クレーンゲーム×ローグライク『ダンジョンクロウラー』売上20万本のヒット中、その秘訣とは。『Peglin』の影響と、“来日してゲーセン研究”までしたこだわりと

Stray Fawn Studioは1月17日、『ダンジョンクロウラー幸運ウサギと魔法の爪』の売上が20万本に到達したことを発表。GameDiscoverCoの創設者Simon Carless氏は、早期アクセス配信から2か月ほどでこの記録を達成した、人気の理由について分析している。

デベロッパーのStray Fawn Studioは1月17日、『ダンジョンクロウラー幸運ウサギと魔法の爪』(以下、ダンジョンクロウラー)の売上が20万本に到達したことを発表した。本作の人気の理由について、GameDiscoverCoの創設者Simon Carless氏は開発元から提供されたデータなどをもとに成功の秘訣を分析している。

『ダンジョンクロウラー』は、景品をアームで獲得するクレーンゲームの要素を取り入れたデッキ構築型ローグライクだ。PC(Steam)/iOS/Android向けに配信されている。本作では、多くのデッキ構築型ローグライクと同様に、複数の階層で構成されたダンジョンを進み、バトルやイベントをこなす。ターン制で行われるバトルでは背景にクレーンゲームが設置。クレーンゲームで獲得したアイテムで、バトルが進んでいく。

アイテムには攻撃用の剣、防御値を増やす盾などのほかアイテム同士をくっつけて拾いやすくするはちみつ球や、攻撃やデバフを1回限り反射する手鏡といったさまざまなアイテムも登場する。各アイテムは材質が設定されており、たとえばクレーンゲームの箱が水で満たされてしまっている場合、木製であれば浮くが、金属製であれば沈んでしまう。一方で、金属製であれば、磁石によって一度に大量のアイテムを獲得することも可能となる。それぞれの特徴を活かし、バトルを有利に進めていくのだ。

『ダンジョンクロウラー』はクレーンゲームとローグライクという意外性のある組み合わせが注目された。またレビューではバトルがアーム運に左右されてしまうと評価されつつも、つい何度も繰り返しプレイしてしまうとして中毒性が高く評価されている。さらに先述の材質の要素などを活かしたデッキ構築の面も好評。そうして人気を博した本作は、2024年11月22日の早期アクセス配信開始より約2か月となる2025年1月17日に、20万本の売上を達成したと、Stray Fawn Studioによって伝えられた。

Stray Fawn StudioがGameDiscoverCoへ提供したデータによれば、本作の売上によって、同スタジオは開発費の500%を回収しているという。また払い戻しの割合は全体の7%程度とのことで、Carless氏によればSteamのゲームにおける払い戻し率として比較的低い数値だという。ゲーム全体の売上としては、アメリカのユーザーが全体の31%を占め、続いて日本が19%、中国が9%、ドイツが8%と続いている。Carless氏は日本のストリーマーやSNSでの反響によって、日本での購買割合が増加していると推察した。

そしてCarless氏は、『ダンジョンクロウラー』がこのように大ヒットした理由について、ローグライクとクレーンゲームとの掛け合わせによる、新たなゲームプレイが提供されたことが強力な誘引剤となったのではないかと分析している。加えてデッキ構築システムを「クレーンでつかみ、アイテムを獲得する」という物理演算ベースのユニークな手段でまとめたことについても高く評価し、ヒットの理由として挙げている。

開発チームによればゲームに物理演算を導入したのは、ローグライクとパチンコを融合させた『Peglin』の影響もあるようだ。またチームで日本を訪ね、クレーンゲーム研究に時間を費やした結果、『ダンジョンクロウラー』のスタイルにたどり着いたそうだ。デッキ構築ローグライクという数多くの先駆者がいるジャンルながら、クレーンゲームと組み合わせることで、斬新さによって多くのプレイヤーを集められたのかもしれない。

このほかCarless氏は、ランダム要素が強いゲームプレイながら、プレイスキルやゲーム中の選択によって奥深い体験が生まれうる点も、好調な売り上げに貢献しているとの見方を示した。本作ではクレーンのアームは、実際のゲームセンターで見られるほどの力の弱さではない。とはいえ、取りたいと思ったものをすべて確実に取りうるほど強力なわけでもない。

そのため欲張ってリスキーな賭けに出るか、安全策を選ぶかという判断はプレイヤー側に委ねられており、ランダム要素をベースにある程度の戦略性が保持されていることも、リプレイ性の高さとゲームプレイの奥深さを両立させているといえる。リプレイ性の観点では、モバイル版も展開されており、手軽にプレイを楽しめる点も、ユーザーベースの拡大に一役買っているだろう。売上の内訳としては、Steam版が16万5000本、モバイル版が8万本とのことだ。

ちなみに本作は正式リリースに向け、継続的なアップデートを実施している。バランスの調整や不具合の修正だけでなく、今後も新アイテムや新たな敵が追加される見込み。そしてゲームメカニクスも追加されていく予定とのことだ。華々しいスタートを切った本作の、これからの動向にも注目されるところだろう。

『ダンジョンクロウラー幸運ウサギと魔法の爪』はPC(Steam)/iOS/Android向けに早期アクセス配信中だ。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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