任天堂、海賊版配布サイト関係者に「約6億7000万円」の損害賠償を請求。沈黙続ける被告に欠席判決を申立て
米任天堂が、海賊版ショップなどの運営に関与していた人物を提訴した裁判において、同社が被告に対する欠席判決を申し立てたことが明らかになった。

米任天堂が昨年6月、海賊版ショップなどの運営に関与していたとみられるJames Williams氏を相手取って提起していた訴訟において、同社が被告に対する欠席判決(Default Judgment)を申し立てたことが明らかになった。このなかでは同社が被告に対して請求する損害賠償額なども明らかになっている。
今回の裁判において米任天堂は、Nintendo Switchの海賊版に関するRedditコミュニティ「r/SwitchPirates」に属し、Archboxと名乗っていた人物を提訴。任天堂の主張によればその人物は、海賊版ソフトを入手できるショップを宣伝したり、海賊版を使用したい人に対して技術的なアドバイスをおこなったりしていたとされる。また、海賊版ショップの運営にも関与していたとし、任天堂は損害賠償金の支払いなどを求めて提訴していた。訴状では、ArchboxはJames Williams氏なる人物であることが特定されている(関連記事1、関連記事2)。

今回米任天堂が裁判所に提出した文書によると、Williams被告は訴状の送達後に応訴せず、これまで本人や代理人からの反論もなかったそうで、欠席判決の申し立てがおこなわれている。また裁判所に対しては救済措置として、Williams被告の侵害行為などの恒久的な差し止め命令、および被告に向けて損害賠償の支払いを命じることを求めている。
このうち米任天堂が求めている損害賠償額については、450万ドル(約6億7000万円)におよぶ。ちなみに先日には米任天堂がNintendo Switch本体改造業者を相手取って提起していた訴訟が当事者の共同申立てに基づく最終判決に至り、被告には200万ドル(約2億9600万円)の賠償金などが命じられていた(関連記事)。今回はその倍以上の損害賠償金が請求されている格好だ。

米任天堂の調べによると、今回の被告であるWilliams氏は先述したとおりr/SwitchPiratesのモデレーターだけでなく、複数の海賊版配布サイトの運営にも携わっていたほか、技術的保護手段の回避ソフトやその使い方の紹介もおこなっていたとされる。権利侵害に関わる活動が広範に及ぶことからか実損の算定が困難なようで、損害賠償金については30本のタイトルに絞って算出されたそうだ。それぞれのタイトルに法定上限額となる15万ドルが請求され、合計450万ドルが請求されているかたち。
本稿執筆時点ではあくまで米任天堂側が欠席判決を申し立てた段階であり、どのような判決が下るかは注目されるところ。審理の日程は現地時間10月24日となっており、続報にも注目したい。