米国で“TikTok禁止法”の巻き添えとなった『マーベル・スナップ』開発元、サービス再開と共に「パブリッシャーを変える」と表明。二度と巻き添えになりたくないとして
アメリカでは1月19日、国外で管理される一部アプリを禁止する法律が発効。実質TikTokと運営元ByteDanceの関連アプリを狙ったこの法律の巻き添えとなり、デジタルカードゲーム『MARVEL SNAP(マーベル・スナップ)』などのゲームが一時的に米国内でプレイ不可能となった。
一方で日本時間1月21日には大統領令により、禁止措置の施行が75日間延期されることに。これに伴って『MARVEL SNAP』のサービスも再開されたものの、開発元であるSecond Dinnerは新たなパブリッシャーを探すことを表明している。
今回米国にて発効したのは「外国の敵対勢力によって管理されているアプリから米国人を保護する法律(Protecting Americans from Foreign Adversary Controlled Applications Act)」だ。同法はTikTokを筆頭とした中国企業ByteDanceと関連企業が手がけるアプリのほか、大統領により米国の国家安全保障に重大な脅威をもたらすと判断された企業のアプリに対して制限をかける。
禁止措置については、先述の大統領令により75日間の施行の猶予が設けられた。またドナルド・トランプ大統領は米国側がTikTok米事業の半分を所有し、新たな合弁事業とすることが望ましいとして、アプリ存続の条件を示唆している(NHK)。一方ByteDanceがそうした条件を呑まない限りは、猶予期間後に取り締まり対象アプリの配信に対して制裁金といったペナルティが課されるかたちだ。
そして同法発効から大統領令が発令されるまでには、米国にてTikTokと関連アプリが一時使用不可能となった。ByteDance傘下の販売元・Nuverseが配信を担う『MARVEL SNAP』についても同様。同作はマーベルの世界観をもとにしたデジタルカードゲーム。2022年10月にPC(Steam)/iOS/Android向けに基本プレイ無料にてリリースされ、累計2200万ダウンロードを記録している人気作品だ。
『MARVEL SNAP』の開発元Second Dinnerは1月19日、Xにて「米国で一時的に『MARVEL SNAP』が利用不可能になっている」と報告。同作の停止はまったくの予想外だったとしつつ、復旧に取り組むと伝えた(関連記事)。
そして大統領令の発令後となる1月21日、米国内での『MARVEL SNAP』の提供が再開された。さらにSecond Dinnerは再開の報告に際して、同社内でより多くのサービスを手がけられるようにしていくと表明。さらに新たなパブリッシャーと提携予定であることを明かしている。Nuverseとの提携を解消するか、あるいは米国での配信における新たなパブリッシャーとの提携が検討されているのだろう。利用不可能となるような事態が二度と起こらないようにするための決定だそうで、「『MARVEL SNAP』の新たな時代の幕開け」になるという。
なおSecond DinnerとNuverseの間には、過去にも提携解消の可能性が生じたことがあった。2023年11月には、ByteDanceがゲーム事業を再編し、Nuverseを閉鎖する可能性があることが報じられた。Second Dinnerはこの報道を受けて寄せられたユーザーの懸念に返答するかたちで、Nuverseがどのような変化を遂げようとも、『MARVEL SNAP』の運営を継続すると表明していた。また2024年1月にSecond Dinnerは、投資会社Griffin Gaming Partnersから1億ドル(約140億円)の調達に成功した(関連記事1、関連記事2)。
ただし結果的にByteDanceの事業再編においてNuverseは閉鎖を免れ、新たなCEOであるZhang Yunfan氏のもとで再出発。『MARVEL SNAP』も引き続きNuverseが配信を担当していたわけだ。
今回は米国の新たな法律により、ByteDanceと関連企業が手がけるアプリの米国での配信について先行きが不透明な状況となっている。Second Dinnerとしては、『MARVEL SNAP』の人気や独自の資金調達に成功した実績もある。配信元の事情で利用不可能になりうる懸念を払しょくするために、少なくとも米国では新たなパブリッシャーとの提携がおこなわれるわけだろう。続報も注目される。
『マーベル・スナップ(MARVEL SNAP)』はPC(Steam)およびiOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中だ。