人気ステルスFPS『Skin Deep』開発元、「ソースコード」を公開。発売から2か月足らずで

Blendo Gamesは6月26日、ステルスFPS『Skin Deep』のエンジン部分のソースコードを公開したことを発表した。

デベロッパーのBlendo Gamesは6月26日、ステルスFPS『Skin Deep』のエンジン部分のソースコードを公開したことを発表した。ソースコードは誰でも閲覧できるほか、GPLライセンスを守る限り個人利用・商用利用ともに自作品に使うことができる。

『Skin Deep』は4月30日にリリースされたばかりの、ステルスが重要な一人称視点のシューターゲームである。プレイヤーは保険会社のエージェントとして、宇宙船に侵入した宇宙海賊の対処と、乗組員の救出をすることになる。ただし、プレイヤーは1人なのに対し、賊は複数人、数も装備も敵のほうが有利な状況、まともに撃ち合うだけでは勝ち目はない。そこでプレイヤーは敵に気づかれないようにしつつ、バナナの皮やコショウなどの身近なものまで利用して敵を効率的に仕留めていくわけだ。そんな独特の戦闘システムや、自分が使ったコショウで自分もくしゃみをしてしまうなど妙なリアリティのあるゲームプレイが好評を博し、本作は本稿執筆時点のSteamユーザーレビューで約1000件中94%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。

今回公開されたのは、そんな『Skin Deep』のエンジン部分である。『Doom 3』に使われたことでも知られる「idTech4」をベースとしており、具体的には『Doom 3』のオープンソース版「dhewm3」をもとに開発されている。Blendo Gamesの公式ブログによれば、idTech4が作られたのは2004年。『Skin Deep』の開発にあたっては、2025年のゲームに求められる多くの機能を実装する必要があり、大変な作業だったとのことである。また、『Skin Deep』のゲームプレイは『Doom 3』とは大きく異なるため、多くの追加や変更点もあるようだ。ちなみに公開されたのはエンジン部分のソースコードであるため、画像・音声といった『Skin Deep』のアセットは非公開である。

ソースコードはGPL(GNU General Public License)ライセンスのGPL-3.0に基づいて公開されている。同ライセンスは、著作物の利用・再配布・改変などを制限しないという「コピーレフト」という考えに基づいている。「copyright(著作権)」の反対だから「copyleft」というわけだ。そして、GPLで公開されたものを改変して作成されたものにもGPLは適用される。そのためソフトウェアが公開・配布された場合には、GPLに基づいてソースコードを公開する必要が生じる。今回の公開は、そんなGPLに従っておこなわれたものであろう。

つまり『Skin Deep』のソースコードを用いて自作品を制作した場合、その自作品にもまたGPLが適用され、公開しなければならない。ライセンスが二次的な著作物にも適用されるこの性質は「ライセンス感染」とも呼ばれる。もちろんBlendo Gamesはこの性質について承知の上で利用し、公開をおこなっているものと思われる。自作品に使う場合は、GPLのこうした性質にも注意した上で利用するようにしたい。

とは言え、公開されたソースコードは自作品に利用する以外にもさまざまな用途が考えられる。2025年のゲームとして実装された多くの機能について学習するのも良いし、プログラミング教材として教育目的に利用することもできる。エンジン改良のため自ら改善やバグ修正をおこなって貢献することもできるだろう。ソースコード公開に続いて27日には『Skin Deep』のマップキットの公開もおこなわれているため、Mod制作の足がかりとするのも良いかもしれない。いずれにせよ人気作のソースコード公開は、開発者を中心に注目を集めている様子だ。


『Skin Deep』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)向けに配信中。現在Steamではセールを実施中で、7月11日までの期間限定で定価の20%オフとなる税込1880円で購入可能だ。

Naoto Morooka
Naoto Morooka

1000時間まではチュートリアルと言われるようなゲームが大好物。言語学や神話も好きで、ゲームに独自の言語や神話が出てくると小躍りします。

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