SIEの無期延期中ゲーム『Marathon』開発元BungieのCEOが退職。“PS Studiosへのスタジオ統合予定”も示唆されるなかで

BungieのCEO・Pete Parsons氏は8月22日、同社CEOを退任すると発表した。

米国のゲーム開発スタジオであるBungieのCEO・Pete Parsons氏は8月22日、同社CEOを退任すると発表した。同社は先日、PlayStation Studios(以下、PS Studios)に統合される方針が伝えられていた。

Bungieは1991年に創業(旧Bungie Software Products Corporation)。『Marathon』『Halo』『Destiny』などのシリーズで知られる。当初はMacintosh(Mac)向けのタイトルを制作していたが、のちにWindowsやコンソール向けにも展開をおこなうようになる。2022年7月にはソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)により買収され、傘下スタジオとしてゲーム開発をおこなっている。

『Destiny 2』

BungieのCEO・Pete Parsons氏は8月22日、同社CEOを退任すると公式サイトで発表した。Parsons氏は2002年からBungieに所属し、最高執行責任者(COO)などを歴任。2016年に最高経営責任者(CEO)に就任していた。「今こそ新たなスタートを切るとき(Today marks the right time for a new beginning)」として、後任のJustin Truman氏へとバトンを渡すことが明かされた。Truman氏はこれまで『Destiny 2』のゼネラルマネージャーおよび同社の最高開発責任者を務めていた人物で、Parsons氏は同氏がBungieを未来へと導くのにふさわしい人物であるとしている。

なお、Bungieは現在『Marathon』のリブート作品を開発中。当初は今年9月のリリースが予定されていたものの、6月には同作の無期限延期が伝えられた(関連記事)。アルファテストなどにおけるフィードバックを受け、ユーザーの期待に応えるためだと説明されているものの、同年5月にはデザイナーのANTIREAL氏のデザインおよびアートスタイルを盗用した可能性などが指摘されていたなかでの延期であった。要因の1つとなった可能性はあるだろう(関連記事)。

『Marathon』

ところで、8月7日に実施されたソニーの2025年第1四半期の決算発表会に際して、質疑応答の中で最高財務責任者(CFO)のLin Tao氏が同社傘下のBungieについて言及。確定はしていないものの、年度内、すなわち2026年3月までの間に『Marathon』を発売する見込みであると伝えた。そして同氏は長期的に進行中のプロセスとして、Bungieの独立性は薄れつつあり、SIEが抱えるPS Studiosへの統合が進んでいるとも語っていた。

Bungieでは昨年8月に従業員の約17%にあたる220名のレイオフが発表された際に、あわせてSIEとの事業統合を強化する方針が明かされていた。スタジオの約12%にあたる155名のスタッフをSIEに統合するとされ、移籍したスタッフが中心とみられるPS Studios内の新スタジオ「teamLFG」が今年5月に設立された(関連記事1関連記事2)。そうした動きとは別に、BungieそのものがPS Studiosに統合される方針もあるのかもしれない。

前述した方針と今回のParsons氏の退任との関連性は定かではないものの、買収当初は独立性を維持しつつ運営されていく方針であったBungieに変革が訪れていることがうかがえる。傘下入り後初の完全新作ながら開発の難航も垣間見える『Marathon』について、発売に向けた動向が注目されるところだろう。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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