本家『アニマルスパ』開発者が、「アニマルスパ」を名乗る他社ゲームに怒る。日本でのブランド価値を毀損するとして
鄭誠芽(ジョン・ソンア)氏は、韓国の他社が同一タイトル名の新作をリリースしたことに対して非常に驚きを感じているとコメント。

デベロッパーのSinkhole Studioは6月1日、現在PC(Steam)向けに配信中の風呂屋運営シミュレーションゲーム『アニマルスパ』のタイトルを、『ラインドッグ:アニマルスパ』に変更した。英語タイトルについては『Animal Spa』のままとなっており、日本向けタイトルだけを変更したかたちであるが、同スタジオからは現時点で特に発表はない。
実は本作については、別のデベロッパーSUPERTHUMbが日本における商標権侵害を訴えており、これを受けての対応だったようだ。

『アニマルスパ』改め『ラインドッグ:アニマルスパ』は、動物たちが訪れる銭湯を運営する放置ゲーム要素のある作品だ。プレイヤーは、お客をもてなしお金を稼ぎながら、浴室や休憩室などの設備を追加・カスタマイズし、風呂屋を発展させていく。また、横長のゲーム画面が採用され、PCのデスクトップ画面の下部分にだけ表示させ、ほかの作業をしながら楽しむことができる点も特徴。本作は、PC(Steam)向けに今年5月に配信され好評を得ている。
一方でデベロッパーのSUPERTHUMbも、同じ『アニマルスパ』というタイトルのゲームをリリースしている。本作は、温泉施設を作り動物たちを招待する放置系ゲームだ。独自の温泉をデザインし、また休憩室やサウナも用意して、お客の動物からドングリを稼ぐ。また、さまざまな種類のお風呂グッズをあらかじめ購入しておき、お客の求めに応じて提供する要素も存在。そうして施設の評判を上げていくと、招待できる動物がさらに増えていく。本作はiOS/Android向けに2018年に配信され、高い評価を獲得している。
このように両作品は似たようなコンセプトを持っているが、SUPERTHUMbの『アニマルスパ』の方が約7年先にリリースされている。さらに、SUPERTHUMbは日本にて「アニマルスパ」のタイトルを商標登録済み(登録番号:第6621978号)。そのため同スタジオは、Sinkhole Studioの作品は日本における商標権を直接的に侵害、または混同・誤認を招くおそれがあると指摘した。おそらくSinkhole Studioにも懸念を直接伝えており、その結果『ラインドッグ:アニマルスパ』へとタイトル変更されたのだろう。
実はSUPERTHUMbとSinkhole Studioは、共に韓国に拠点を置くスタジオである。先行してリリースされたSUPERTHUMbの『アニマルスパ』は、韓国のApp StoreおよびGoogle Playにて部門1位の評価を得るなど、多くのユーザーに支持され成功を収めてきたという。
同スタジオの代表・鄭誠芽(ジョン・ソンア)氏は、韓国の他社が同一タイトル名の新作をリリースしたことに対して非常に驚きを感じているとコメント。また、「特に日本市場および日本のユーザーの皆様は、弊社にとって非常に大切な存在であり、本件によって日本におけるブランド価値が損なわれることを深く懸念しております」と述べている。

弊誌の取材に対し鄭誠芽氏に、Sinkhole Studioが『ラインドッグ:アニマルスパ』へとタイトル変更したことが十分な対応であるかどうかも訊いてみた。すると鄭誠芽氏は『ラインドッグ:アニマルスパ』について、「アニマルスパ」という名称が引き続きタイトルに含まれているため、自社ゲームとの関連性を想起させたり、ユーザーに混乱を与える可能性が残っていると考えているとコメント。十分な対応ではないとの認識があるようだ。
また、SUPERTHUMbは『アニマルスパ』をグローバルで配信しており、「Animal Spa」という意味を各国の言語に合わせてタイトルをローカライズ。その結果、日本以外の地域でもゲームタイトルが完全に一致、または類似している状況が確認されているとのこと。中でも「アニマルスパ」という名称は、日本のユーザー向けに特別にローカライズされたものであり、正式に商標登録をおこなっているとした。ちなみに、米国向けには『Animal Hot Springs』というタイトルで配信されており、こちらも同国にて商標登録されている。
SUPERTHUMbが手がけた『アニマルスパ』は、iOS/Android向けに基本プレイ無料にて配信中だ。また、Sinkhole Studioの『ラインドッグ:アニマルスパ』はPC(Steam)向けに配信中であるが、上述したような状況があるため、今後さらにタイトルが変更される可能性もあるかもしれない。