新作MMO『ブレイドアンドソウルNEO』は、「リメイクだけど別作品」で「あえて昔の仕様にしている」。不思議な立ち位置を元強火ユーザーの福富運営Pに訊いた

本稿では、『ブレイドアンドソウルNEO』の国内サービス開始に先駆けて、日本運営プロデューサーを務める福富岳氏と広報の中原氏に話をうかがった。

エヌシージャパンは、『ブレイドアンドソウルNEO』の国内サービスを3月12日に開始予定。基本プレイは無料で、アイテム課金制を採用。現在事前予約を受け付け中だ。

『ブレイドアンドソウルNEO』は、韓国のNC SOFTが手がける、PC向けMMORPG『ブレイドアンドソウル』のリメイク作だ。オリジナルの『ブレイドアンドソウル』は韓国では2012年、日本では2014年に正式サービスがスタート。復讐へと旅立つ武侠アクションMMORPGなどとして、回避やコンボなどによるアクション性のあるゲームプレイが展開されていた。日本版は現在もサービスが継続されており、2024年5月にはサービス開始から10周年を迎えている。また同作の関連作として、『ブレイドアンドソウル2』なども配信されてきた。

本作『ブレイドアンドソウルNEO』(以下、『NEO』)は、『ブレイドアンドソウル』のアクション性はそのまま、大幅改善したリメイク作品とされている。変更点としては、グラフィックやキャラクター成長システムが大幅改善。よりリアルなライティングや質感のグラフィックで、戦闘や移動といったアクション性の高いゲームプレイが繰り広げられるそうだ。

そんな本作の日本運営プロデューサーを務めるのは、現役の『ブレイドアンドソウル』ヘビーユーザーだという。また、本作はリメイク元である『ブレイドアンドソウル』とは競合せず、両タイトルはまったく別のタイトルとしてサービスを継続するとのこと。本プロジェクトにかける意気込みも併せて。詳しく訊いてみた。

『ブレイドアンドソウル』シリーズ日本運営プロデューサーの福富岳氏

──自己紹介をお願いします。

福富岳(以下、福富)氏:
『ブレイドアンドソウル』シリーズ日本運営プロデューサーの福富です。もともとは『ブレイドアンドソウル』のいちプレイヤーで、プレイヤー時代から公式生放送に出演していた時期もあります。
現在も、FS(FunSuportの略称、一般的なMMORPGにおけるゲームマスター的存在)「ふんこ」として月2回配信を昨年12月まで行っていました。

中原氏:
『ブレイドアンドソウル』シリーズ広報担当の中原です。

──『ブレイドアンドソウル』と比較したとき、『NEO』はどのような位置づけのタイトルなのでしょうか。

福富氏:
一言で言うと『ブレイドアンドソウル』のリメイクということになります。『リネージュ2』や『タワー オブ アイオン』などの弊社タイトルには、サービス開始当時のパッチの環境ができる限り再現されている「クラシック」というサービスがあるんですね。そして『NEO』もこのクラシックサービスの一種ではあるんですが、今までのクラシックサービスとは異なる点が多いので、「NEO」と銘打って別のタイトルとしてサービス開始します。10年という長い時間も経ってますし、オフラインのいろんなゲームのリメイク作品と比べたときに今回の『NEO』もリメイクに近いということで、日本では独自にリメイクという単語を使っている状態です。

中原氏:
もともとは新要素多めのクラシックサービスということで「NEO Classic」という名前だったんですが、「クラシックなのかNEOなのかどっちなの?」となってNEOだけになったらしいです(笑)

──『ブレイドアンドソウル』と『NEO』はそれぞれ独立したタイトルとしてどちらも運営を続けていくとのことですが、この二本運営にはどういった狙いがあるのでしょうか。

福富氏:
今の『ブレイドアンドソウル』を気に入っていただいているユーザーのみなさんにはそのまま現行の『ブレイドアンドソウル』を遊んでいただきたいですし、久しぶりに『ブレイドアンドソウル』に復帰した方や新規の方、あるいは昔の『ブレイドアンドソウル』が懐かしいという方には『NEO』を楽しんでいただく、というように好みの方を選んでいただきたいと考えています。

中原氏:
今回グラフィックのリマスターにものすごく力をいれているので、もし両方見てみて『ブレイドアンドソウル』のグラフィックが好みだと感じる方はそちらを遊んでいただけますし、『NEO』のコントラスト強めの懐かしい色彩を選んでいただくこともできます。キャラメイクもかなりこだわれるので、グラフィックに「あの頃のブレイドアンドソウル感がまた出てきた!」と刺さってくれる方がいらっしゃればいいなと思っています。

──ブレイドアンドソウルのキャラクターデザインといったら「キム・ヒョンテ」さんのイメージがありますね。グラフィック以外の狙いはありますか?

