴い、KOMODOが運営する「Steam Deckストア」は「KOMODO Station」に統合され、そちらでSteam Deckを含めたSteamハードウェア製品が販売される。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

記事本文: 3442