「バトロワゲームの流行が落ち着き気味」との市場調査データ。しかし『フォートナイト』『PUBG』はまだまだ人気
ゲーム業界の市場調査会社Newzooは4月8日、「The PC & Console Gaming Report 2025」を公開した。このなかではバトルロイヤルやシューターといった各ジャンルのプレイ時間の統計が示されており、人気の推移が垣間見える。

ゲーム業界の市場調査会社Newzooは4月8日、「The PC & Console Gaming Report 2025」を公開した。さまざまなトピックに分類されて同社の集計してきたデータが示されており、このなかでは近年のゲームのジャンルごとのプレイ時間の推移なども報告されている。
Newzooは、オランダ・アムステルダムに本社を構える市場調査分析会社だ。ゲームやeスポーツ、モバイル市場といった分野をおもな対象とし、世界および国別データの提供をおこなっている。
今回Newzooが公開したレポート「The PC & Console Gaming Report 2025」では、過去のデータに基づき、2025年のPC・コンソール市場の見通しなどが紹介。このなかではユーザーによるゲームの総プレイ時間の、近年の動向に焦点を当てたレポートも紹介されている。なおデータはNewzooの「Game Performance Monitor」サービスに基づいており、多くのデータは中国とインドを除く、37か国から集計されているとのこと。

まずPC・コンソールゲームの総プレイ時間は2021年以降少しずつ増加を続けているようで、2024年全体では前年比で6%増加。プレイされているゲームの内訳としては、買い切り型ゲーム(Pay-to-Play)は約60%、基本プレイ無料ゲームは(Free-to-Play)約40%で推移していたようだ。
またゲームジャンルごとの総プレイ時間の推移も示されており、2021年から大きな変化を見せたのはシューター系とバトルロイヤル系のジャンル。シューター系とバトルロイヤル系のゲームは2021年から毎年、総プレイ時間の約40%を占めてきた。一方でそのシェアは変化を見せており、2021年にはシューター系/バトルロイヤル系がそれぞれ22%/19%であったところ、翌2022年にはそれぞれ23%/16%に変動。また2023年にはそれぞれ27%/12%となり、2024年にはそれぞれ28%/12%となった。つまりこの4年間でシューター系作品の総プレイ時間が6%の増加を見せた裏で、バトルロイヤル系は7%の減少となったわけだ。

バトルロイヤル系ゲームといえば、『PUBG: Battlegrounds』(以下、PUBG)、『フォートナイト』などを筆頭としてストリーミング配信などを巻き込みつつ、2020年前後に非常に高い人気を博していた。後発作品としても『Apex Legends』『Call of Duty: Warzone』といったバトルロイヤル系シューター作品のほか、『Fall Guys』『NARAKA: BLADEPOINT』などアクションゲームもさまざま展開されていた。
上述のデータにおいて、シューターかつバトルロイヤル系の作品がどのように分類されているのかは不明。なおデータによれば2021年のバトルロイヤル系作品の総プレイ時間は『フォートナイト』が43%を占めていたところ、2024年には77%になっていたという。つまり、『フォートナイト』以外のバトルロイヤル系作品では、年々プレイされる時間が減っている状況があるのかもしれない。なお『フォートナイト』ではバトルロイヤル以外に、「UEFN」によるユーザー制作コンテンツも多数展開されている点には留意したい。
ちなみに『PUBG』についても近年プレイヤー数を伸ばしているようで、SteamDBを見ると2021年は最大で46万7758人であったところが、2024年には最大80万8258人に増加。また3月23日には2019年ぶりに同時接続プレイヤー数が100万人を突破し、134万7327人ものプレイヤーを集めていた。

『フォートナイト』『PUBG』については引き続き好調ぶりも見えるものの、たとえば『Apex Legends』などは2024年大きくプレイヤーベースが減少した様子もうかがえた(関連記事)。一世を風靡し、多種多様なゲームが創出されたバトルロイヤル系のジャンルながら近年では大型の新作も少なく、ジャンル自体の流行は落ち着きを見せたといえそうだ。
反面、先述のとおりNewzooのレポートを見るにシューター作品自体は人気が高まっている状況もある様子。昨年にはチーム対戦TPS『マーベル・ライバルズ』が大々的なデビューを飾ったほか、『Call of Duty』シリーズ作品は買い切り型ゲームの中でも特に長い総プレイ時間を誇っていたという。
またRPG系作品も2021年は9%であったところ2024年には13%までシェアを伸ばしており、2023年にリリースされたゲームがプレイ時間を多く占めていたとのこと。報告内では作品の例として、『バルダーズ・ゲート3』『Starfield』のほか、『ディアブロIV』『崩壊:スターレイル』といった作品が挙げられた。買い切り型・ライブサービス問わず、RPGあるいはARPG系のジャンルの人気が根強く、じわじわと高まっていることもうかがえる。

ちなみにプラットフォーム別で見ると、PCではシューター・RPG・MOBAが人気。コンソールではスポーツゲーム・バトルロイヤル・シューターが人気といった風に、プラットフォームごとにジャンルの人気も異なるようだ。
近年のゲーム業界のさまざまな動向が示されているNewzooのレポート。新作展開が落ち着きを見せていたバトルロイヤル系ゲームなど、流行の移り変わりがプレイ時間の変動としてデータで示されているのは興味深いところかもしれない。