福富氏:
スタートがみんな同じになるので、オンラインゲームでよくある初心者が経験者と混ぜられてマッチングしてしまうことも『NEO』ではありません。ストーリーの面では『ブレイドアンドソウル』が先行している部分が多いので、そちらを楽しんでいただきながら『NEO』で当時の環境を懐かしんでいただくこともできます。もし両方を同時に起動してくだされば、自分のキャラクターの見た目や性能を比較していただくことも可能です。

中原氏:
この場を借りてお伝えさせていただきたいのは、『ブレイドアンドソウル』のサービスはまだまだ続くということです。『NEO』のサービス開始に合わせて『ブレイドアンドソウル』の方はサービスが終了すると勘違いされている方もいらっしゃるようで「サ終までのスケジュールを教えてください」というコメントも届いていたのですが、2つのサービスが同時にサービスされます!

福富氏:
『ブレイドアンドソウル』の方も年間スケジュールがもうできていますからね、サービスは続きますよ。結果として僕はひとりで2タイトルの運営プロデューサーを務めることになるんですが(笑)

──『NEO』の魅力について教えて下さい。

福富岳(以下、福富)氏:
まず『ブレイドアンドソウル』の歴史は大きく2つの段階に分けられて、それがサービスを開始した2014年からと、ゲームエンジンがUnreal Engine3(以下、UE3)からUnreal Engine4(以下、UE4)に変わった2021年からです。『NEO』はこの2つの段階それぞれと比較して訴求できるポイントが存在しています。

まずはひとつめの魅力として、グラフィックリマスターで映像がより美しくなりました。これに関しては2021年のUE4への変更とはまったく異なるレベルに進化しています。UE3からUE4に変わった時は、表現はよくないんですけども無理やりゲームをUE4に対応させた部分があって、一部色の表現などに問題が出てしまっていたんです。

これに関してはあるエピソードがあって、ユーザー時僕は金色の衣装が好きだったんです。なのでゲームがUE4に対応した時も、さぞきれいな金色になるんだろうと期待していたんですね。ところが自分の衣装を金色にしてみたら上手く表現されず、茶色く見えるようになってしまったんです。UE3の仕様を無理やりUE4に変えてしまったために、色の表現の細かい設定などができていなかったというのが正直な話です。

UE3は色の表現がすごくよくて、UE4はグラフィックが向上したということで、お互いのエンジンにそれぞれ長所と欠点があるという悩みがあったんですけど、『NEO』ではこれをちゃんと両方とも解決しました。UE4の美しい映像に、色の表現がきちんときれいに映し出されているということがNEOのひとつ目の魅力です。

──原点回帰もありつつ、技術的には進歩を遂げているわけですね。

福富氏:
2つめの魅力はシステム面です。リメイクということで、今回の『NEO』では11年の歴史の中で良くなっていった部分は基本的にすべて盛り込みつつも、簡易戦闘モードという機能に関してはあえて撤廃をしています。簡易戦闘モードは、右クリックを押しっぱなしにしておくと自動でスキルを回してくれるという機能です。

この話を聞いた時は僕も既存ユーザーとして「なんでわざわざ便利になったものをなくすんだろう」と思っていたんですが、実際に『NEO』を触ってみてボタンを押してスキルが出るこの打鍵感が『ブレイドアンドソウル』の魅力だったということをはっと思い出したんですね。ボタンぽち、スキルドーン!気持ちいい!という感覚を忘れていたんです。

今の『ブレイドアンドソウル』でも手入力が推奨される職業はあるんですけど、たいていの職業のユーザーはこの簡易戦闘モードを使っていると思います。僕自身も滅砕士や銃撃士といった職業では簡易戦闘モードを使用しています。この便利な簡易戦闘モードの問題点としては、打撃感を楽しむことよりもボスのギミックを避けるためにボタンを押しているような感覚に陥ってしまうことが挙げられます。

