人気ストラテジー『StarCraft II』内で突然“ショッキング映像”が流れるハッキング被害発生、公式が対策に乗り出す。いたずらではすまない悪質行為

ストラテジーゲーム『StarCraft II』のゲーム内で不快な映像が流れるハッキング被害が報告されている。Blizzard Entertainmentはこの問題に対し、対処をおこなっている。

海外掲示板Redditにて、ストラテジーゲーム『StarCraft II』のゲーム内で不快な映像が流れるハッキング被害がユーザーによって報告された。この投稿には過去に同様の被害を受けたプレイヤーからのコメントも集まり、開発元は脆弱性の修正を進めるとの声明を出した。海外メディアKotakuが報じている。

『StarCraft II』は、宇宙規模の戦争をテーマにしたRTS(リアルタイムストラテジー)ゲーム。Terran・Zerg・Protossという3つの種族で、全く異なったゲームプレイをもつことが特徴。資源を採集してユニットを強化していき、相手の拠点を破壊することを目指す。本作は2010年にリリースされ、のちに複数のDLCによって拡張。2017年以降は基本プレイ無料で運営されている。国内での人気は控え目ながら、世界的には競技シーンも盛んだ。7月7日から開催されるeスポーツの世界大会「Esports World Cup 2025」でも採用されている。開発はBlizzard Entertainmentが手がけている。

本作について、海外掲示板Redditのサブレディット「r/pcgaming」にて、RedditユーザーのTad0422氏が4月21日、『StarCraft II』プレイ時の体験を共有した。同氏は本作の「Arcade(アーケード)」モードで、コミュニティによって作成されたカスタムマップを複数人で遊んでいたという。プレイ開始から数分後、突然フルスクリーンで動画が再生され始める。ロシアのポップミュージックらしき動画が再生されたかと思うと、直後なにやら男性が店に立ち入る動画に切り替わる。その映像には、男性が人間の頭を銃で撃ちぬく殺人シーンが映っていたという。パニックに陥った同氏はすぐにゲームを強制終了。部屋には同氏の娘もいたため、恐ろしい映像を見せてしまったかもしれないとして怒りをあらわにした。

同氏は当初、プレイしたカスタムマップに問題があると考えていたが、Discordコミュニティでやり取りしたところ、同様の現象が他のカスタムマップでも発生していることが判明したという。暴力的な映像やポルノ映像などの不適切なコンテンツを、審査済みのカスタムマップの中に仕込むハッキングがおこなわれているようだ。

Tad0422氏のこの投稿は大きな反響を呼び、多くのユーザーによってこの問題が認識されることとなった。また、本作において同じような被害を受けたプレイヤーのコメントも集まっている。あるユーザーはてんかん発作を引き起こすような点滅映像を見せられたとしており、またあるユーザーは一人称視点で撮影された殺人事件の映像を見てしまったという。中には1年以上前から被害にあっているという情報もあり、本作に蔓延る深刻な問題であることが明らかになった。ハッキングの動機は不明ながら、非常に悪質な行為といえるだろう。

そして4月23日、この問題を報じた海外メディアKotakuの問い合わせに対して、本作の開発元であるBlizzard Entertainmentが回答。またTad0422氏の投稿に対してもBlizzard Entertainmentのスタッフが返答している。回答では、ポリシー違反にあたるコンテンツを削除した上で、先述の不適切なコンテンツを強制的に視聴させるようにハッキングしたアカウントに対し、停止処分などを科したという。またハッキングに利用されたとみられる脆弱性を現在修正しており、その間マップエディターを通してカスタムマップやModをアップロードする機能を一時的に停止するとの方針を明らかにした。

ゲームとは関係のない不快な映像を流す行為は非常に悪質だ。コミュニティによって作られるカスタムマップを、ユーザーが安心してプレイできる環境を保つため、早急な対処が求められている。

StarCraft II』はPC向けに、基本プレイ無料で配信中。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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