『エルデンリング ナイトレイン』先行プレイ感想。『エルデンリング』のマルチプレイゲームは、超重量級ローグライトだった
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世界中を熱狂させた『エルデンリング』のマルチプレイスピンオフ作品という内容で話題沸騰中の『エルデンリング ナイトレイン』。このたび一部を先行してプレイする機会に恵まれたため、現時点で判明している作品の内容を紹介していきたいと思う。なお、今回試遊した内容は2月14日〜17日にて開催されるネットワークテストバージョンに準拠しており、記事の内容はあくまで開発中のものであることに留意して欲しい。
『エルデンリング ナイトレイン』はフロム・ソフトウェアが開発している協力型サバイバルアクションゲームだ。発売日は5月30日。対応プラットフォームはPC(Steam)/PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox Oneとなっている。価格は付属する特典ごとに異なるため、詳しくは公式HPを参照してほしい。
本作は『エルデンリング』の関連作品であり、同作品における戦闘体験を壮大に、かつ軽快な形へと凝縮することをコンセプトに掲げている。これに伴い、マルチプレイメインへとゲームデザインを刷新。特徴の異なる8人のキャラクターを操作し鍛え上げ、ボスを倒すことで新たな世界「リムベルド」の3日間を生き残る、というゲームになっている。
基本的なゲームルールを紹介
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プレイフィールの紹介に移る前に、本作のゲームルールについて説明しておこう。
まずプレイヤーは、ロビーになった「円卓」からゲームに参加する。使用したいキャラクター(今回の試遊では4人から選択する)と討伐したい最終ボスを設定したらマッチングを行い、3人1組が成立次第ゲームスタートだ。プレイが始まると、3人のプレイヤーたちはおおよそ固まってフィールドの一角に降り立つ。
その後、制限時間の中でフィールド内を探索し、敵を倒すことで経験値&通貨である「ルーン」を入手。これを消費してレベルアップを行い、武器の更新を行いつつ、さらに強力な敵を倒す、ということを繰り返す。
時間が経ったら、侵食するダメージエリアに飲まれる前に、フィールドのどこかに出現する黄金樹風のモニュメントへ集合。出現するボスに挑戦し討伐する。この「探索を通じた制限時間内のレベリング→ボス戦」という流れを2回繰り返したのち、生き残ることができていれば最終ボス戦に突入。倒してゲームクリアとなる。
本作はいわゆるローグライトな形式を採用しており、ゲームを開始するたびに、フィールドへの降下位置や、宝箱から手に入るアイテムの内容、途中で討伐するボスが変化する。ランダムで発生するイベント、エリアも存在する。また、ゲーム終了時には報酬として、キャラクターを強化する装飾品「遺物」をランダムで獲得可能だ。『エルデンリング ナイトレイン』はこのような数々のランダム要素に彩られた「やりこみ要素の塊」と表現することができるだろう。
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では、体験内容の紹介に移る。試遊版を起動すると、まず筆者の目に写ったのは、ロビーであると紹介した「円卓」の光景である。内装こそ『エルデンリング』時代とあまり変わってはいないが、備わっている機能に関しては本作に合わせて大きく変更がなされている。
中央の祝福にアクセスすれば、ゲームを開始することができるのはもちろん、本作では建物の外に出ることができ、そこにはキャラクターの操作練習ができる「訓練場」が用意されている。プレイの報酬である装飾品「遺物」を付け替える場所もある。遺物はスロットの色に対応したものを装備する、という形式になっており、たとえ有効な性能を持つ遺物を持っていたとしても、アイテムとスロットの色が合致していなければ装備することはできない(『Bloodborne』で血晶石を活用した人なら仕様のイメージがしやすいだろう)。試遊版では利用できなかったが、スロットに関してはゲーム内通貨を用いることで、さまざまに変更可能であるとのことだ。このほかにもゲーム内のチュートリアルを確認できる場所などがある。
ちなみに、本作におけるダッシュは非常に速い。『エルデンリング』にてトレント騎乗時と同様の速度が出せる。また、メニュー画面から直接、プレイのためのマッチングを開始したり、各施設にワープできる。そのため、移動に関してストレスを感じることはない。個人的には、前作と微妙に異なる内装を持った円卓を軽快に散策できることが楽しい。相違点を発見するたびに、思い出を振り返りながら少しニヤニヤできる。
繰り返すほどに学びを得るゲームプレイ
