『スーパーマリオ オデッセイ』の壊せないブロックを「叩きまくって無理やり壊す」根性テクニックが約7年越しに脚光浴びる。ほぼ使い道はない

『スーパーマリオ オデッセイ』(以下、マリオオデッセイ)は任天堂より2017年に発売された作品だ。そんな本作の隠された仕様が、約8年越しに日の目を浴びることになり話題となっている。GamesRadar+が伝えている。
『マリオオデッセイ』はいわゆる「3Dマリオ」作品だ。クッパからピーチ姫を取り戻すため、旅の途中で出会った帽子の「キャッピー」とともに飛行船オデッセイ号に乗って「パワームーン」を探す冒険に出る。敵キャラクターやオブジェクトに憑依できる「キャプチャー」などの新システムやテーマごとに区切られたいくつものワールド(国)が特徴だ。
話題となったのは、本作で「ツックン」という敵キャラをキャプチャーした時の仕様についてだ。ツックンは鳥の頭のような見た目で、キャプチャーするとそのくちばしを伸ばして攻撃やブロックの破壊ができるほか、爆弾を弾いて飛ばす、壁にくちばしを刺して登っていくなどのアクションもできる。
ツックンをキャプチャーして、パワームーンを取得する箇所が本作には登場する。それは「クッパの国」の「門のかたいブロックの中」などのパワームーンで、金属ブロックの中に隠された、パワームーンやそのかけらを獲得するようになっている。この金属ブロックは、ツックンで数度つついて壊れるようなものではない。そのため通常のプレイではツックンのアクションで爆弾を弾き飛ばし、ステージに存在する特定の金属ブロックに当てて、爆風で金属ブロックを破壊して入手する。
「スーパーマリオ」シリーズに関する小ネタを研究するユーザーSupper Mario Broth氏がXに投稿したのは、ツックンをキャプチャーした状態で金属のブロックをつつく動画だ。通常、金属のブロックはつついても壊せず弾かれてしまう。しかし動画では弾かれてもつつき続け、200回つついたところでなんとブロックが壊れ、中にあったパワームーンを取得できた。根気強くつつき続けるという方法でも入手できる仕様を知らない人が多く斬新な方法に見えたのか、Xの投稿は2万5000を超えるいいねを獲得し、注目を集めている。
なお、この仕様は今回が初出ではなく、発売から約2か月後の2017年12月にはXにて別のユーザーにより同様の動画が投稿されていた。だがその時は特に話題にならず、今回改めて取り上げられ注目されたかたちとなった。発売から約2か月後の『マリオオデッセイ』というと、RTAといったやり込みプレイも盛り上がりを見せていた時期だ(関連記事)。
初出の投稿もツックンの仕様に注目したものというよりは、この仕様によりマリオが1コインも獲得せずクリアする「0コインチャレンジ」が可能なのではないかという趣旨のものだった。クッパの国では、爆発でブロックを壊してしまうとコインを獲得してしまう。そのため周りのブロックを巻き込まない「ツックンの200回突き」によって、0コインチャレンジが可能になっている。
改めて話題になったSupper Mario Broth氏の投稿でも、この仕様を知っていたユーザーのコメントがちらほら見られ、『マリオオデッセイ』のコミュニティ内ではそれなりに知られていた仕様だったようだ。とはいえ200回もつつくというのは普通に遊んでいるプレイヤーはなかなか気づくことのない内容だ。任天堂の細かな作り込みへの感心と、発売から約8年も経ったゲームにまだ広く知られていない仕様があるという事実が、このような注目を集めた原因なのかもしれない。

「3Dマリオ」作品は『スーパーマリオ64』を中心に、RTAや特殊な縛りプレイが衰えない人気を誇っており、そのための調査も盛んにおこなわれている。たとえば『スーパーマリオ64』のとあるステージでは、浮き沈みする足場が時間とともに少しずつ上昇していくという現象が2018年に報告された(関連記事)。それはその後同作の「Aボタン禁止RTA」にテクニックとして用いられ、2024年に見事達成された(関連記事)。
『マリオオデッセイ』のRTAもいまだ盛況となっており、RTAの記録を集積するSpeedrun.comによると、最速でのクリアを目指す「Any%」の世界記録のランキング上位はこの数か月の記録が多く、世界一の記録が更新されたのもわずか2か月ほど前だ。また、前述のツックンの仕様を利用した「0コインチャレンジ」も既に達成されており、その後研究がつづけられた結果、現在は「0コイン、ジャンプ無し、ノーダメージクリア」なるレギュレーションもある。つい6日ほど前には、このレギュレーションを1時間半ほどで達成してしまう動画も登場した。今回話題になった仕様は再発見というかたちではあるものの、発売から約8年経ってもいまだに研究される『マリオオデッセイ』の人気や、本作のRTAコミュニティの高い熱量を示した興味深い事例だと言えそうだ。
『スーパーマリオ オデッセイ』はNintendo Switch向けに販売中だ。