高知能エイリアンから逃げるホラー『エイリアン アイソレーション』開発者、「怖くしすぎた、マイルドならもっと売れたかも」とこぼす。でも後悔はなし
サバイバルホラーゲーム『Alien: Isolation(エイリアン アイソレーション)』について、開発元Creative Assemblyの元スタッフが「怖くしすぎて売り上げが落ちたのかも」と振り返った。とはいえ、怖く作ったことについて後悔はないそうだ。

サバイバルホラーゲーム『Alien: Isolation(エイリアン アイソレーション)』について、開発元Creative Assemblyの元スタッフがポッドキャストにて「怖くしすぎた結果、売上が落ちたのかもしれない」とエピソードを交え振り返っている。一方で、怖くしすぎたことそのものについては判断を誤ったとは思っておらず、むしろ誇りに感じているそうだ。
『エイリアン アイソレーション』は、一人称視点サバイバルホラーゲームだ。映画「エイリアン」シリーズ1作目で描かれた宇宙貨物船ノストロモ号の事件から15年後の世界が舞台。エレン・リプリーの娘アマンダを主人公とし、プレイヤーは閉鎖空間である宇宙ステーション内を探索するなかで、エイリアンの脅威に立ち向かう。
本作はエイリアンがAIシステムに基づいて行動することも特徴で、プレイヤーを探し回り、“経験から学ぶ”ような仕組みになっているという。まるで「他のプレイヤーが操作している」かのように感じられるエイリアンの行動は、時には動画クリエイターなどによって「恐ろしいAI」として分析・紹介されるなど、本作の持ち味として話題となってきた(関連記事)。
本作の開発を手がけたのはセガ傘下のCreative Assembly。今回、同スタジオにナラティブデザイナーとして在籍していたライターのDion Lay氏がFRVRポッドキャストに出演。『エイリアン アイソレーション』の制作秘話などを語った。
同氏はまず、本作制作中にジャーナリストがスタジオに来訪し、少し遊んで帰っていった際のエピソードを語っている。予定では、そのジャーナリストは20分ほど遊び、ゲームについての軽いお喋りをして終わるはずだったとのこと。しかし、あまりにエイリアンが恐ろしすぎ、ロッカーの中でおびえて凍り付いてしまった結果、ジャーナリストは1時間もゲームをプレイする羽目になったという。所定の場所にたどり着いたり、一定のゲーム進捗を達成したりするまでに、恐怖で動けない時間があったということだろう。

Lay氏はそうしたエピソードを踏まえ、『エイリアン アイソレーション』が「多くの人にとっては怖すぎるタイトルである」とする評価を認めた。しかし同氏は、「恐ろしさをもっと緩和すればより売れ行きが伸びたかもしれない」としつつも、最終的にはマイルドにせず、そのままの怖さを押し出したことについては、誇りに思っているのだという。本作は発売から10年以上が経過するものの、先述したように本作の特徴として語り継がれており、“やりすぎ”なほどの怖さが異彩を放っている側面もあるのだろう。
なおホラーゲームの「恐怖感」調整については、カプコンが手がける『バイオハザード』シリーズなどでもしばしば話題を呼んできた。というのも一人称視点を初めて導入したシリーズ作『バイオハザード7』では怖さに耐えきれず、ゲームを進められないどころかそもそも始めないプレイヤーもいたという。そのため、「怖くなりすぎないように」することを主な目的として、シリーズ最新作『バイオハザード レクイエム』では、同作では一人称視点と三人称視点が選択可能に。三人称視点にすることで恐怖感から少し距離を置き、多少は恐怖に対処しやすくなると想定されているそうだ(関連記事)。
今回のLay氏の発言も見るに、ホラーゲーム開発においては、作品の持ち味となる「恐怖感」を、幅広いユーザーに楽しんでもらうためにあえて緩和するかどうかの葛藤も生じているようだ。Lay氏は怖すぎたことが売上に影響した可能性にまで言及しており、開発元にとっては重要な“バランス調整”となっている模様。先述した『バイオハザード レクイエム』のようにアクセシビリティ的に恐怖感を緩和するアイデアも登場しており、ホラーゲームにおける「怖さ」の扱い方は引き続き注目されるところかもしれない。
『Alien: Isolation(エイリアン アイソレーション)』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)/Nintendo Switch/PS4/Xbox One向けに販売中だ。続編が開発中であることも発表されている(関連記事)。