日本の伝統工芸「金継ぎ」をするゲーム『KINTSUGI』、なぜかポーランドから誕生。しかもベテラン開発者が作ってる、超高精細“壺壊しからの復元作業”

破壊オブジェを作るテクニカルアーティストであった開発者が、たまたま日本の伝統工芸である「金継ぎ」と出会い、その魅力に触れて本作を手掛けたそうだ。

日本の伝統工芸「金継ぎ」をテーマにしたパズルゲーム『KINTSUGI – A Journey Through The Broken Pieces』(以下、KINTSUGI)が話題になっている。同作は現在PC(Steam)向けにデモ版を配信中で、正式リリースは2025年第2四半期を予定している。2月24日より始まった「Steam NEXTフェス」でもピックアップされているタイトルだ。なんと本作は、ポーランド生まれのようだ。

『KINTSUGI』は、個人開発スタジオであるSCG STUDIOが制作するゲーム。「金継ぎ」は、日本で15世紀頃に生まれたとされる修繕技法。割れた陶磁器などの器を漆を用いて接着し、金粉などで装飾する。中国から日本に持ち込まれた「茶」の文化とともに発展してきたという歴史がある。

本作は、割れた器の欠片を貼り合わせるパズルゲームとなっている。日本庭園の美しい風景をバックに、まずは器を選択。大きなものや形が複雑なものなど様々。器が決まったら、画面をクリックしていざ破壊。プレイヤーは散らばった欠片を繋ぎ合わせていき、元の形状へ復元することを目指す。無事器を復元できたら、選んだ器に応じたポイントを獲得することができる。

本作には複数の難易度が用意されている。簡単なモードでは、ある程度アバウトに欠片を配置しても繋がってくれるが、難しいモードでは向きや回転などを正確に調整しないといけないなどの制限が加わる。ゲーム自体の操作感も少しクセがあるため、パズルゲームとしてはかなり難しい部類に入るだろう。

UIなどの粗削りな部分はまだあるが、全体としてはとても雰囲気のあるゲームに仕上がっている。風景や音楽が癒やしの空間を演出しており、黙々と作業に取り組むのが好きな方には気に入ってもらえるはずだ。ただ、筆者としては肝心の「金継ぎ」の部分もぜひ体験したいと感じた。繋ぎ合わせた箇所に金粉を蒔くようなフェイズがあっても面白そうだ。ゆったりとしたテンポのゲームになってしまうかもしれないが、それが日本の“侘び寂び”の精神を感じさせてくれる“味”になり、むしろ良いのではないだろうか。パズルとしてだけでなく、シミュレーションゲームとしての進化にも期待したい。

本作は、ゲームクリエイターの榊原寛氏のポストにて紹介され、話題になった。榊原氏は以前、CD PROJEKT REDに在籍し『サイバーパンク2077』などの開発に携わっていた人物。本作の開発者はポーランドに在住する同氏の元同僚とのこと。詳細は不明だが、開発者のXアカウントによると長年AAAタイトルに関わってきた人物であるようで、かなり手練れの開発者であることは間違いなさそうだ。

榊原氏によると、破壊オブジェを作るテクニカルアーティストであった開発者が、たまたま日本の伝統工芸である「金継ぎ」と出会い、その魅力に触れて本作を手掛けたそうだ。海外のアーティストが日本の美学に共感して制作されたという、なんと素敵なゲームだろうか。ポーランド生まれの「金継ぎ」ゲームというのも面白いところだろう。

『KINTSUGI』は現在PC(Steam)向けにデモ版を配信中だ。正式リリースは2025年第2四半期を予定している。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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