レア社が“10年以上”手がけた注目作『Everwild』、開発中止。ベテラン社員もスタジオを離脱

マイクロソフトの大規模レイオフの影響を受け、レア社(Rare)で開発中だった『Everwild』が中止となるようだ。

マイクロソフトにて9000人以上におよぶレイオフが実施されると発表。ゲーム部門でのスタジオの閉鎖やプロジェクトの中止も相次いで伝えられる中、レア社(Rare)の手がける新作アクションアドベンチャー『Everwild』も開発中止となるようだ。加えて本作ディレクションを担当するGregg Mayles氏などがRareを退社すると明かされている。

『Everwild』は、Rareの新規IPとして2019年に発表されたアクションアドベンチャーゲームだ。プロトタイピングを含めるとプロジェクトは2014年ごろから始動されていたとされ(VGC)、発表当初は「ユニークで忘れられない体験が、大自然と魔法の世界で待っている」と案内されていた。また2020年に公開されたトレイラーは、さまざまな動物とともに行動する様子が映されており、壮大な大自然の中での冒険を示唆させるものとなっていた。同スタジオは本作について、魅力的かつ意味深い記憶に残る体験をプレイヤーに提供することを目指しており、単なる新規IPというだけでなく、真にオリジナルで特別な作品であると表現していた。

なおRareは『スーパードンキーコング』シリーズなどの開発元として知られるが、2002年に任天堂からマイクロソフトに売却。マイクロソフト傘下では『Sea of Thieves』などを手がけてきた。そして今回マイクロソフトにて、9000人以上におよぶレイオフが実施されることが明らかとなった。海外メディアWindows Centralなどは、Xbox Games Studio責任者のMatt Booty氏の社内向けメール内容を報道。同氏はRareの手がける『Everwild』、およびThe Initiativeの手がける『Perfect Dark』の開発を中止すると伝達した(関連記事)。大規模なレイオフが、マイクロソフトゲーム部門のプロジェクトにも影響が出たかたちだ。

またVGCが関係者証言として伝えるところでは、本作のディレクションを担当していたGregg Mayles氏がRareを退職するという。Greg氏は1989年にゲームテスターとしてRareに入社して以来、35年以上にもわたって同社に在籍し続けた人物だ。『バンジョーとカズーイの大冒険』のリードゲームデザイナー兼プロジェクトリーダーを務め、同シリーズのデザイン面を長らく担当。そのほか『スーパードンキーコング2』のプロデューサーを務めるなど、Rare発のさまざまなタイトルに関わってきたベテランだ。

またGregg氏とともにLouise O’Connor氏もRareを退職するとのこと。Louise氏も1999年よりRareに在籍しているベテランだ。担当したタイトルには『Conker’s Bad Fur Day(コンカーズ・バッド・ファー・デイ)』や『バンジョーとカズーイの大冒険: ガレージ大作戦』、『Kinect スポーツ』などがあり、主にアート面で開発に携わっていた。

『Everwild』については、2020年に公開されたトレイラーを最後に、新たなゲーム内映像は公開されない状態であった。野心的な作品を目指す中で開発は紆余曲折を辿っていたこともうかがえる(GamesRadar+)。とはいえ今年2月にはXbox EraのポッドキャストにてMicrosoft GamingのCEO、Phil Spencer氏が本作の開発に進捗があり、また時間をかけて開発を進めていることに肯定的な姿勢も見せていた。しかしそんな『Everwild』およびRareについては、今回のマイクロソフトにおける大規模レイオフの影響を強く受けたようだ。プロジェクトの中止とベテラン2名の退社を経て、今後同スタジオはどのように舵を切っていくのだろうか。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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