2人プレイ対応・物理演算手漕ぎボートゲーム『パドルパドルパドる』、どんどん売れて売上5万本突破。開発者は“バズった”と喜びの報告

人気の要素が掛け合わされたゲームプレイが“バイラル化”に繋がっているようだ。

個人デベロッパーのZoroartsは8月25日、自身が手がけた『パドルパドルパドる(Paddle Paddle Paddle)』について、売上が5万本に到達したと発表した。本作の対応プラットフォームはPC(Steam)で、ゲーム内は日本語表示に対応。人気の要素が掛け合わされたゲームプレイが“バイラル化”に繋がっているようだ。

『パドルパドルパドる』は、協力型のボートアドベンチャーゲームだ。本作はローカルまたはオンラインでの2人協力プレイに対応し、それぞれがパドルを1本ずつ操作することになる。コース上にはとげや溶岩など危険なオブジェクトが多数配置されており、ぶつかってしまうとチェックポイントまで戻されてしまう。2人で息を合わせながらコースの走破を目指す。なお、両方のパドルを1人で操作するソロプレイも可能だ。

本作を手がけたのはドイツ出身の22歳のゲーム開発者であるMateo Covic氏だ。Zoroartsとして活動するCovic氏は、7月25日に本作をリリースした。同氏にとって2本目となる作品だったが、瞬く間に注目を浴びることとなった。同氏は発売からわずか数日で売上本数1万本を報告。その後も勢いは衰えることなく、ちょうど1か月が経過した8月25日には売上本数5万本に到達したことを海外掲示板Redditにて発表した。

Covic氏によれば、本作のアイデアはシャワーを浴びているときにふと浮かんで来たという。また同氏は『Only Up!』スタイルのパルクールゲームに着想を得たと明かしており、特にたくさん遊んだゲームとして『Chained Together』の名前を挙げている。同作はAnegar Gamesが2024年に発売した最大4人での協力プレイゲームで、鎖に繋がれた状態で地獄からの脱出を目指す作品。自身のパドルトリップの経験をもとに、イライラ系ゲームと物理演算ベースのパドリングを組み合わせてみようと思ったとのこと。

そんな本作がヒットを記録している背景には、“バイラル化”があるようだ。本作はさまざまな海外ストリーマーにプレイされており、YouTube上では実況動画が散見される。今回のRedditの投稿に対してはユーザーから「見るからにストリーマーの大好物だ」とのコメントも寄せられており、Covic氏は「そういう作戦だったのさ(That was the plan!)」と回答。ストリーマー間で人気になることは織り込み済みだった様子だ。ちなみに本作は今年3月にリリースされたデモ版が、約250万人の登録者数を誇るPietSmiet氏をはじめとするドイツの著名ストリーマーによって遊ばれていたことも発売前にアピールされていた。

本作はパドルをそれぞれ担当する2人のプレイヤーが力を合わせないとクリアできないため、心を一つにしながら声を掛け合ったり、ときにはお互いに責任を押し付け合ったりしながらプレイすることになるだろう。物理演算による予想不可能な挙動も相まって、プレイヤーの喜怒哀楽が誘発されるところが持ち味。プレイの様子も見るだけでも楽しく、まさに配信向きの作品と言えそうだ。

また協力プレイと物理演算の組み合わせも、成功の要因かもしれない。近年では、山登りゲーム『PEAK』などの協力プレイ作品が続々とヒットを記録している。2025年上半期にはSteamにおける協力プレイ作品の販売収益が過去最高を記録したとの調査結果も報告されていた(関連記事)。そして物理演算も人気に繋がりやすい要素の一つであるとみられ、たとえば貴重品回収ホラー『R.E.P.O.』は、物理演算による不安定な挙動が配信映えするとして、SNS上での拡散によって大きく知名度を伸ばすことに成功していた。そうした人気を獲得しやすい要素に、パドルを使ったボート漕ぎというユニークなモチーフを掛け合わせた結果、大きな売上に繋がったのかもしれない。

『R.E.P.O.』

なお『パドルパドルパドる』は本稿執筆時点のSteamユーザーレビューで、約300件中80%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。日本語でのレビューも集まっており、国内での人気がさらに高まることにも期待したい。

『パドルパドルパドる』はPC(Steam)向けに配信中。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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