──本来は緊張感のあるはずのボスとの戦闘が、簡易戦闘モードによって作業的に感じられてしまっていたんですね。

福富氏:
もともとはアクション性が売りであったはずなのに、いつの間にか避けることや逃げることなどギミックの対応に比重が偏ってしまって、戦うことに関するアクション性が低くなってしまっていたことを思い出させてくれました。

──便利なものをなくすというのはかなり大胆かつ抜本的なアプローチだと思います。『ブレイドアンドソウル』との二本運営体制だからこそ、思い切った改革もできたんですね。

福富氏:
3つ目の魅力も、僕が当時を知るユーザーだからこそわかるものです。今までの『ブレイドアンドソウル』では、目指すべき武器や装備が1種類しかない状況になりがちだったんです。○○という装備の最上位強化こそが正義、という状態のことですね。こういった状況だとビルドに多様性が生まれません。加えて、同じ武器Aという武器を10ランクまで強化しているユーザーとAを5ランクまで強化しているユーザーが一緒にボスと戦ったときに5ランクのユーザーの方がダメージが出ているなんていうことになったら、「なんでいい装備なのにダメージ出ないの」「スキル回しどうなってるの」というようなユーザー間でのギスギスを生んでしまう可能性もあるんです。今回は簡易戦闘モードもなくなっていますから、そういったギスギスがより表面化してしまう恐れもあります。

それを解決するのが、『NEO』で新たに実装される武功カスタマイズ機能です。いわゆるスキルカスタマイズ機能ですね。これによって装備が画一化されてしまう問題は解決できると考えています。今までスキルの性能は固定化されていたところ、今回の『NEO』では武功書というアイテムを使ってスキルにステータスを付与できるようになったんです。たとえばパンチというスキルに火の武功書を付ければ火のパンチになりますし、そこに範囲攻撃の性質をもたせる武功書を加えれば火属性の範囲攻撃が可能になったり、属性を変えれば雷のパンチにもなったりと、本当に自由にカスタマイズできるようになったんです。全身6個の装備それぞれに対してカスタマイズができるので、選択肢の幅はとても広いです。

今までのように特定の武器のナンバーワンをみんなが一律に目指すような環境ではなく、自由なスキルカスタマイズを自分なりに作りだせるできるオンリーワンの環境を提供できるようになったので、他人と比べることなく個性を出せるゲームに生まれ変わったというのがNEOの3つ目の魅力かなと思います。「この装備を持っているのが正しい、この装備だと正しくない」ではなく、それぞれの個性でゲーム楽しめるようになりました。

──インタビューでこんなに嬉しそうに新システムを語るプロデューサーも珍しいと思います(笑)

福富氏:
(笑)ビルドの幅が広がったのが本当に楽しいんです。『ブレイドアンドソウル』を長くやり込んでいたユーザーとしては、『NEO』にしかない要素もとても楽しいと感じられます。サービス開始以降も『NEO』ならではのオリジナル新ダンジョンや、みんなで討伐を試みるようなワールドボスなども追加されていく予定です。

──ほかに『NEO』で解決できた課題があれば教えて下さい。

福富氏:
一時期の『ブレイドアンドソウル』は正直Pay-to-Winといいますか、課金でしか手に入らない装備が強い時代があったんです。僕の周りでも課金疲れからゲームを辞めてしまった人がいました。そういったことを受けて今回『NEO』では、Pay-to-WinをPlay-to-Winに変更しています。具体的には課金システムを大幅に改修して、今までの課金要素を一度全部撤廃して新しいゲーム内通貨「神石」に変更したんです。そしてゲーム内の市場でのやりとりもこの新通貨でおこなうようにしています。なので、無課金で頑張ったユーザーが武器を市場に出せば、無課金でも神石を得ることができるんです。そうするとその新通貨を使って今度は買い物ができる。こうして無課金ユーザーでもプレイを続けていれば課金ユーザーと同じようなゲーム体験を楽しめるようになっています。

また、今のブレソは課金をして強化するアクセサリーが4つほどあるんですが、NEOではこれが全部撤廃されています。なので文字通りPlay-to-Win、ゲームを楽しんでもらうほどに強くなれるようなシステムに変わっております。ショップもかなりシンプルな構造を予定しています。

