Nintendo Switchの技術面を支えるNVIDIA、「まさにWin-Win」だったという任天堂との協力関係は20年先まで見据える

NVIDIAは11月10日、2017年会計年度第3四半期の業績を発表した。Seeking Alphaがその説明会の模様を伝えている。発表の中で同社は、ゲーム部門の売上高は前年同期比63パーセント増の12億4000万ドルだったとした。

NVIDIAは11月10日、2017年会計年度第3四半期の業績を発表した。Seeking Alphaがその説明会の模様を伝えている。発表の中で同社は、ゲーム部門の売上高は前年同期比63パーセント増の12億4000万ドルだったとした。Pascalアーキテクチャを採用したGPUが収益に大きく貢献したとし、その需要は地域を問わず、また製品のいずれのグレードにおいても力強いものだったと説明した。

質疑応答の中でこのゲーム部門の成長について問われた同社社長兼CEOのJen-Hsun Huang氏は、先月正式発表された任天堂の新型ゲーム機Nintendo Switchについて触れている。NVIDIAは任天堂と共同開発したカスタマイズ版TegraプロセッサーとゲーミングAPI NVN、そして同社のGeForceシリーズと同じアーキテクチャを採用するGPUをNintendo Switch向けに供給する。

Jen-Hsun Huang氏「この成長には任天堂の貢献もかなり大きかったといえるでしょう。ご承知のとおり、任天堂は今後非常に長い期間にわたってこの新しいアーキテクチャと共に歩むことになります。そのため我々は彼らとおよそ2年間にわたって取り組んできており、数百人年もの労力をこのコンソールに注ぎ込んできました。(NVIDIAの公式発表では500人年としている)。みなさんがNintendo Switchを実際に見てプレイした時には、その素晴らしさに驚きを感じることでしょう。もちろん彼らが持っているゲームコンテンツなどのブランドも非常に素晴らしいものです。この両社の協力関係は今後20年は続くものと思われ、私もとても期待しています。」

別の質問への回答の中では次のようにも語っている。

Jen-Hsun Huang氏「昨今、ゲームのクオリティは著しく向上しています。それはPCとXboxやPlayStation、そしてNintendo Switchが、ある意味共通のアーキテクチャを使用していることが理由の一つでしょう。もちろん設計や機能はそれぞれまったく異なりますが、アーキテクチャの特徴は非常に似通っています。したがって、ゲーム開発者は同じコードを使用してより大きなインストールベースをターゲットにすることができます。このことがゲームの生産性とそのクオリティを引き上げることにつながっているのだと考えています。」

また、この説明会の後でおこなわれたVentureBeatとのインタビューの中で、Huang氏は他社のコンソールへの参画には意義を見いだす必要があるとしたうえで次のように語っている。

Jen-Hsun Huang氏「Nintendo Switchは画期的なデザインを採用していました。昨今のゲームを走らせるためには高い性能が必要です。しかし一方で、任天堂は携帯型ゲーム機のようにも機能することを望んでいたので、コンパクトかつ高いエネルギー効率も求められました。この前例のない目標のために我々は彼らの開発チームと協力しながら、技術チームを二つ編成して数百人年の労力を投入してきました。このようなプロジェクトはとてもやりがいがあり、我々に刺激を与えてくれます。まさにWin-Winだったということです。」
NVIDIA社長兼CEO Jen-Hsun Huang氏 Image Credit: NVIDIA
NVIDIA社長兼CEO Jen-Hsun Huang氏 Image Credit: NVIDIA

Huang氏の発言から、2014年末か2015年初頭にはNintendo Switch向けSoC(System on Chip)の開発が始まっていたということがわかる。ちょうどNewニンテンドー3DSが発売された頃だ。もちろんNintendo Switch自体の開発はそれよりも前から始まっているはずだが、おりしも2014年は任天堂がWii Uの販売計画を大きく引き下げるなど、Wii Uの販売不振が広く報じられた年でもあった。なお任天堂は先週、日本国内におけるWii U本体の現行ラインナップについて近日生産終了予定だと発表している。

また、Huang氏は任天堂との協力関係は今後20年は続くだろうとした。任天堂のコンソール機のライフサイクルはこれまで5年程度だったことを考えると、Huang氏はNintendo Switchだけにとどまらず、その何世代も先まで見据えていることがうかがわれる。最近ではPlayStation 4 ProやProject Scorpioといった、ライフサイクルの途中で互換性を維持したアップグレード版本体を発売する動きが出てきているため、仮に任天堂もこのトレンドに追従するとなれば、NVIDIAが果たす役割はより大きなものになるだろう。また同社は今回の任天堂との仕事を通じて大きな手応えを感じたようだ。Nintendo Switchの後継機に限らず、今後また別の形の製品を開発するとなった場合にも両社のコラボレーションが見られるかもしれない。

Huang氏はさらに、マルチプラットフォームで開発することがゲームのクオリティ向上につながっている要因のひとつだとし、その中にNintendo Switchも含めた文脈で語っている。現時点で発表されているマルチプラットフォームのNintendo Switchタイトルは『ドラゴンクエストX』『ドラゴンクエストXI』『Just Dance 2017』『Project Sonic 2017』などがあるが、Nintendo Switchのパートナー企業には主要メーカーが軒並み名を連ねており、WiiやWii U以上にマルチプラットフォームタイトルが増えることを期待させる。

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任天堂は2017年1月13日に開催する「Nintendo Switch プレゼンテーション 2017」で、ソフトウェアラインアップなどNintendo Switchのさらなる詳細を発表する予定だ。続く14日と15日には一般入場も可能な「Nintendo Switch 体験会 2017」が実施される。さらに、2017年2月11日と12日に開催される「闘会議2017」でも体験会が予定されている

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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