ゲーム開発者たちの間で「うちのゲームではこれできるよ」アピールが流行る。「家具から料理までほぼ全部強奪できる」など珍システム次々登場
Xにて、ゲーム開発者たちが自身のゲームのユニークなシステムを動画で紹介する投稿が流行の兆しを見せている。

Xにて、ゲーム開発者たちが自身のゲームのユニークなシステムを動画で紹介する投稿が流行の兆しを見せている。「you can do this in our game(うちのゲームではこれできるよ)」といった文言を添えたフォーマットで、連鎖的に広まっているようだ。
たとえばゲーム開発者のRelic Hunter氏は、現在開発中のローグライクアクションゲーム『Dark Light: Survivor』を紹介。本作はメトロイドヴァニア・アクションゲーム『Dark Light』の世界観にもとづく、サバイバー系の作品だ。本作の「これができる」特徴として、クォータービューの見下ろし視点から、肩越しの三人称視点へとシームレスに切り替える機能の実装が紹介されている。よくある一人称視点と三人称視点の切り替えとはまた違った味があり、 ドット絵風のレトログラフィックも相まって、ゲームの雰囲気ががらっと変わる演出が多くのXユーザーの心を掴んでいる。
またデベロッパーのYaza Gamesが紹介するのは、『Scriptorium: Master of Manuscripts』のゲーム内映像。本作では「パーツを組み合わせて中世の写本を自ら描く」ことができる。そうして徐々に名声を獲得し、最終的に女王陛下御用達の絵師となることを目指すゲームだ。条件にあった写本を作る注文をこなし、1000以上あるデザイン要素を次々とアンロックしていく。
Yaza Gamesはこれまでにも、写本をテーマにしたストラテジーゲームをリリースしており、独特の世界観を今度はパズルゲームに落とし込んだかたち。絵の中に登場する動物のキャラクターたちは手足などのパーツから自由に配置することができ、だれでも風情ある写本を作れるという、なんとも想像が膨らむ作品だ。
また、デベロッパーのDraw Me A Pixelが手がける『Crushed In Time』は、ホームズとワトソンの名コンビがゲームの世界を旅するアドベンチャーゲーム。「ポイント&クリック」と呼ばれるジャンルでありつつ、同作ではさらに「引っ張って離す」ことができる操作を導入。ゲーム内のオブジェクトをつまんで動かすことによって、謎を解いていくようだ。動画中には、オシレーター風の画面の波形をはじいて乗り物をジャンプさせたりと、ユニークなギミックが映っている。
ちなみに、Draw Me A Pixelが過去にリリースした「ゲーム内の存在が直接プレイヤーに話しかけてくる」アドベンチャーゲーム『There Is No Game: Wrong Dimension』は、Steamで2万2000件を超えるレビューを得て「圧倒的に好評」ステータスを獲得している。『Crushed In Time』は、メタ的な演出で高い評価を受けたスタジオの新作というわけだ。
なお筆者が確認する限り、ムーブメントの発端とみられるのは8月21日に投稿された『BANDIT KNIGHT』の紹介動画。同作は“HD-2D風”のドット絵グラフィックで描かれる、盗賊アクションゲームだ。プレイヤーは盗賊ギルド「キバドリ」の一員として、マップ中に配置された悪者たちのアイテムを、「救済」の名目で盗みまくる。
動画では食卓に並んだ料理や大型の家具なども次々と拝借し、さらにはNPCたちが着ている服も盗み去っている。「だいたいなんでも盗むことができる」わけだ。スピード感に溢れたゲームプレイの中では、かなり自由にやりたい放題できそうだ。『BANDIT KNIGHT』の公式アカウントはこうした作品の紹介動画を積極的にXで発信してきており、大きな反響を得たポストも多数存在。今回はそんな投稿の1つが開発者の間での流行に繋がったようだ。
ゲーム開発者がXで自身のゲームを紹介する流行は、過去にもさまざまな例が見られた。今年2月には、5秒で作品を紹介する動画が注目を集めた(関連記事)。同月には開発過程を1分で振り返る動画も流行(関連記事)。また8月には、「まず形にした」という開発の初期段階と、それを改良した様子を並べて示す投稿も賑わいを見せていた(関連記事)。つたない開発過程から完成したゲームのウリまで、さまざまな盛り上がり方で明かされるというのも、インディーコミュニティならではの発信方法と言えるだろう。