誰からでもスリできる傑作RPG『盗人講座』無料配信開始。“配信サイト閉鎖”に二度遭遇したフリーゲーム、再々公開
wataru氏は5月24日、『盗人講座』の再公開をおこなった。長らく入手困難となっていた名作フリーゲームが再び公開されたかたちだ。

個人ゲームデベロッパーのwataru氏は5月24日、短編RPG『盗人講座』の再公開をおこなった。対応プラットフォームはPC(Windows)で、価格は無料。長らく入手困難となっていた名作フリーゲームが再び公開されたかたちだ。
『盗人講座』は2001年に公開された「RPGツクール2000」製のフリーゲームである。戦闘や広大なマップといった要素をあえて排除した、探索要素に重きを置いたものとなっている。プレイヤーは自由な盗賊に憧れる王子となり、盗人ばかりが暮らす盗賊の町ミストでスリに励んで学費を稼ぎ、「盗賊講座」を受講することになる。

本作は、登場するキャラクターのほぼ全員に向かってスリを試みることが可能というユニークな作品だ。ただし、スリに挑戦できる回数はキャラクターごとに限られている。盗んだアイテムがカギとなってイベントが発生することもあり、キャラクターの意外な一面や秘密が明らかになることも。想定プレイ時間は2〜4時間ほどという短編作品ながら、一度のプレイでは見きれないほどのイベントがあるため、繰り返し遊んで盗賊の町をめぐるストーリーを味わい、コレクションを集めるように楽しむことができるだろう。
本作は公開当初は、インターネットコンテストパークのサイトでダウンロードすることが可能だった。しかし2008年に同サイトが閉鎖したことにより、本作は入手が困難な作品となっていた。2021年にはドワンゴが提供する「ゲームアツマール」にて一度は再公開が果たされたが、同サービスが2023年6月に終了したことで、またしても入手が困難となってしまう。そして今回、2度の入手困難化を経て、フリーゲーム配信サイト「フリーゲーム夢現」にて再々公開されるに至った。
本作は2001年のインターネットコンテストパークで金賞を受賞したほか、第5回エンターブレインゲームコンテストのコンストラクションソフト作品部門で入賞、FREE GAME AWARDS 2003入賞などの受賞歴を持つ、2000年台初頭のフリーゲームを代表する作品のひとつとして知られている。物語性のある作品として高く評価されており、2004年には中国語(繁体字)版も公開された。再々配信されたこの機会に遊んでみるのもいいだろう。

本作を手掛けたwataru氏はほかにも、アスキーソフトウェアコンテストでグランプリを受賞した『クック・ドゥ・ドゥル・ドゥー』、本作と同様に盗人となって情報を収集して事件を解決する『盗人探偵』などを制作してきた。現在は『一橋動物記』というアドベンチャーゲームをPC(Steam)向けに開発中で、2025年上半期中にリリース予定となっている。こちらもコレクション性や物語性などの高い作品となっているようだ。同氏の今後の活動にも注目したい。

『盗人講座』はPC(Windows)向けに公開中だ。