監視社会・麻薬取引シム『Inner City Unit』Steam向けに発表。“薬物中毒者”になりすましてディストピアに潜入、ヤクを売りつつ使いつつ自我を保つ

Opulent Recordingsは2月7日、『Inner City Unit』を発表した。没入型麻薬取引シミュレーターと標榜されたゲームだ。

デベロッパーOpulent Recordingsは2月7日、没入型麻薬取引シミュレーター『Inner City Unit』を発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)。現時点でリリース日は未定、Steamのストアページとトレイラーが公開されている。

『Inner City Unit』は没入型の麻薬取引シミュレーターと銘打たれており、ストーリー性も兼ね備えたアドベンチャーゲームのようだ。舞台となるのは警察都市Annexia。トレイラーを見るに、ピクセルアートと3Dが融合した「2.5D」で描かれる薄暗く退廃的な街並みが特徴となりそうだ。プレイヤーは一人称視点で歩きながら、路上やクラブなどさまざまな場所で、薬物と引き換えに金銭を受け取っている。しかし、これはあくまでもこのゲームの一側面に過ぎないと思われる。

Annexiaでは、都市を支配する組織 Zigguratのエージェントたちが監視の目を光らせているという。そしてプレイヤーは裏社会に通じる老作家Albert Buchannanになりすまし「Sister Blue」と呼ばれる謎の人物の情報を探るという任務を請け負うことになる。

ところがこのAlbert本人は、薬物依存症だという。うまくなりすますためにはプレイヤーも同じ薬物を入手しなければならない。Albertであることを疑われないために使用する場面もあるようで、トレイラーでは薬物を売却する以外に、自らに使用するシーンも描かれている。薬物を使用してAlbertになりすましているうちにプレイヤーとAlbertの自我の境界は曖昧になっていくため、うまく自我を保ちながら任務を遂行する立ち回りが求められるものと思われる。

本作の薬物の描写は非常に詳細に描かれるようだ。アイコンでどのようなタイプの薬物か示されているほか、取引アイテムとしてデザイナードラッグ(法規制を逃れるために既存の薬品を作り変えた違法薬物)として知られる化合物の名前も確認でき、プレイヤーが薬物を使用する際の吸引器具や注射器なども描かれている。

またトレイラーではAlbertの他に少なくとも3人、なりすましの候補を見て取ることができる。Zigguratの情報提供者Richard Annings、ある暗号作戦の調査に赴き姿を消したYellow Mike、下級工作員Indigo Holloway……こうした複数の「アイデンティティ切り替え(Switch Identity)」を駆使してさまざまな人物・組織と接触し、時に協力し、時に裏切り、次々と任務を遂行していくことになるのだろう。

トレイラーの最後は薬物取引の現場をエージェントに見咎められ、「排除」されるシーンで幕を閉じる。プレイヤーは任務の果てに何を知るのか、それとも何も知ることなくAnnexiaに渦巻く陰謀に飲み込まれて露と消えるのか。薬物のように危険な香りを漂わせる本作の今後の動向に期待がかかる。

『Inner City Unit』はPC(Steam)向けに開発中。配信時期は未定で、現時点で日本語のサポート予定は無いようだ。

Naoto Morooka
Naoto Morooka

1000時間まではチュートリアルと言われるようなゲームが大好物。言語学や神話も好きで、ゲームに独自の言語や神話が出てくると小躍りします。

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