対戦格闘ゲーム『スカルガールズ』開発元、「約2億円分報酬を踏み倒された」と販売元を訴えつつ開発から離脱宣言。ただ販売元いわく“開発体制は変更済み”

対戦格闘ゲーム『スカルガールズ』シリーズの開発元Hidden Variable Studiosは3月6日、現在両作品の開発から手を引き、販売元のAutumn Gamesと係争中であることを明らかにした。

対戦格闘ゲーム『スカルガールズ 2ndアンコール』およびモバイル向けの『Skullgirls: 対戦型RPG』の開発元Hidden Variable Studiosは3月6日、現在両作品の開発から手を引き、販売元のAutumn Gamesと係争中であることを明らかにした。

一方、Autumn Games側も3月7日になって声明を発表。両作品の開発体制に何らかの変更がおこなわれたことを示唆し、ファンが困惑する事態となっている。


『スカルガールズ 2ndアンコール(Skullgirls 2nd Encore)』は、Reverge Labs/Lab Zero Gamesが手がけた2D対戦格闘ゲームだ。本作は、PCおよびコンソール向けに展開され、またゲーム内容がアレンジされたモバイル版『Skullgirls: 対戦型RPG』も配信。Hidden Variable Studiosはモバイル版の開発を担当し、のちにLab Zero Games設立者のスキャンダルをきっかけに、シリーズ全体の開発を指揮するようになった(関連記事)。

最初のリリースから10年以上経つ『スカルガールズ 2ndアンコール』および『Skullgirls: 対戦型RPG』は、高い人気を背景に継続的に開発がおこなわれ、新規キャラクターの追加などが実施されている。そうしたなか、Hidden Variable Studiosは3月6日に声明を発表。同スタジオは、販売元Autumn Gamesとの争いを原因とし、今年1月21日から両作品を含む『スカルガールズ』関連作品の開発には携わっていないことを明らかにした。

Autumn Gamesは、『スカルガールズ』シリーズのみを手がけているパブリッシャーで、同シリーズの権利元でもある。今回Hidden Variable Studiosは、Autumn Gamesを相手取り提訴したことを公表。理由については言及されなかったが、3月5日に公開された訴状によると、Autumn Gamesからの報酬不払いが発生しており、その支払いを求めて裁判を起こしたそうだ(GamesIndustry.biz)。

Hidden Variable Studios側の主張によると、昨年11月から今年1月にかけて予定されていた複数回の報酬支払い期日に、Autumn Gamesは支払わなかったという。そして、その後も不払いが継続。Hidden Variable Studiosは、Autumn Gamesとの契約上の要求は満たしているとし、裁判では不払いとなっている報酬総額122万7308.98ドル(約1億8000万円)の支払いを要求している。

また訴状にてHidden Variable Studiosは、コミュニティのサポートに必要なアカウントのログイン情報を、Autumn Games側に提供したことも明らかにしている。ゲームに不利益をもたらさないためとのこと。つまりHidden Variable Studiosとしては、不払いが解消されるまで『スカルガールズ』シリーズには関与しないということだろう。

これを受けてAutumn Gamesは3月7日、『Skullgirls: 対戦型RPG』の公式Xアカウントを通じて声明を発表。その中で同社は、過去15年間にわたり『スカルガールズ』シリーズを陰で支えてきたとし、投資やサポートは今も拡充させているとコメント。また、Hidden Variable Studiosをはじめとしたデベロッパーのサポートにより、同シリーズは大いに発展してきたと評価した。

一方で、新規のキャラクターやストーリー、ゲームモードなど、ファンに約束したコンテンツを届けられていない状況が明らかになったとして、方針変更をおこなっているとも述べる。同社としては、『スカルガールズ』シリーズをただ維持させるのではなく、ストーリーやゲームプレイをさらに拡張させるべく、再投資に乗り出したとのこと。

そのうえで、長年ファンに約束していたギルド機能を年内に実装するため、数か月前よりシリーズの開発を引き継いだとした。どのスタジオが開発を引き継いだのか、現時点で詳細は不明である。

Hidden Variable Studiosは、Autumn Gamesとの契約上の要求を満たしてきたとしているが、どうやらAutumn Gamesとしてはその成果に不満がある模様。そこで開発体制を変更する決定を下したようだ。両社の声明に対するファンの反応を見るに、そうした不満に共感するユーザーは少なくない様子。とはいえ、報酬不払いに対して批判する声も聞かれる。

報酬の不払いが正当なものであったかどうかは、裁判にて争われることになるのだろう。Hidden Variable Studiosは、両社の争いが解決されるまで本件についてこれ以上コメントしないとしており、Autumn Gamesの声明に対して特に反応していない。今後は裁判の行方と、『スカルガールズ』シリーズの新たな開発体制による結果に注目が集まりそうだ。

『スカルガールズ 2ndアンコール』は、PC(Steam)/PS4/Xbox One向けに配信中。また『Skullgirls: 対戦型RPG』は、iOS/Android向けに配信中だ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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