新たな基本プレイ無料美少女ゲーム『チェイシング・カレイドライダー』は、「バイク美少女のドキドキRPG」だけどバイク移動なし。演出全振りADV×RPG
我々は新作に触れるときこれまでのゲーム体験から「〇〇と△△を組み合わせたイメージ」といった連想を試みることも多いだろうが、本作は「なぜバイクに乗って戦うのか」など、私が知る既存ジャンルには当てはまらなかった。だから調査。

『チェイシング・カレイドライダー』は、テンセント傘下の新スタジオ「Fizzglee Studio」が開発を手がける新作タイトルで、iOS/Android向けにリリースを予定している。「バイク美少女のドキドキRPG」と銘打たれており、バイクを駆る女性キャラクターがバトルを繰り広げるというコンセプトが公開済みだ。
我々は新作に触れるときこれまでのゲーム体験から「〇〇と△△を組み合わせたイメージ」といった連想を試みることも多いだろうが、本作は「なぜバイクに乗って戦うのか」など、私が知る既存ジャンルには当てはまらなかった。そのような未知のタイトルの全貌を解明すべく、正式リリースに先駆けオフライン体験会として先行プレイの機会を得た。本稿では約1時間の試遊を通して、筆者が感じた『チェイシング・カレイドライダー』のベールに包まれた本質について報告していきたい。
演出全振りのリッチなアドベンチャーパート
まずはあらすじを紹介しよう。本作の舞台は近未来の架空都市「テルミナス」で、主人公は「国立テルミナス学園」に通う生徒だ。卒業式にて自らが開発した感情測定システム「OGAS」を発表しようとしていたが、時を同じくして現実世界と「意識の海」と呼ばれる世界が重なった「交差現象」が発生し、人々のネガティブな感情から生まれる「癇獣」が出現。基本的に人間は意識存在である「癇獣」を見ることができないが、主人公だけは特異カレイドの瞳」を通じて、以前より「奇妙な化け物」として可視化していた。

そのような経緯もあり、「癇獣」の打倒を目的とする少女「ライダー」たちは、主人公をナビゲーターとして勧誘することに。間一髪でライダーに助けられた主人公だったが、古代種の癇獣「メイズ」に目を付けられ、逃げ惑う内にメイズが持つ特殊能力「癇域」により、迷宮に閉じ込められてしまう。主人公はライダーと協力しながら迷宮を脱出しようとするが……というあらすじだ。

プロローグの結末には「あっと驚く」展開が待ち受けており、約1時間のプレイだったが続きが気になる内容だった。また「交差現象」や「癇獣」といった独自の設定がストーリーの軸として機能しており、プロローグの段階ではこれらの要素が観念的で抽象的に感じられた部分も否めない。ただ正式リリース後であれば、プレイヤーは「癇獣」との戦いに巻き込まれた主人公とシンクロするかのように、個性豊かなライダーたちとの軽妙なやり取りを通して、世界の成り立ちや知識を自然と深めていけるのではないか。

特筆すべき点としてグラフィックの質の高さも挙げておきたい。スマートフォンにおける3Dゲームではジャギーが目立つケースが少なくないが、本作はPV映像をそのまま手元で動かせるかのようなクオリティを誇っていた。また筆者も実際に遊ぶまでは勘違いしていたのだが、本作はバイクがテーマでありながらフィールド探索によって進行するゲームではない。むしろ探索要素は一切存在せず(試遊範囲のプロローグだけかもしれないが)一話完結のチャプター式で、アドベンチャーパートとバトルパートを繰り返しながらゲームを進めていくのだ。

そのためオープンワールドや濃厚な探索要素を持つタイトルも多い現代の運営型ゲームの中では、いわゆるオールドスタイルのアプリゲームに近い印象を受けた。だがそれは本作においてはメリットにも変換されているように感じ、ストーリーとバトルにリソースを絞ったことによるあまりにもリッチな演出が魅力。ストーリーはテキスト付きカットシーンを中心に進行し、バイクがテーマのためアクションとして常時画面に動きがあり、時にはQTEも存在するため、試遊中は目が飽きなかった。
「セミリアルタイム爽快カードゲーム」がもたらす動的体験
本作のバトルは、「セミリアルタイム爽快カードゲーム」という独自システムを実装している。バトルの場には1ターンごとに合計4枚の能力カードが配られ、最大10つ溜められるエナジーを消費しながら戦闘を進めていく。能力にはエナジー消費量が少ないスキルと強力だが消費量が多い奥義が存在し、限られたエナジーをやりくりしながら効率的に敵を倒すことが求められる。また次に配布されるカード1枚は事前に把握できるため、「奥義カード」がストックされているときは、あえてエナジーを消費せずに溜めておくなど考えることは多い。

能力の効果範囲はプレイヤーが画面をスワイプして指定する形で、どの敵から倒すか、どの味方にバフを盛るかなど直感的に操作が可能。そしてバトル中にライダーとバイクの戦意が共鳴して同期率が100%になることで、「総攻撃」を繰り出すことができる。総攻撃中はエナジーの回復速度が上昇し、文字通りパーティー全体で一気に攻撃を行えるチャンスが生まれるのだ。「セミリアルタイム」と名付けるだけあって、プレイヤーは常に最善手を判断しながら思考しなければならない。さらに探索がないことで毎回カットシーンからバトルへ、プレイヤーのテンションが落ちないままシームレスに突入。バイクを駆りながら戦うことで次々に移り変わるグラフィックが味わえ、静的になりやすいコマンド選択式のバトルであっても爽快で動的な感触だったのは本作ならではだろう。

「バイク美少女のドキドキRPG」とは
『チェイシング・カレイドライダー』について、先行プレイを通じて考えた本質は、「バイク美少女のドキドキRPG」というジャンルで提示される「動的な物語体験」なのではないか。現代の多くのゲームが広大なフィールドの探索や、自由度の高いアクションでプレイヤーに”世界観への能動的な没入”を促すのに対し、本作は代わりにリソースを集中投下したリッチな演出と、物語の描写が前面に押し出されていた。そのおかげでプレイヤーはカットシーンとバトルがシームレスに繋がり続ける体験を通して、まるで映画を見ているかのように物語に引き込まれる。

静的になりがちなアドベンチャーパートは、プレイヤーの感情は一瞬たりとも減速することなくストーリーに引き込まれ、バイクの疾走感に後押しされた目まぐるしい画面演出と、瞬時の判断が求められる「セミリアルタイム」なカードバトルによって常に「動」へと加速されていく。自らの力で広大な世界を探索するのではなく、物語と演出が織りなす目まぐるしく変化する世界を、バイクと共に駆け抜けるゲームプレイとともに新しいタイプの疾走感を味わえるだろう。
『チェイシング・カレイドライダー』はスマートフォン向けに、Fizzglee Studioによって開発中。9月12日10時からはクローズドβテストが開催、9月11日12時より事前ダウンロードが開始されている。
『チェイシング·カレイドライダー』
▸ 公式サイト:https://kaleidorider.com/jp/
▸ 公式X:https://x.com/KaleidoRIDER_JP
▸ 公式Discord:https://discord.com/invite/chasingkaleidorider
▸ 公式YouTube:https://www.youtube.com/@KaleidoRIDER_JP