人気ホラーゲーム開発者、「無断コピー作品が配信されている」と注意喚起。大胆にもアセットごと抜き出され盗用される

デベロッパーのSteelkrill Studioは2月24日、自らの作品であるサバイバルホラーゲーム『The Backrooms 1998』が他社に無断コピーされ、別のタイトルを付けてNintendo Switchなどで販売されていると注意喚起した。

同スタジオが手がけた『The Backrooms 1998』は、いわゆるバックルームに迷い込んだ主人公が、迷路のような不気味な空間を探索しながら脱出を目指す一人称視点ゲームだ。1998年の出来事として、当時撮影されたビデオテープを再生しているような、滲んだビジュアルが特徴のひとつとなっている。

『The Backrooms 1998』は、PC（Steam）向けに2022年5月に早期アクセス配信が開始され、高評価を獲得。そして先日2月21日に正式リリースを迎え、同時にコンソール版も配信開始された。開発元Steelkrill Studioは2月24日、Redditへの投稿にてコンソール版発売を喜ぶ一方で、盗作被害に遭っていることについて訴え注目が集まっている。

同スタジオによると、『The Backrooms 1998』のコンソール版が発売される以前に、ファンから「なぜタイトルを変えてコンソール向けにリリースしているのか」と問い合わせがあったという。身に覚えがない同スタジオが調査したところ、無関係の他社が『The Backrooms 1998』を無断コピーして、別のゲームとしてリリースしていることが明らかになった。

問題の無断コピー作品は、COOL DEVSというパブリッシャーが昨年12月に発売した『Backrooms Horror Escape』という作品だ。上に掲載したのは、Steelkrill Studioが提示した『The Backrooms 1998』と『Backrooms Horror Escape』の比較画像（左側が『The Backrooms 1998』）である。同一のアセットが使用され、ダイアログまで一致していることが確認できる。

『Backrooms Horror Escape』についてSteelkrill Studioは、『The Backrooms 1998』からすべてのアセットを無断で抜き出して制作した改悪バージョンであるとコメント。楽曲やサウンド、声優を起用したボイスまで盗用されているという。また、本来の設定と微妙にマッチしていないキーアートは、生成AIで作成したのだろうと指摘している。

この事態を受け同スタジオは、『The Backrooms 1998』の販売元および弁護士と協力し、各プラットフォームホルダーに対しDMCA（デジタルミレニアム著作権法）に基づく著作権侵害を訴えた。その結果『Backrooms Horror Escape』は、PlayStationおよびXboxではストアから削除。Nintendo Switch版に関しては、本稿執筆時点ではまだ配信されており、任天堂は現在調査中とのこと（Nintendo Life）。

無断コピー作品『Backrooms Horror Escape』を手がけたCOOL DEVSは、ほかにもいくつかのゲームを販売している。そのラインナップ（上の画像参照）では、PC向けなどで既にヒットしている他社タイトルのアイデアを、そのまま流用したと思しき作品が目につく。たとえば、『The Liar’s Tavern』は『Liar’s Bar』、『TCG Empire: Card Shop Simulator』は『TCG Card Shop Simulator』、『Chained Towards Heaven』は『Chained Together』が元ネタだろう。

上述した作品では、ゲームプレイをそっくり真似つつも、ビジュアルを始め全体的な品質には大きな違いがある模様。そうしたなか『Backrooms Horror Escape』では、大胆にも元ネタである『The Backrooms 1998』のアセットを盗用し、開発者の目に留まることとなった。Steelkrill Studioは、こうした“詐欺的なゲーム”を手がける企業は複数存在し、横のつながりも疑われると主張。また、各プラットフォームホルダーは開発者向けガイドラインを厳格化し、ユーザーによる報告機能や返金システムを整備するべきだろうとした。

なお、今回盗用被害に遭ったSteelkrill Studioの『The Backrooms 1998』は、PC（Steam）/Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox One向けに配信中だ。