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円卓の見学が済んだらマッチングをしてゲーム開始だ。操作キャラクターを選び、意気揚々と「リムベルド」へ降り立つ筆者。幸いにして、この手のゲームには覚えがある。時は金なり。ルーンを稼ぐため、視界に入った敵拠点にひとり突っ込んでいく。そして、袋叩きにされ死んでしまった。酷い新入りである。本作はあくまで『エルデンリング』の関連作であり、すなわち「死にゲー」である。稼ぎ用の雑魚ですらまったく油断ならないことをここで改めて知るのだった。
なお、死んでしまった際には一定時間以内に味方に攻撃してもらうことで復活することが可能だ。死ぬたびに必要な攻撃回数は増えていくため、復活が難しくなっていく。祝福に触れることで復活に必要な攻撃回数をリセットできるものの、レベリングのターン中に死んでしまい一定時間が過ぎると、最後に訪れた祝福から復活できるが、レベルが1になってしまう。『エルデンリング』よろしく、レベルを戻すために必要なルーンは死亡地点へ回収に向かう必要がある。そのため、デスペナルティが非常に重い。ダメージエリア内で死んでしまい、レベルが戻らずボス戦に突入したら目も当てられない。
時は金なりだが、しかし焦ってもいけない。マップ上に行きたい場所の目印をつけ、集団行動を心がけつつ、選択したキャラクターの性能を活かした立ち回りを心がける。記念すべき初回プレイで筆者が選択したのは、騎士風のキャラクター「追跡者」。大剣とパリィ可能な小盾を初期武器に持ち、オーソドックスなステータスをしている。キャラクターにはひとりひとり異なる小技「スキル」と大技「アーツ」が用意されているが、彼に備わっているのはワイヤーアクションができるスキルと、溜め具合によって規模が異なる爆発を放つパイルバンカーのアーツだ。ワイヤーアクションのスキルは敵を引き寄せたり、高速移動ができたりと小回りが効く性能を持ち、アーツは分かりやすい大技である。クールタイムごとにスキルを使い、アーツを駆使して皆と共に敵を倒していく筆者。フィールド探索の途中で宝箱を開けば武器や盾、杖と聖印も拾える。なかにはタリスマンもある。
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武器は最大6つまで所有することができ、武器ごとに戦技とバフ効果がランダムで付属している(杖や聖印の場合は通常攻撃の入力で発動可能な魔術のほか、戦技の代わりに魔術や祈祷が付属する)。バフ効果は所持しているだけで発動するものもあるため、基本的には手当たり次第に確保してOKだ。チームメイトに譲るのも戦略ではある。しかし、武器にはレベルに依存した装備制限が設定されており、貴重で高性能な武器ほど高いレベルを要求される(ステータス依存ではない)。レベルはフィールドの各地に点在する祝福にて、ルーンを消費することにより上げることができる。1レベルあげるだけでステータスが固定値分大きく上昇し、攻略の難易度が段違いで変化するため、デスペナルティに気をつけながら、レベルは積極的に上げていきたい。ルーンの消費方法としてはレベルアップのほかにも、消費アイテムの購入が存在しており、ショップを発見することができれば、おなじみの火炎壺から各種霊薬まで購入可能だ。本作において消費アイテムはかなりの数が手に入るほか、ジャンプ投擲の実装など使い勝手が向上している。効率よくレベルアップを行うため、積極的に採用していきたい。
そうして一心不乱にレベルを上げていると、集合のアナウンスが流れる。急速に侵食してくるダメージエリアから逃れつつ、地図を確認して黄金樹のようなモニュメントに向かう。本作は先述したように、高速でフィールドを移動できるほか、ジャンプもまた軽快な仕様に変化している。少しの段差だけでなく、ペイントが施されている壁であればジャンプで登りきれる。『エルデンリング』にも観られた、大ジャンプが可能なフィールドギミックもある。筆者としては、移動周りの操作に関して『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』に近しいものを感じた。
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ダメージエリアの侵食が終わると、ボス戦がスタートする。ボス戦自体は2部構成となっており、前哨戦→ボス戦という形式で推移していく。前哨戦の感触は雑魚戦と相違ない。リソースを温存しつつ、ウォーミングアップにちょうどいい。スムーズに敵を蹴散らせば、やがてボスとの戦いが始まった。
出現したのは亜人の女王と亜人の剣聖のコンビだ。遠距離攻撃をもち、攻撃範囲の広い女王と、近接攻撃と高速移動で戦況をかき回す剣聖という、まったく異なる性質を持った二人を同時に相手取ることになった。まず感じたのは、レベルリングの重要性だ。まったくもって当然至極ではあるが、きちんとレベルを上げ武器を更新しておかないと、火力が足らずジリ貧に陥る。これはプレイスキルでカバーできる問題ではない。いくら前作で何度も立ち合いを経験した敵とはいえ、戦闘時間が伸びるほどにミスが目立ち、やがて倒されてしまう。3人全員が倒されるとゲームオーバーだ。マルチプレイの都合上、ターゲットが分散することもあわせ、本作に合わせた研鑽が必要である。ちなみに、ボスの中には「今誰を狙っているか」が表示される者がいる。ヘイトコントロールも戦術として有効そうである。
