元PlayStationの顔Shawn Layden氏、SIE退職のきっかけは「ライブサービス重視への方針転換」だった。専門外だったので
かつてソニー・インタラクティブエンタテインメントにて要職を務めたShawn Layden氏は、2019年に同社を退職した。社内の方針転換も退職を決断するきっかけになったという。

かつてソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)にて要職を務めたShawn Layden氏は、2019年に同社を退職した。これまで同氏は心労を理由に挙げていたが、それとは別に社内の方針転換も退職を決断するきっかけになったという。
Layden氏は1987年にソニーに入社し、その後SIEの前身であるソニー・コンピュータエンタテインメント時代からさまざまな要職を務めてきた人物だ。2018年には、ファーストパーティータイトルを手がけるSIE Worldwide Studios(現PlayStation Studios)のチェアマンに就任。PlayStationの顔のひとりとして、当時大型イベントなどにもたびたび登壇した。
Shawn Layden氏は、PS5発売の約1年前にあたる2019年9月にSIEを退職。現在は、Tencent Gamesの戦略アドバイザーを務めている。そんな同氏は3月24日、海外メディアIGNの元ビデオプロデューサーDestin Legarie氏のYouTubeチャンネルに出演。ゲーム業界のさまざまな話題について語るなかで、自身のSIE退職について言及した(上の動画の47分50秒辺りから)。
Layden氏によると当時SIEは、PlayStationプラットフォームの将来に関する戦略について、ある決定をおこなったという。それは、GaaS(Games as a Service)いわゆる運営型タイトル(ライブサービスゲーム)や、サブスクリプション、継続的な収益獲得などに重きを置いた事業展開をするというもの。それまでSIEは、売り切り型のタイトルを中心に手がけてきたため、大きな方針転換となる。
Layden氏は、『ゴッド・オブ・ウォー』や『アンチャーテッド』『The Last of Us』『Horizon』『Marvel’s Spider-Man』といった売り切り型タイトルの開発を率いてきたとし、運営型タイトル開発は得意分野ではないとコメント。また、そうした新領域へのビジョンや熱意も持っていなかったため、32年務めたソニーを離れる良いタイミングだと考えて退職を決断したそうだ。
なおSIEは2022年に、『Destiny 2』の開発元として知られるBungieを買収。運営型タイトルを手がける知見・技術の取込みや、自社タイトルのこの領域への拡大などが目的だと発表された。また当時には、BungieとほかのPlayStation Studiosとの緊密な連携により、2025年度までに10タイトル以上のライブサービスゲームをローンチする計画であることも明らかにされ、Layden氏が言及した新戦略が着実に進められてきたことがうかがえる(関連記事)。
その後展開された運営型タイトルでは、SIEが販売を担当した『HELLDIVERS 2』は大ヒットを記録したものの、『CONCORD』は不評によりリリースからわずか10日で販売中止。また、傘下のBend StudioとBluepoint Gamesが開発していた各ライブサービスゲームも、未発表のまま開発中止されたことが明らかとなり、思うように成果が残せていない状況にある。とはいえSIEによると、同事業におけるプロセス改善は着実に進捗しており、確立されたIPでヒットの予⾒性が⾼いシングルプレイゲームと組み合わせたタイトルポートフォリオの構築を進めていくとしている(関連記事)。