Steam“コイントス勝負”オートバトラー『Q-UP』瞬く間に大好評、ブームの兆し。表か裏かのシンプル勝負をビルドで「勝てる賭け」に変える、無限インフレ病みつきゲーム
Everybody House Gamesは11月6日、コイントス対戦ゲーム『Q-UP』を発売した。さっそく高い評価を得ている。

インディーゲームスタジオのEverybody House Gamesは11月6日、コイントス対戦ゲーム『Q-UP』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam)。本作はさっそく多くの好評を集めている。
『Q-UP』は、架空のeスポーツをテーマとしたヒーロー対戦ゲームだ。ただし、その対象となるゲームは「コイントス」。プレイヤーはコインの裏表いずれかのチームに所属し、コイントスにより自チーム側の目が出ると勝利、相手チーム側の目が出ると敗北する。つまり、本作においての勝敗は完全にランダムであるため、勝利を目指すゲームではない。勝敗の結果として増減するランクポイントを、さまざまなスキルにより覆し、シナジーにより倍率アップし、莫大なランクポイントの獲得を目指すオートバトルインフレ系ゲームとなっている。なお、基本的にシングルプレイゲームながら、最大4人でチームを組むことも可能だ。

ゲームプレイでは、まず3人のヒーローキャラクターから一人を選択。対戦においては、4対4のチームに振り分けられて試合開始する。試合中は自動的にコイントスがおこなわれ、コインの出目によって勝利するとゲーム内通貨およびランクポイントを獲得し、敗北するとランクポイントが減少する。また、勝敗によらずキャラクターの経験値を獲得してレベルアップしていく。先に3勝したチームの勝利となるため、3~5回のコイントスにより試合終了となる。先述した通り、勝敗は完全にランダムであるため、これだけであれば文字通りの運ゲーと言えるだろう。
そこで、本作の最大の特徴であるスキルによりランクポイントの増減を操作していく。たとえば初期キャラクターの一人であるメディックは「勝利時にポイント倍率アップ」「敗北時にポイントを回復」するスキルを持っている。出目の運が悪く敗北が続いてもポイントの減少を防ぎ、一度でも勝利できれば大量のポイントを獲得できるため、勝敗確率が2分の1に収束しなくても、必ずランクポイントは増えていくわけだ。

さらに本作では、eスポーツゲームを模したロビー画面からスキルパネルにアクセスできる。ヒーローキャラクターごとに固有のスキルがあり、レベルアップすると新たなスキルを獲得し、スキルポイントによりスキルを強化することもできる。スキルには勝敗によって発動、必ず発動といった条件が設定されており、ほかのスキルのトリガーとなるスキルも存在。発動回数が決まっているスキルもある。そしてスキルパネルは200以上と膨大で、すべてのパネルに優先発動順位が決められている。つまり、さまざまな条件を考慮して上手く連鎖するように大量のスキルを配置し、無数のシナジーを生み出すことで、勝敗問わずに膨大なポイントを獲得できるようビルド構築していくわけだ。スキル配置の組み合わせは1.38 × 10の112乗に及ぶという。
そのほか、ゲーム内通貨を利用してショップでギアを購入でき、ギアを装備することでポイントアップや経験値アップといったパッシブ効果が発動する。また、ロビー画面には架空の運営メールが届き、ちょっとしたストーリーも展開される。なお、対戦時にはマッチング待ち時間が発生するものの、リアルタイム対戦ではなく実質的にはロード時間であり、botやほかのプレイヤーのある時点でのデータとの対戦となるようだ。仮に強力なビルドのプレイヤーとマッチングしても、勝敗はランダムで、ポイントの獲得が目的なので問題ないだろう。

そんな本作が11月6日に発売され、好評を博している。Steamユーザーレビューは、約360件のうち96%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得。レビューが増え続ければ、レビュー総数500件以上かつ好評率95%以上が条件となる「圧倒的に好評」ステータスとなる見込みだ。また同時接続プレイヤー数は発売直後のピーク時に約1400人を記録しており、好調なスタートを切っている(SteamDB)。
開発者によれば、本作はeスポーツゲームにおける長い待ち時間や、一部の迷惑なプレイヤーによって台無しにされる試合といった、怒りが沸いてしまうような体験に対するアンチテーゼとして作られたという。コイントス勝負には不正の入る余地がなく、反射神経やプレイスキルなどにも依存しない。一方で、スキルビルドによるポイントの増減はプレイヤーの手に完全にゆだねられている。スキルビルドは膨大で奥深く、ヒーローによってまったく異なるビルド構築も必要となる。こうしたビルドの試行錯誤のために、「もう一度」とプレイしてしまう中毒性があるとして高く評価されている。

本作を手がけるEverybody House Gamesは、ゲームデザイナーのFrank Lantz氏の家族経営による開発スタジオだ。これまでに、クリップを生成し続けるインフレ系ブラウザゲーム『Universal Paperclips』や、Steam向けには文字パネルで英単語を作るバトロワゲーム『Babble Royale』などがリリースされ、いずれも高く評価されている。同氏が生み出すゲームデザインは、海外メディアから天才と称されたこともあるという。『Q-UP』も同氏の独創的な発想が十二分に発揮された作品と言えそうだ。
『Q-UP』は、PC(Steam)向けに配信中。リリース記念として11月20日まで、10%オフとなる税込1080円にて購入可能だ。




