将棋ソフト『銀星将棋10(仮)』発表。AIを利用した局面の丁寧解説機能を新搭載、初心者から上級者まで学びやすい

株式会社シルバースタージャパンは6月19日、将棋ソフト『銀星将棋10(仮)』をPC向けに発表した。生成AIを活用した、局面解説機能が搭載されるという。

株式会社シルバースタージャパンは6月19日、将棋ソフト『銀星将棋10(仮)』を発表した。対応プラットフォームはPC(Windows)。

『銀星将棋10(仮)』は、局面の解説機能を備えた将棋ソフトである。開発を手がけるのは、将棋・麻雀・囲碁などのゲームソフト開発を主におこなう会社、シルバースタージャパンだ。『遊んで将棋が強くなる! 銀星将棋DX2』や『銀星囲碁23』などといった製品を、PC/コンソール向けに送りだしている。

将棋ソフトにおけるAIとは、おもに局面を解析して良し悪しを評価値という数値で示すものを指すことが多い。従来の将棋AIでは、この局面は先手がやや優勢、この局面は後手が勝勢といった、ソフトによる評価を知ることはできても、なぜその局面が優勢と言えるのかといった根拠については人間が判断するしかないものだった。本作では生成AIを利用して、局面の形勢や手の良し悪しを言語化して解説する機能が搭載されるようだ。

『遊んで将棋が強くなる! 銀星将棋DX2』

将棋はプレイヤー双方のすべての情報が開示される。見えないのは先の展開で、互いに見えない未来の部分で自分が優位になるように手を進めていく。ただし、駒を動かす方法は初期状態ですら30通り存在する。もちろん戦術的に有効とされる手の数は限られるが、たとえ1手5種類に絞ったとしても、1手先で5通り、2手先で25通り、3手先なら125通りと、想定される未来の数は指数関数的に増えていく。そうした未来の予測「読み」を、現代の将棋では「持ち時間」というプレイヤーに与えられた思考時間の中でおこなう必要がある。

考えられる未来が指数関数的に増える都合上、将棋ソフトを強くするのは至難の業だと思われていた。実際、有志による将棋ソフト同士を戦わせる大会「コンピュータ将棋選手権(現世界コンピュータ将棋選手権)」が1990年に初開催された時点では、その強さは人間のトッププロには遠く及ばなかった。しかし2010年前後には将棋ソフトはトッププロに匹敵するほどの強さとなり、株式会社ドワンゴが主催した2012年の「第2回電王戦」では正式ルールのもとで現役のプロ棋士が初めて敗れるまでになる。その後も将棋ソフトは発展を続けており、今では多くのプロ棋士が将棋ソフトを研究に活用している。

通常、強くなるための研究に将棋ソフトを活用するには、有志によって公開されている将棋ソフトを用いる。ところが、将棋ソフト本体だけでなくShogiHome/ShogiGUI/将棋所といったGUI(画面表示アプリ)も不可欠であり、より深い検討をしたい場合には、高性能なPCも必要となる。加えて、将棋ソフトが示す解析結果についてはプレイヤー自身が考え、読み解くしか方法がなく、ソフトの導入をするにも、活用にもハードルが高いという側面があった。

『銀星将棋10(仮)』は導入が容易であるだけでなく、将棋ソフトによる局面の解析に生成AIによる言語化を組み合わせた「局面を言葉で解説してくれる機能」が搭載される。戦法の判定、局面の優劣、良手・悪手の解説などを自然な日本語でわかりやすく提示してくれるという。このことで、これまで将棋ソフトによる解析を活用することが難しかった初心者〜中級者はもちろんのこと、上級者に向けても便利な検討用ツールとなりそうだ。

本作には指導対局モードも搭載されるため、オンライン将棋などの実戦の場に向かうのに気が引ける初心者プレイヤーも経験を積みやすいだろう。本作を活用すれば、序盤・中盤・終盤、隙がないプレイヤーとなれるかもしれない。また株式会社シルバースタージャパンは2025年9月に幕張メッセで開催予定の「東京ゲームショウ2025」に出展するとのことで、『銀星将棋10(仮)』もデモ展示、試遊体験ができるという。『銀星将棋10(仮)』の局面解説機能を体験したい人は、試遊してみるといいだろう。

『銀星将棋10(仮)』はPC(Windows)向けに開発中。リリースは2025年内となる見込みだ。

Naoto Morooka
Naoto Morooka

1000時間まではチュートリアルと言われるようなゲームが大好物。言語学や神話も好きで、ゲームに独自の言語や神話が出てくると小躍りします。

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