オンラインゲーム運営をやっていて思うのが、引退する人の要因がわからないんですね。アンケートなどを実施すれば不満を言ってくれる人は多いんですよ。ただ、やめるときにその理由を運営側に教えてくれることは少ないんです。ただ僕は自分自身がユーザーである経験から、ある程度の理由は把握してるつもりなんですね。それをサービスの最初から活かしていけるのはリメイクの強み、僕の強みだと思っています。オンラインゲームの運営は後戻りのできない一本道なので、ちょっと調整ミスだけで人がいなくなってしまうこともあります。ユーザー出身だからこそわかる小さなストレスなどを見過ごすことなく、これからも対処していきたいと考えています。

──ユーザーの意見は『NEO』の開発にどの程度反映されているのでしょうか。

福富氏:
『ブレイドアンドソウル』は、長い歴史の中でユーザーの声を受けて改善されていった部分がたくさんあるんです。たとえばアイテムが入った箱を1個1個ではなく一度にすべて開けられるようになったり、アイテムの収納も1個1個ではなく一度でおこなえるようになったりといった部分ですね。そういった改良にも関わらず、一番ユーザー人口が多かったのはやっぱりゲームをサービス開始した最初の段階なんです。今と比べて便利じゃないし、遊べるコンテンツも明らかに少なかったのにたくさんのユーザーがいたわけなんです。

なので10年間で便利になった部分はそのままに、ユーザーのみなさんに愛してもらった古き良き要素を復活させたいと考えたんです。そもそもは『ブレイドアンドソウル』をやめてしまった層に復帰をしてもらいたいというのがきっかけだったのですが、結果としては『ブレイドアンドソウル』を知らない新規の方にも楽しんでいただけるような仕上がりになっていると思います。

──新規層への訴求も期待できるということですね。

福富氏:
ユーザーが徐々に減っていく中で新規のユーザーを取り入れようという施策もやってきたんですけども、実際に始めてもらっても「何やっていいか本当にわかんないよ、学ぶことが多すぎるよ」という感想がすごく多かったんですね。ならばということで初心者ガイドも充実させたんですけども、結局は六法全書かよというぐらい厚くなってしまって。『ブレイドアンドソウル』はすごく楽しいんだけど、学ばなければいけないことが多すぎて負担になってしまっていた部分があるので、『NEO』で新規の方が始めやすい環境も整えられたのかなと思っています。

中原氏:
『NEO』では簡易戦闘モードがない分手動操作が重要になるんですが、それが好きだった人に向けた第2の選択肢としての役割があります。今の簡易戦闘モードが好きなユーザーさんはそのまま『ブレイドアンドソウル』を続けていただきたいですし、自分のプレイヤースキルを活かしたいから『NEO』を遊ぶ、という選択肢もアリです。

福富氏:
ブレソの魅力のひとつであるキャラメイクも、とんでもないことになっています。めちゃくちゃクオリティが上がっているんです。グラフィックがよくなって色の表現もきちんと調整されたことに加えて、調整項目も増えているんですよ。僕の推し項目としては、動物のような耳を持つリン族の耳の大きさが変えられるようになっているんです。自由度も高くて、耳を小さくして髪の毛に隠せば耳がないリン族を作ることもできます。もともと9999兆通りの選択肢があると謳っていたんですが、それをはるかに超えています。

中原氏:
今まではプレスリリースのゲーム紹介の概要の部分にいつも「9999兆通りのキャラメイクが可能!」なんて書いていたんですが、本当に自由自在に変更が出来すぎて数字で表しきれなかったので、NEOではとっぱらいました。リン族の耳サイズ変更も昨日知りまして、思わず「アツいな」という独り言が出ました(笑)

福富氏:
キャラメイク中にサンプルとしていくつか衣装が着られるんですけど、デフォルトの下着が水着のようになっており、これもまたとんでもないことになっているんです。表現力が上がった分、大変セクシーな感じになっていて……(笑)

中原氏:
キャラメイク中にまるで水着を着られるようになったことで、骨格などの体のバランスもキャラメイクをしながら確認できるようになったこともメリットですね。キャラメイクが終わって実際に水着を着てみたら思っていた骨格じゃなかったということも今までまれにあったのが、今回はキャラメイク段階で修正できるようになりました。腰骨の位置をちょっと高くしたい、などの細かいこだわりをしっかりと反映できます。

