Steam含む「成人向けゲーム規制」唱える団体Collective Shout、「Steam側が無視したからクレカ会社を巻き込んだ」と声明
人権擁護団体Collective Shoutは7月28日、同団体の抗議活動に関して声明を発表した。同団体はSteamおよびitch.ioにおける成人向けゲームの規制強化のきっかけになったとみられており、寄せられている批判に反論する意図があるようだ。

オーストラリアの人権擁護団体Collective Shoutは7月28日、同団体の抗議活動に関して声明を発表した。同団体はSteamおよびitch.ioにおける成人向けゲームの規制強化のきっかけになったとみられており、声明には寄せられている批判に反論する意図があるようだ。
Collective Shoutは女性や子供の性的搾取に反対する非営利の人権擁護団体だ。同団体は今年3月にリリースされた成人向けのビジュアルノベルゲーム『No Mercy』をきっかけに、同作を取り扱っていたSteamやitch.ioに対する抗議キャンペーンを実施。結果的に同作は、開発者が自らストアから取り下げることになった(関連記事)。
その後Collective Shoutは、Steamとitch.ioに存在する特定のテーマのアダルトゲームについての懸念を、VISAやMastercard、JCB、PayPalなどの決済事業者に対する公開書簡として表明。その直後にSteamにおいては、決済代行業者および関連するカード会社・銀行、インターネットプロバイダーが定める規則や基準に違反する可能性のあるコンテンツ、なかでも特に特定の種類の成人向けコンテンツが公開すべきではないコンテンツとして新たに指定された。その後すぐさま多数の作品がストアから削除されている(関連記事)。

またitch.ioでは、すべての成人向けNSFWコンテンツが、同サイト内でのブラウズおよび検索結果ページから除外。クレジットカードの決済代行業者から調査を受け、そうしたコンテンツの審査を実施することとなり、それが完了するまでの措置として閲覧制限をかけているという。itch.ioはこの背景として、Collective Shoutによる先述の公開書簡がきっかけとなり、決済代行業者がitch.ioを調査することになったと伝えていた(関連記事)。
そうしたなかでCollective Shoutはキャンペーン運動について虚偽の主張や誤情報があるとして、声明を発表した。同団体に向けての批判に返答する意図があるようだ。まず声明では、同団体はSteam上にある強姦や近親相姦を題材とするゲームに関して何か月も異議を唱えていたと説明。一方でSteam側からは一切返答がなかったため、決済代行業者側に働きかける必要があったとしている。
またitch.ioでは先述のとおりすべての成人向けNSFWコンテンツがブラウズおよび検索結果ページから除外されているが、Collective Shoutが削除要請をおこなったのは、あくまで女性への性的暴力や拷問を含むコンテンツだけであったとのこと。Collective Shout側で削除を要請したコンテンツは限定的であり、あくまでitch.io側の判断で広範囲にわたる規制が実施されているといった主張のようだ。

Collective Shoutの抗議活動をきっかけとしてか、Steamおよびitch.ioでは大規模な規制がおこなわれている。これまでそれぞれのストア上で配信が認められていた多数の作品が削除あるいは規制の対象となり、突然の基準の変化にユーザー間には混乱も広がっている。発端とみられる抗議活動をおこなっていたCollective Shoutは一部ゲーマーコミュニティから強い批判を受けており、このたび声明を投じるに至ったようだ。声明では問題の原因がSteam側やitch.io側の対応にあるといった内容が示されており、同団体が批判されるようないわれはないという主張だろう。いずれにせよ、今後Steamとitch.ioにおける混乱がどのように収束していくのかは注目される。