亜人コンビに翻弄され、レベリング不足も相まって、初回プレイは1日目でゲームオーバーとなった。このあと筆者は2回、3回、4回とプレイを重ねていく。その中で、分かったことがたくさんある。プレイ開始地点と道中に出現するボスには相関が存在すること。FPの回復手段は祝福以外に乏しく、探索で拾えるアイテムくらいであること……つまり戦技メインでの戦闘は難しいこと。ルーン稼ぎは鍵を使用して戦える「封牢」の敵がオススメなこと。時間に余裕があれば魔術師塔の謎解きに挑戦するのが良いこと。教会に立ち寄って聖杯瓶の最大値を増やすことも忘れずに。『エルデンリング ナイトレイン』は攻略に際して、要求される知識量が非常に多い。ローグライトジャンルは「知識ゲー」と形容されることもあるように、繰り返しプレイを介した仕様に対する理解がたいへん求められるが、本作もまた然りである。
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とは言うものの、知識と同じくらいアクションの腕も重要だ。今回の試遊では4人のキャラクターが使用できたが、各々得意な立ち回りが異なる。最初に使用した「追跡者」は、『エルデンリング 』の延長線にあるプレイ体験ではあったものの、他3人の感触は異なっていた。鳥のような見た目をしたキャラクター「守護者」は、スキル、アーツ共に範囲攻撃を得意とし、レベリングの際に活躍できる。アーツには防御陣を展開する能力もあり、ボス戦時には守りの要として機能するだろう。盗賊風のキャラクター「レディ」は、デフォルトで2回連続回避が可能な能力を持ち、敵に与えた攻撃を再現して再度ダメージを与えるスキルを持つ。敵からのヘイトをリセットできるアーツと合わせて、こちらは対強敵の際に活躍が目立つ。
最後に紹介する魔術使いのキャラクター「隠者」は上級者向けに調整されている。このキャラクターは自分を含めた味方の攻撃により付与される、3種類の「属性痕」をスキルで回収することでFPを回復することができる。そして、回収した3種類の組み合わせによって異なる大技を放つことが可能だ。攻撃してFPを消費→スキルで「属性痕」を3つ回収しFPを回復→大技を放つ→攻撃してFPを消費、というサイクルを繰り返しながら戦っていく。このキャラクターの操作を難しくしているのは、回収できる属性痕の種類をコントロールできないため、大技の内容を正しく把握しなければならない点だ。定期的に大技を使わないとFP回復をすることができないが、大技の種類が非常に多く、使いこなせなければ無駄な時間が発生しやすい。味方が周りにいないときにバフの大技を使っても意味はないし、体力が少ない時に高速接近の大技を使ってそのまま返り討ちということもある。
さらに装備している杖によって、攻撃により消費するFP量は異なる。そのぶん大技を放つ頻度が変わる。アーツは敵にデバフをかける内容なため、味方との連携も重要である。知識と立ち回りという、本作の攻略に求められる能力をすべて活かす必要があるのが隠者である。遠距離から一方的に大火力をぶつけられる強大さは前作から健在であるため、発売後にはぜひとも使いこなしたいところだ。
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その後プレイを繰り返すたびにプレイが上達している感触を覚えるものの、結局、2日目のボスを超えるに至らず。最終ボス戦に挑むチームを見守りながら、あえなくタイムアップとなった。現時点におけるインプレッションとしては、昨今のローグライトなゲームとして非常に珍しい形態である印象を受けた。
というのも、1プレイが非常に「重たく」「キャッチーな要素があまりない」のだ。雑魚戦の時点からしっかりとゲームオーバーのスリルがあり、攻略に要求される知識も多い。それでいて「ランダム性を通じた劇的な新体験」など他タイトルのような分かりやすい報酬はあまりない。無骨ともいえよう。しかしながら、プレイスキルの上達に伴う体験変動の振れ幅が非常に大きい。1プレイが「重い」ぶん、リトライを繰り返しボスを倒した際の達成感も凄まじい。遺物によって向上するステータスを厳選するプロセスもある。昨今のローグライト作品といえば、手軽さやド派手な体験を売り文句として押し出す作品も多いが、本作はその対極に位置するような作品である。『エルデンリング ナイトレイン』は正に「やりこみ要素の塊」と表現できるゲームであった。
『エルデンリング ナイトレイン』はPC(Steam)/PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox Oneに対応して、5月30日発売予定だ。