Epic Games対Google裁判、裁判所がGoogle側の控訴を棄却。Epic Gamesのボスは「完全勝利」を宣言
Epic GamesがGoogleを訴えていた裁判について米国第9巡回区控訴裁判所は7月31日、Google側の控訴を棄却。Epic GamesのCEO Tim Sweeney氏は完全勝利を宣言している。

Epic GamesがGoogleを訴えていた裁判について米国第9巡回区控訴裁判所は7月31日、Google側の控訴を棄却した。これを受けてEpic GamesのCEO Tim Sweeney氏が完全勝利を宣言している。
これまでの経緯を簡単に振り返ると、ことの発端は2020年、Epic Gamesがモバイル版『フォートナイト』に独自の決済手段を実装し、Googleへの手数料支払いを回避できる選択肢をユーザーに提供したことにある。規約上これを認めないGoogleは、Google Playストアから同作を削除。そしてEpic Gamesは、Googleが自社の決済手段をメーカーに強制し、手数料を徴収していることを市場を独占する行為であると主張して提訴した。
同裁判では2023年12月に、陪審員が満場一致でGoogleの反トラスト法(独占禁止法)違反を認める評決をし、2024年10月に終局判決が下された。その中で裁判所はGoogleに対し、メーカーがほかの決済手段を利用できるようにすることや、Google Playストア上で他社ストアアプリの配信を許可することなどについて命令。しかしGoogleは、ユーザーのプライバシーおよびセキュリティを危険にさらす措置であることなどを訴えて控訴した(関連記事)。
今回第9巡回区控訴裁判所は、これまでに出された陪審員の評決および連邦地裁の恒久的差し止め命令を支持し、Googleの控訴を棄却した。これを受けてEpic GamesのCEO Tim Sweeney氏は、完全勝利(Total victory)だとSNS上でコメント。さらに、Android版Epic GamesストアがGoogle Playストアを通じて配信されることになるだろうとした。
Android版Epic Gamesストアでは、『フォートナイト』や『Fall Guys』『Rocket League Sideswipe』といったEpic Gamesタイトルのほか、他社のゲームアプリも数多く配信されている。またPC版ストアと同様に、ゲームアプリの無料配布も定期的に実施。現在は、ユーザーがEpic Games公式サイトを訪れてダウンロードする必要があるが、Google Playストアで提供できるようになれば、より利用が広がるかもしれない。
裁判所はGoogleに対し最大8か月の猶予を与えており、同社は2026年3月までに、Google Playストアに他社ストアアプリを迎え入れる技術的な準備を終えなければならない。ただ、これは米国内での裁判の結果であるため、Googleが日本を含む米国外でも他社ストアアプリの配信を認めるかどうかは不透明だ。また海外メディアThe Vergeによると、Googleはさらに上訴する方針を示しているとのこと。Epic Games側は完全勝利を宣言し、実際裁判は同社に有利に進んできたが、まだ完全決着とはならないかもしれない。