謎の新作ネコ育成ゲーム『CATLY』に「生成AI使いまくり疑惑」生じるも、開発元は否定。クセ強リアルネコ描写に疑いの目
SuperAuthentiが12月13日に発表したアドベンチャーゲーム『CATLY』。同作について「生成AIを用いているのではないか」といった推測などが寄せられている。SuperAuthentiはメディアを通してこの疑惑を否定。トレイラーやゲームはさまざまなソフトウェアを組み合わせて作成していると主張している。
『CATLY』は、ネコとの日々が体験できるアドベンチャーゲームだ。対応プラットフォームはPC(Steam)およびNintendo Switch/Apple Watch。本作では、オープンワールドを採用しており、美麗なグラフィックで表現されたネコたちと、自分でクラフトした島で過ごすことができるゲームになるそうだ。またアクセサリーを作成し、ネコの個性に合わせて飾り付けてカスタマイズすることもできるという。
本作は12月13日、「The Game Awards 2024」(以下、TGA)にて発表され、大きな注目を集めた。ただ本作についてはいくつかの疑惑がもたれることとなる。というもの、TGAにて発表された『CATLY』のトレイラーを視聴したXユーザーのPeashy Hachi氏を中心として、「生成AIによって作られているのではないか」と推測し、調査がおこなわれたようだ。さらに同氏の報告を受け、追加で複数ユーザーによる調査も実施され、結果が共有されている。
デベロッパーのSuperAuthentiは、Kevin Yeung氏が共同創設者とされている。同氏はTent Planetの共同創設者でもあった。Tenth Planetはゲームと金融(finance)を組み合わせ、NFTなどを採用するGameFi業界に向けたゲームを制作しており、2022年に複数のNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)ゲームを発表。その中には、猫の生活を描いた、メタバースのシミュレーションゲーム『Alien Mews』も含まれていた。
ユーザーはそうした情報を報告しているほか、中には公式サイトで公開されている各種画像についても生成AI特有の不自然さがあるとする見方も存在。決定的な証拠はないものの、疑いの目を向けられている様子だ。
一方でこの疑惑について問い合わせた米IGNに対し、SuperAuthentiが回答。同社の広報担当者によれば、トレイラーおよびゲームの制作には生成AIを用いておらず、そもそも公開したようなトレイラーを制作できるような既存のAIツールは存在しない、と主張した。またゲームについては、Unreal Engine 5で制作しており、猫の毛皮などを制作するためにさまざまなソフトウェアを使用しているとのこと。このほか『CATLY』とSuperAuthentiはブロックチェーン技術に一切関与しておらず、NFTも存在しないと伝えられている。
ゲーム業界でも生成AIがさまざまなかたちで利用されているものの、学習データとして無数の著作物が用いられうる可能性などから、権利を巡る懸念は依然として課題となっている。そうした中で、AIが生成したようにも見える独特なアートスタイルの『CATLY』に向けては、疑念が生じることとなったようだ。
ちなみに本作のSteamストアページでは、『マーベル・スナップ』の開発元Second DinnerにてChief Development Officerを務めるBen Brode氏のコメントが宣伝に用いられている。このことについてユーザーから問われた同氏は、数か月前に本作のゲームプレイ映像を見る機会があったことを報告。同氏いわくプレイアブルなデモ版ではなかったものの非常にリアルであったとのこと。同氏の証言に基づけば、少なくともゲームプレイ映像を制作できる開発段階にあるのだろう。
なおSuperAuthentiは先述のとおり“AI生成疑惑”を否定しているものの、本稿執筆時点で公式サイトからはユーザーから問題視された先述の画像が削除。そしてSteamストアページでは指摘のあったスクリーンショットが変更され、ゲームの説明文が書き換えられるなど、急遽対応されている様子も見える。リリースに向けて今回生じたような疑惑を払拭できるかどうかは、注目されるところかもしれない。