初代『スマブラ』実は海賊版対策に“遅延式おしおき”満載だった。「強制マリオモード突入」「吹っ飛びランダム化」などひっそり発動
『ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ』について、一風変わった海賊版対策が実装されているとして、にわかに話題となっている。

NINTENDO64向けに1999年にリリースされた『ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ』(以下、スマブラ64)。BlueSkyにてユーザー検証による本作の“一風変わった海賊版対策”が広まり、にわかに注目が寄せられている。
『スマブラ64』は対戦アクションゲームだ。任天堂の屋台骨たちが固有の技を使って相手にダメージを与えあう。体力を削りきるのではなく、場外に吹っ飛ばすことで撃墜をするシステムが特徴的ながら、ギミックのあるステージや試合にハプニングを引き起こすアイテムシステムなども特色だ。『星のカービィ』シリーズを手がけたゲームクリエイター桜井政博氏がディレクターを務めていることでもおなじみで、開発は主にハル研究所が担当している。
そんな本作の“海賊版対策”が今になって注目を集めている。『スーパーマリオ』シリーズのトリビアやコンテンツなどを中心に取り上げているアカウントSupper Mario BrothがX(旧Twitter)およびBlueSkyにて本作の著作権侵害対策を紹介。その内容とは、『スマブラ64』海賊版を69回以上起動すると、どのキャラクターを選んでもマリオでしか遊べなくなるというものだ。
この海賊版対策は、ゲームのお蔵入り要素やデバッグ情報などを解析・調査するコミュニティサイト「The Cutting Room Floor」にて伝えられている。また同サイトによれば、『スマブラ64』にはこのほかにも複数の著作権侵害対策が仕組まれているようだ。たとえば海賊版で22回起動するとすべてのノックバックがダメージ/ステータスに関係なくランダムに変動。そのほか1人用モードでは43回以上起動するとスティックの入力範囲が半分に縮小。93回以上ではステージがすべてピーチ城上空に固定されるという対策もあるようだ。しばらく遊んでいるところに散発的にこうした“不具合”が発生するよう仕込むことにより、海賊版の提供者や利用者から疑われにくくし、原因の特定を避けようとする意図があったのかもしれない。
こうして“時限式”に仕込まれた著作権侵害対策はSNS上で多くの注目を集めている。一方で正規版のカートリッジでも発生することがあるとの報告もユーザー体験としていくつか報告されているようだ。とはいえ、これらはいずれもチートを可能にするデバイスを挟んだ場合にのみ報告されているようで、通常のゲームプレイではまず発生しない現象だろう。
ゲームソフトの“海賊版対策”については、特に昔の作品では途中から進行不能になるといった珍しい対策が設けられている作品もさまざま報告されてきた。たとえば先述した「The Cutting Room Floor」では、『MOTHER2 ギーグの逆襲』にて何重もの海賊版対策が設けられており、いくつかの対策を回避して無理やり進行しても終盤でフリーズしてセーブデータが消去される対策があると報告されている。
一方で『スマブラ64』ではゲームシステム上進行状況ではなく、起動回数に基づく対策が設けられていたようだ。発売から長き時を経て、一風変わった海賊版対策がトリビアとして伝えられ、ユーザーの注目を広く集めているかたち。いずれにせよ、かつてから海賊版の存在がメーカーの頭を悩ませ、あの手この手で対策が講じられ続けてきたことがうかがえる事例といえるだろう。