Discord社、サブスクサービス「Nitro」の解約方法が分かりにくいとして、集団訴訟を起こされる。地味めなキャンセルボタンなどが問題視
Discord社は12月17日、「Discord」のサブスクリプションサービスの解約方法が分かりづらいとして、米国カリフォルニア州のユーザーから集団訴訟を提起されていたことが明らかとなった。
Discordは、文字でのチャット・音声通話・画面共有などが可能なアプリだ。ユーザーが好みのテーマのサーバーを立て、そこにほかのユーザーが集う仕組みが特徴。PC/スマートフォンのほか、PS/Xbox向けにも連携機能が用意されている。またサブスクリプションサービス「Nitro」に加入することで、アップロードできるファイルサイズの上限拡張や、参加しているサーバーに特典を与えるサーバーブーストといったサービスが用意されている。
今回、弁護士のRob Freund氏が、カリフォルニア州において現地時間12月17日に、Discord社がNitroの「解約しにくさ」を巡って集団訴訟を提起された事例を紹介した。同氏は、マーケティングやECビジネスを専門とする、カリフォルニア州南部に拠点をおく弁護士だ。これまでにもXアカウントにて訴状と共にさまざまな興味深い事例を紹介してきた人物で、今回も同氏が入手した文書の一部とみられる画像を投稿している。
文書では、DiscordのNitroの解約手続きが説明されており、ユーザー設定において目立つ場所に直接解約できるリンクやボタンが置かれていないと指摘されている。その代わりに設定内の「サブスクリプション」タブにてキャンセルボタンを押す必要があることに言及。そのキャンセルボタンが小さく目立たないとの見解が示されている。なお「サブスクリプション」タブは、「請求設定」として括られた5項目のうちのひとつであり、この点も分かりにくさに繋がっているかもしれない。
文書ではそうした仕様が、カリフォルニア州法のBusiness and Professions Code 17602条に抵触していると主張されている。同法では、自動更新を伴うサービスの提供において、オンラインにて使いやすい仕組みで適時に解約できるシステムを求めることなどが定められている。Nitroの解約はそうした要件を満たさないという主張のようだ。ちなみに日本語版Discordにおいても、キャンセルボタンよりもプランの切り替えボタンの方が目立つデザインとなっている。
ほか、文書ではNitroの解約についての“解説動画”が複数投稿されている状況も示された。なかでも昨年6月に投稿された動画は本稿執筆時点で再生回数が11万回となっており、「Nitroの解約方法が分からない」といった一定の需要があることもうかがえる。
Rob氏は上述のように文書の一部を紹介したのみであるが、集団訴訟ではそうした仕組みの是正や払い戻しなどが求められているのだろう。とはいえ今回指摘されたような解約の仕組みは、DiscordのNitroに限ったシステムではないだろう。たとえばキャンセルボタンが目立ちにくいといったデザインは、ほかのサブスクリプションサービスでも見られる。そうした点が問題視されるかもしれない判例としても、今回のDiscordの裁判の行方は注目される。