福富氏:
今回のメインターゲットは復帰や休眠の方なんですけども、僕としてはぜひ新規の方にも触ってもらいたいんです。まずはキャラメイクをやってみてほしい!キャラクターを繊細にいじれて、かつグラフィックもきれいで、しかも基本プレイ無料なんです。作ったキャラをSNSに投稿してバズっている流れを見る度に、うちのゲームなら無料でそれ楽しめますよ!とお伝えしたくなってしまうんです。あなたの作りたい推しを作って、アクション性を楽しめるゲームがここにありますよ!と。

中原氏:
個人的には『NEO』ではしっかりと自分で作りこむという部分を楽しんでいただきたいと思っています。

──『NEO』への意気込みが伝わってきました。ありがとうございます。

※ ここからはゲームには直接関係ないものの、福富氏のキャリアの話が面白かったので、こちらでお伝えする。

──ところで、プレイヤー出身のプロデューサーというのはかなり変わったキャリアですよね。プロデューサーに就任するまでの経緯を聞かせて下さい。

福富氏:
そもそものきっかけは、2017年にネットカフェで開催されたインスタンスダンジョン攻略大会に参加したことでした。当時はいちプレイヤーだったので、門派(一般的なMMORPGでいうギルドにあたるもの)のメンバーたちと一般参加をしました。

すると当日現場でユーザーMCの募集があったんですね。それを受けて友達ノリといいますか、「お前行って来いよ」というような流れになりまして。僕もそういうノリが嫌いじゃないので、「じゃあ行きます!」でステージに出たのが僕の初めての公式イベント出演でした。

──飛び入り参加だったんですね。当時は何のお仕事をされていたんですか?

福富氏:
当時は普通に社会人をやっていましたね。映像関連の仕事でした。もともとはテレビ番組やライブDVDの音声編集などをしていて、この話のころは所属していたスタジオの営業マンをやっていました。

──ユーザーMCの飛び入り参加も、営業ならではのフットワークの軽さから来るものだったんですね。

福富氏:
その後、FSとの公式飲み会イベントで運営の方と再会して、その場で公式の対人大会である「比武大会」の解説員をやってみないかという話をいただいたんです。ところがその時僕はモンスターを狩るPvEはやりこんでいても、PvPの経験はあまりなかったんですね。なので最初はお断りしようと思っていたんですが「大丈夫、ノリでなんとかなるから」という言葉をいただいて、「じゃあもうやります!」と勢いで手を上げて(笑)

なので、公式生配信のデビューとしては2017年の比武大会解説員が初めてでした。解説員といっても、当時は肩書だけみたいなものでしたが(笑)その後比武大会2018、2019と続けて解説員として呼んでいただいて、2019年にはまた別の対人コンテンツの解説員としても放送に出させていただきました。

──運営サイドからしてみたら、「使える新人を見つけたぞ」といったところでしょうか。

福富氏:
2017年の時には「なんだこの喋るやつ」というような感じで認識されていたと思います(笑)その後は比武大会の解説のほかにも新職業発表と周年放送のときは必ず呼んでいただけるようになりまして、2017年から2022年、この会社に入る前までの間ずっと出演させていただきました。

──面白い経歴ですね。こういったキャリアの方はほかにもいらっしゃるんでしょうか。

中原氏:
プレイヤー出身の運営スタッフは弊社には何人かいますが、いちプレイヤーから運営プロデューサーになったケースはほかにはいないですね。たとえば、『リネージュ2』で「ワールドオリンピアード」という1対1のPvPコンテンツの大会をYouTube上でおこなった時には各サーバーの代表出場者にメールで公式生放送の出演をお願いして、その後実際に出演してくれた人の中から3人ぐらいは『リネージュ2』の運営スタッフになっています。

『ブレイドアンドソウル』の生放送に出ていたFSシャポロも、もともとは『リネージュ2』のとあるサーバーの1位だったプレイヤーですね。入社後はそのまま『リネージュ2』の運営に配属されるかと思いきや、『ブレイドアンドソウル』担当になっています(笑)

──福富さんが入社された時は、エヌシージャパンさんからオファーがあったのでしょうか。

福富氏:
むしろ僕の方からアプローチをかけていました。毎回放送ある度に前任のFSである山本さん(山本浩正前日本運営プロデューサー)に、「いつ僕のこと入社させてくれるんですか?」と毎回聞きに行って(笑)

