米国政府機関が“ポケモンゲット風”に「移民逮捕」をアピールし批判殺到。「無断利用では」と物議醸す
米国国土安全保障省の公式Xアカウントは9月23日、「Gotta Catch ‘Em All.」とするポストを投稿。アニメ「ポケットモンスター」の映像および楽曲が含まれており、物議を醸している。

米国国土安全保障省の公式Xアカウントは9月23日、「Gotta Catch ‘Em All.(全員捕まえなきゃね)」とするポストを投稿。このなかでは米国移民税関捜査局による不法移民などの摘発時の映像が紹介されるとともにアニメ「ポケットモンスター」の映像および楽曲が含まれており、無断利用の可能性が指摘されるなど、物議を醸している。
米国移民税関捜査局(Immigration and Customs Enforcement・ICE)とは、米国国土安全保障省のもとで2003年3月に設立された連邦法執行機関だ。人と物の違法な移動の撲滅などを掲げており、主要な活動のひとつとして、おとり捜査などを通じて不法入国・不法滞在者を逮捕し、強制送還してきたことで知られる。
今回、米国国土安全保障省の公式XアカウントはそんなICEの活動についてポストを投稿。ICEによる不法移民摘発の瞬間を収めたとみられる映像がさまざま紹介された。ただこのポストではアニメ「ポケットモンスター」の映像と共に、同アニメの英語版主題歌「Pokémon Theme」まで用いられている。またポストの文面「Gotta Catch ‘Em All.」は主題歌内の歌詞であり、日本語版での「ポケモンゲットだぜ!」にあたる、英語版の「ポケットモンスター」を象徴するフレーズだ。
つまり今回のフレーズは不法移民・不法滞在者を“捕まえる”ことを、ポケモンのゲットになぞらえたブラックジョークというわけだろう。また映像の最後には、実際の逮捕者の写真を「ポケモンカードゲーム」のカードのようにコラージュした演出も。弱点は氷(ice)となっているなど、「ポケモン」IPに絡めてICEの活動をアピールする内容になっている。
ただ今回の映像では扉を爆破して突入する映像が紹介されたり、顔にモザイク付きとはいえ逮捕者の映像が次々流れたりと過激な内容。「ポケモン」IPのイメージを損なうような内容であり、米国国土安全保障省がアニメの映像や楽曲を使用許諾を得て用いているかどうかは不明だ。
なおドナルド・トランプ大統領政権では過去にも複数回にわたって広報における著作物の無断利用が問題視されてきた(Variety、Ars Technica)。今回のポケモンにちなんだ投稿も「無断利用ではないか」と物議を醸している。前述したように「ポケモン」IPのイメージとはかけ離れた利用になっており、もし無断利用だった場合、今後株式会社ポケモンあるいは米国法人The Pokémon Companyがどのように対応するかは注目されるところだろう。