Steamでは先月、なんと全体の50%以上が中国語ユーザーだった。例年の2月よりも急激に増える

Valveは毎月恒例となっている「Steamハードウェア&ソフトウェア 調査」の2025年2月のデータを公開した。データによると、ひと月で中国語(簡体字)ユーザーの割合が大幅に増加し、なんと50%を突破したという。
「Steamハードウェア&ソフトウェア 調査」はSteamを運営するValveがおこなっている、Steamユーザーの調査情報だ。調査への参加は任意かつ匿名となっており、同意したユーザーの使用しているOSやグラフィックボードなどの情報が収集される。データは毎月まとめられ、Steamの専用ページにて公開される。

そうして今回、2025年2月分のデータが公開された。このデータで大きく目を引くのが、中国語(簡体字)ユーザーの割合の大幅な増加だ。1月の中国語ユーザーの割合は29.18%だったところ、なんと20%以上割合を伸ばして50.06%という数字に。わずかひと月で割合を1.7倍に増やし、全Steamユーザーの約半数が中国語(簡体字)ユーザーということになる、驚きの上昇を見せている。
もともとSteamでは英語ユーザーがもっとも多く、2020年ごろまでは40%前後の数字を保って、長らく単独トップを維持していた。しかし近年中国語ユーザーが増加傾向を見せ、英語ユーザーの数に肉薄するように。2024年2月には初めて英語ユーザーの数を抜き、トップに躍り出ていた(関連記事)。その後英語と中国語(簡体字)は、月ごとに首位が入れ替わるような僅差で推移。しかし今回のデータでは、中国語(簡体字)の50.06%に対して英語が23.79%という、大差がついた調査結果が出ている。
中国語ユーザーがこれほど数字を伸ばしたのは、春節の影響が考えられるだろう。Steamの国別ユーザー数は、当該国でイベントがある月に増える傾向にある。たとえば英語ユーザーの割合は例年クリスマスがある12月にピークを迎え、2024年は42.14%を記録していた。一方中国では、春節がある2月に大きな伸びを見せることが多い。とはいえイベントでのユーザー割合の上昇は、高くても10%以下の変化に収まることが普通だ。20%以上もユーザー割合を伸ばしている、今年の増加ぶりは異例とも言える。ここまで数字が伸びた理由としては、人気作『黒神話・悟空』の存在もあるかもしれない。

『黒神話:悟空』は2024年8月に発売されたアクションRPGだ。開発を手がけたのは中国に拠点を置くGame Scienceである。西遊記や中国神話を題材とした同作は数々の賞を受賞し、特に中国で高い人気を獲得。わずか2か月で売り上げが2000万本を突破したことが伝えられた。また作品そのものの売り上げが好調だったのみならず、中国におけるゲーミングモニターの販売も牽引するなど、中国ゲーム市場に大きな影響を与えたという(関連記事)。
こうした中国産のビッグタイトルの存在が、今年の春節における中国語ユーザーのSteam参入を大きく促進した可能性はありそうである。また今回の「Steamハードウェア&ソフトウェア 調査」のデータではユーザーのPCのメモリ(RAM)の搭載量も増えており、32GB分のメモリを積んでいるユーザー割合が13.73%も増加している。ハイスペック化が一気に進んだことを示唆するデータであり、新しくSteamに登録した中国語ユーザーの多くが高性能PCをもつ、大作志向のユーザーであることがうかがえる。
中国ゲーム市場は年々拡大しており、特に近年はPC・コンソール市場の成長が著しい。中国のゲーム産業に関するリポート「2024年中国遊戯産業報告」によると、2024年の中国のコンソールゲーム市場は前年比55.13%も増加したとのこと。急激に存在感を増している中国ゲーム市場の、今後の推移が注目される。