──福富さんの方からゴリゴリに詰め寄っていったんですね。

福富氏:
それこそ2017年の最初の大会の打ち上げの時点で、このままエヌシージャパンに入れたら嬉しいなと思ってチラチラと匂わせをしていたんですね。ところがそのイベントを開催していた会社の方からまさかのお声がけをいただいたんです。内心「そっちかい」とは思ったんですが、イベントを通してエヌシージャパンに関われるからいいやと思ってそこに入社しまして。なのでエヌシージャパンに入る前まではこの会社のオフラインイベントを担当しているイベント会社に勤めていたことになります。

そうしてそのイベント会社に勤めながら公式生放送への出演を毎年続けるうちに、忘れもしない2022年年5月20日にエヌシージャパンから連絡が来まして。というのも5月20日というのは、『ブレイドアンドソウル』がサービスを開始した大事な日なんですよ。その日に「今人員を増やしたいと思っているんですけど、まだうちの会社に興味ありますか」というお話をいただいて、「行きます」と二つ返事で入社しました。

──最初はどういったポジションからのスタートだったのでしょうか。

福富氏:
まずは普通のスタッフから始まりました。頑張ればプロデューサーになれるよというようなことを言われていたので「がんばります、山本さんの席は僕がもらいます」なんて言っていたら実際になれてしまいました(笑)

──エヌシージャパン自体に、プレイヤーをスタッフとして採用する文化があるんですね。

中原氏:
「運営スタッフを募集します」というお知らせを公式サイトに掲載していた時期もありました。ゲーム内で結構なやんちゃをしていたプレイヤーを採用してみたら、運営に採用してみたら、めちゃくちゃいい子だったなんて言うこともありましたね。。あとは『ブレイドアンドソウル』が好きで日本語もできるからということで翻訳の部署で入ってきた人がなぜか『ブレイドアンドソウル』ではなく別のタイトルのプロデューサーになったりということもありました。そういう意味では、自分がプレイヤーだったタイトルのプロデューサーになった福富は弊社の中でもレアケースですね。

──オンラインゲームの場合、ゲームのメカニクスや長い歴史をしっかりと理解していないと運営に支障をきたすこともありますから、ユーザーを運営スタッフに採用するというのはよい方針だと思います。

福富氏:
10年をかけて溜まったコンテンツを今1から覚えていくことってすごく難しいですし、ゲームを仕事として見た時にもそのマーケットの知見があるということは強みだと思います。ゲーム会社勤務の経験はこの会社以前にはない僕ですが、ゲームについて詳しく知っていることを強みだと感じることは多いので、ユーザーが運営会社に入るというのは間違いなく利点があると思いますね。

──最後に、ユーザーに向けて伝えたいことがあればお願いします。

福富氏:
もともとはいちユーザーだった人間がプロデューサーになっているというのは、他社さんを見てもあまりないのかなと思っています。そんな自分の強みだと思っているのが、ひとりのヘビーユーザーとして韓国の開発に直接意見の言えることだということです。ユーザーさんからの意見の受け渡しではなく、ゲームを愛するひとりのユーザーとしての意見をバンバン伝えていきたいと思っていますね。

また、昨今早期にサービスを終了してしまうタイトルがすごく増えてきたと感じています。そういった意味では『ブレイドアンドソウル』も『リネージュ2』もPC版に関しましては長期サービスを続けている点も弊社の魅力ではありますので、そういったふたつの面からユーザー目線に立った楽しく続けられるゲームを長年サービスしていきたいなと思っています。

中原氏:
福富は『ブレイドアンドソウル』にまっすぐ取り組める人間なので、ユーザーのみなさんには安心して『ブレイドアンドソウル』も『NEO』も楽しんでいただければなと思います。

アクション性が高くゲームが上手い人がハマれて、突き詰めればどこまでも研究ができるという『ブレイドアンドソウル』の良さを楽しんでいただきたいです。

──ありがとうございました。

ブレイドアンドソウルNEO』の国内サービスは、3月12日に開始予定だ。3月5日からは事前キャラクター作成が開始予定。事前予約をおこなうと、衣装「月影」1個と序盤エリアで獲得できる武器などがもらえるキャンペーンも実施中だ。

AUTOMATON JP
AUTOMATON JP
記事本文: 927