
Steamにて「成人向けゲームの早期アクセス配信」の審査が却下されたとの報告相次ぐ。アダルトゲームの早期アクセス、ひっそり規制か
Steamにて成人向けゲームを早期アクセス配信予定であった複数の開発者が、審査に落ちて“サポート対象外になった”と説明されたことを報告している。

Steamにて成人向けゲームを早期アクセス配信予定であった複数の開発者が、審査を却下されたと報告している。いずれもサポート担当者から、成人指定(アダルトオンリー)のゲームの早期アクセス配信がサポート対象外になったことを案内されているという。
今回審査落ちを報告した開発者のひとりが、『Heavy Hearts』を手がけるDammitbird氏だ(Game*Spark)。『Heavy Hearts』は、セクシャルな表現を含む成人指定(アダルトオンリー)のアクションゲーム。オークやドレイクといった怪物が台頭し、人類が絶滅の危機に瀕した世界で、性描写も交えながらLucciaの冒険が描かれるという。18歳以上のユーザー向けにSteamストアページも公開されており、早期アクセスとして配信される予定が記載されていたことが確認できる。
しかしDammitbird氏によると、現地時間8月30日にSteamサポートチームから審査に落ちたと連絡されたという。同氏が添付したスクリーンショットでは、成人向けのテーマを含むゲームについては早期アクセスという開発形態をサポートできないと説明。『Heavy Hearts』は早期アクセスとして申請されていたため審査を通過できなかったようで、早期アクセスではなく正式リリースする準備ができてから再申請するように案内されている。
こうした報告は最近になってほかの開発者からも寄せられている。たとえばデベロッパーのBlue Fairy Media Gamesも成人向けゲーム『The Restoration of Aphrodisia』を早期アクセス配信しようとして、Steamサポートチームから同じ対応を受けたという。なお本稿執筆時点では開発者向けガイドラインであるSteamworksドキュメンテーションに成人向けゲームが早期アクセスのサポート対象外であるといった記載はない。それにもかかわらず数週間待たされた挙句却下されたとして、Blue Fairy Media GamesはSteam側の対応を批判している。
このほか成人向けゲーム『Monolilith』の開発者Malerouille氏も、itch.ioにて同作がSteam早期アクセスの審査に落ちたと報告。同作においては当初Steamサポートチームからストアページ上の早期アクセスについての説明文を変更するように求められ、その審査を待つ状態にあったようだ。しかし後になって上述した作品と同様に、早期アクセス自体のサポートができないことが連絡されたという。同氏がサポートチームに対し「サポート対象外になったにもかかわらずなぜ当初説明文の変更を求めたのか」と指摘すると、謝罪と共に「これは新たな変更です(this is a new change)」との回答を受けたことが示されている。つまり最近になって“成人向けゲームの早期アクセス配信”に関する方針転換があった可能性もうかがえる。
Steamでは7月16日、開発者向けガイドラインであるSteamworksドキュメンテーションにおける「Steamで公開すべきではないもの」の内容が更新。Steamの決済サービス業者、関連カードネットワークや銀行、インターネットネットワークプロバイダーなどによって定められた規則や基準に違反する可能性のあるコンテンツ、特に特定の種類の成人指定(アダルトオンリー)コンテンツが新たに規制対象となることが示された。その後成人向けゲームを中心に、配信済みであった多数の作品がストアから削除されている(関連記事)。

そうした動きに関連して、今回報告されているような成人向けゲームの早期アクセスについての取り締まりも強化された可能性はある。早期アクセスではアップデートによってさまざまなコンテンツが追加されていくことが一般的であり、特に成人向けゲームでは新たなガイドラインに抵触するコンテンツがあっても把握が難しくなりうる。そうした点から、新たな規制が設けられた可能性もゼロではないだろう。
とはいえ先述のとおり本稿執筆時点ではガイドラインに記されておらず、どのタイミングから上述した対応がおこなわれているのか、またすべての成人向けゲームに対して同様の対応がとられているかどうかは不明。弊誌で確認する限りSteamストア上には直近では8月30日に早期アクセス配信開始された成人指定(アダルトオンリー)ゲーム(リンク先閲覧注意)もみられる。いずれにせよガイドライン上にない方針で審査を却下された開発者からは批判が生じており、今後Valve側の説明があるかどうかは注目されるところだろう。
