『Escape from Tarkov』のハードコアワイプ、“しばらくタスク封印状態”で賛否分かれる。のんびり進めたい派orワイプダッシュしたい派

Battlestate Gamesは7月9日、『Escape from Tarkov』に向けてパッチ0.16.8.0を配信し、「ハードコアワイプ」を実施した。この新たな試みについてプレイヤーの間では議論が巻き起こっている。

Battlestate Gamesは7月9日、『Escape from Tarkov』に向けてパッチ0.16.8.0を配信した。今シーズンでは、さまざまな厳しい制限が課される「ハードコアワイプ」が導入されており、この新たな試みについてプレイヤーの間では議論が巻き起こっている。

『Escape from Tarkov』は、PvPvE要素をもつハードコア脱出シューターだ。本作の舞台となるのは、政治的混乱から無法地帯となり隔離された架空の都市Tarkov。プレイヤーはソロまたはフレンドと部隊を組んでマッチに参加し、NPCやほかのプレイヤーと戦いつつ貴重な戦利品を獲得して、最終的にマップから脱出することを目指す。死亡した場合、持ち物や装備をロストするハードコアなゲームルールも特徴だ。現在は有料のクローズドベータとして配信中。

7月9日、Battlestate Gamesは本作に向けてパッチ0.16.8.0を配信。このアップデートでは、全プレイヤーのデータが一斉にリセットされる「ワイプ」が実施されており、プレイヤーたちはサーバーメンテナンスの終了と同時に一斉にスタートを切った。なお今回は「ハードコアワイプ」と呼ばれる特殊なシーズンになることが告知されており、フリーマーケットの利用不可やマップへのアクセス制限、全マップでのボス確定沸きをはじめとするさまざまな条件が課されることが伝えられた(関連記事)。

そうしてついに始まった新シーズンについては、プレイヤーの間で賛否両論が分かれており、特にその中でも現在、とある制限が波乱を呼んでいる。というのもBattlestate Gamesの代表であるNikita Buyanov氏がメンテナンス終了直前に投稿したポストにより、ハードコアワイプの開始後の一定期間はタスクを受注することができなくなるという制限が判明。なお、デイリータスクおよびウィークリータスクについては、特定のレベルに上昇することで受けられるようになるとのこと。

本作では、トレーダーの品揃えなどのさまざまな要素が、キャラクターのレベルに応じて少しずつ開放されていく仕組み。タスクによって得られる経験値は、プレイヤーがレベルを上げる手段の中でも大きなウェイトを占めているため、各トレーダーからタスクを受け、それを順々にこなしていくというのが従来の本作の核となるプレイサイクルになっていた。今回のシーズンではフリーマーケットの利用もできないことから、高価なアイテムを探し求めるという楽しみも低減しており、ましてやタスクすら受けられなくなることで、プレイに対するモチベーションが大きく削がれてしまったとするユーザーの声も聞かれる。

一方で、タスクがないことによるメリットを挙げるユーザーも散見される。ワイプ直後にトレーダータスクを一気にこなしてゲームを進める、いわゆる“ワイプダッシュ”による恩恵が減ることで、熟練プレイヤーとの格差が広がりすぎる状況を緩和できるとする意見である。本作には、ワイプ開始早々にタスクでレベルを上げることにより、周りのプレイヤーよりも強力な弾やアーマーを使えるようになるという大きな先行者利益が存在する。そうしてプレイヤーベースが強くなると、次第に対人戦が絡む一部タスクの達成が困難になっていく状況もあった。

ワイプダッシュはコミュニティにおけるある種の恒例行事となっており、本作の盛り上がりに貢献してきた側面はあるものの、後追いするプレイヤーにとっては苦しい環境が構築されることから問題視もされてきた。たとえば前回のワイプにあたる昨年12月のパッチ0.16.0においては、フリーマーケットがワイプ後約2週間使えなくなるという措置が設けられており、そうした格差問題を解消するための施策ではないかと考えられていた。序盤にタスクを受けられなくすることで、ワイプダッシュに出遅れたプレイヤーでもある程度対等にプレイできるようにしたいという開発元の意図があるのかもしれない。

今回のハードコアワイプにより、一時的ではあるもののトレーダータスクという本作のゲームプレイの根幹を成すシステムが排除され、コミュニティには動揺が走っているようだ。とはいえ、ハードコアな側面は本作の特徴でもあり、競合タイトルが増えているPvPvE脱出シューターというジャンルにおいて今なお異彩を放つ持ち味といえる。トレーダータスク以外にもさまざまな面が厳しくなった点を楽しむ反応もあれば、プレイサイクルの冗長化や目標の消失を批判する声もあり、賛否が分かれている様子だ。

なお本作開発元は2025年内の正式リリースを目指すことを公表している。裏を返せば本作はまだあくまでクローズドベータであり、リリースに向けて挑戦的な要素を試す狙いもあるのだろう。開発元はユーザーのフィードバックを注視しつつ、プレイヤーの進行度に合わせて段階的に調整をおこなう方針を示している。タスクの開放時期はいつになるのか、今後の展開が注目される。

Escape from Tarkov』はPC向けにクローズドベータで配信中。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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