『パルワールド』の特許権侵害訴訟は、ポケットペアにとっても“寝耳に水”だった。権利関係は大丈夫と思いきや

「Game Developers Conference(GDC)」にて、株式会社ポケットペアのJohn Buckley氏が講演を実施。任天堂および株式会社ポケモンから特許権訴訟が提起された当時のポケットペアの様子などが明かされている。

米国・サンフランシスコにて現地時間3月21日まで開催されている「Game Developers Conference(GDC)」にて、株式会社ポケットペアのJohn Buckley氏が講演を実施。同社が手がける『Palworld / パルワールド』(以下、パルワールド)を巡って、任天堂および株式会社ポケモンから特許権訴訟が提起された当時のエピソードなどが明かされている。

GDCは、1988年から毎年開催されているゲーム開発者の国際会議だ。プログラマーやアーティスト、ビジネスリーダーなど、幅広い分野のゲーム開発関係者が参加する催しとなっている。プログラミングやデザイン、ビジネスや法律関係に至るまで、多岐にわたるゲーム関連の話題に関するカンファレンスや討論がおこなわれる。


今回のGDCでは、ポケットペアのBuckyことJohn Buckley氏による講演が実施された(GamesRadar+)。同氏はコミュニケーションディレクターおよびパブリッシングマネージャーを務める人物であり、同社でのコミュニティマネジメントをテーマとする内容の講演だ。このなかでは、『パルワールド』を巡って進められている訴訟にまつわるエピソードが明かされている。

『パルワールド』を巡っては、昨年9月に任天堂および株式会社ポケモンがポケットペアに対して特許権の侵害訴訟を提起。同作が複数の特許権を侵害しているとして、両社はポケットペアに対し『パルワールド』の差止めおよび株式会社ポケモンに対する500万円及び遅延損害金の支払い、および任天堂株式会社に対する500万円及び遅延損害金の支払いを求めている(関連記事)。

進行中の訴訟ということもあり、Bucky氏は現在の状況については話せないと前置き。とはいえ訴訟が提起された当時のことを振り返っている。同氏によれば『パルワールド』のリリース前には法的なチェックもおこなわれたとのこと。本作に向けてはユーザーから『ポケットモンスター』との類似性なども一部指摘されていたが、ポケットペアは日本国内では法的な懸念がないという見解を明言していた。


そうして法的チェックも済んでいたため、ポケットペアのスタッフは『パルワールド』を巡って任天堂に訴えられたことには驚いたとのこと。すぐさま弁護士に相談し、弁護士から裁判所への問い合わせで特許権侵害訴訟であることが判明したそうだ。Bucky氏は、スタッフの多くがショックを受ける出来事だったと振り返っている。

任天堂および株式会社ポケモンが訴訟について明らかにした当時、著作権や商標権といった領域ではなく、特許権を争点に訴訟が起こした点については一般ユーザーの耳目を集めた。Bucky氏も「特許侵害での提訴は誰も考えてもなかったことだろうし、多くの人がショックを受けたと思う」とコメント。また先述したエピソードを見るに、一般ユーザーだけでなくポケットペア側としても予想外の事態だったようだ。

そうした『パルワールド』を巡る特許権侵害訴訟は現在も進行中。また任天堂は日本国内での訴訟と別に、米国でも訴えの準備を進めているとみられる(関連記事)。先述したとおり日本での訴訟で任天堂と株式会社ポケモンは損害賠償のほか『パルワールド』の差止めを求めており、裁判の行方は注目されるところだ。

一方でポケットペア側は現時点では『パルワールド』の運営・提供を中断する予定はないとしており、3月下旬にはクロスプレイ対応アップデートが配信予定。ほか、『テラリア』とのコラボなど、今年もさまざまなコンテンツが実装される見込みだ。

パルワールド』は、PC(Steam/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S/Xbox One向けに配信中。PC/Xbox Game Pass向けにも提供中だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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