EA、「アクセシビリティ系の特許23件」を無料開放。精度良好な音声認識など、幅広いユーザー向け機能を無料で使えるように

Electronic Artsは現地時間12月5日、公式サイトにてアクセシビリティ関連の複数の特許を新たに公開。これらはライセンス料を支払うことなく使用可能だ。特許のなかには、音声認識に関連したものなどが含まれている。

Electronic Arts(EA)は現地時間12月5日、公式サイトにてアクセシビリティ関連の複数の特許を新たに公開した。公開された特許は著作権使用料が無料で共有されているため、ゲーム開発者はライセンス料を支払うことなく、この特許を使用することが可能だ。

EAは「アクセシビリティ向上のための特許開放誓約」として一部の特許をロイヤリティフリーで公開。ゲームアクセシビリティ関連の技術を共有する取り組みをおこなっている。EAによれば、ゲームとプレイヤーを隔てるものをなくし、ゲームコミュニティの多様なニーズに応えられるようにすることが狙いのようだ。具体的には、視覚、聴覚、言語、認知能力に関する障害のある人たちのための技術が含まれている。

今回の発表で追加された特許は23個にわたる。特許のなかには、テキストデータを元に、希望する話し方や話者の属性に応じた音声を生成するものがある。発話でのコミュニケーションが難しい場合などに活用できるだろう。また音声認識に関しては、ユーザーの方言や発音の違い、さらには発話障害も含んだ発声の違いに対応し、音声認識の精度を向上させるものもある。

またEAは今回、昨年オープンソース化した光感受性解析技術「IRIS」をUnreal Engine 5向けにプラグインとして提供を開始した。ゲーム内では映像による視覚刺激によって、目の痛みやけいれんといった光感受性発作をおこすことがある。IRISの利用によって、ゲーム開発者はゲーム実行中に、光感受性に影響を与えうるフレームをリアルタイムで特定・解析できるようになるという。

こうしたEAの取り組みは以前より継続しておこなわれている。たとえば2021年には『Apex Legends』におけるピン機能を含んだ5つの特許を公開。これらは視覚、ないしは聴覚に障害を持つプレイヤーを助けるアクセシビリティ関連機能であり、一部機能についてはGitHub上でも公開されていた(関連記事)。

なお今回の特許は、12月3日の国際障害者デーにあわせて開放された。国際障害者デーは、障害に関わる課題に対する意識を向上させ、すべての人が参加できる社会を目指す取り組みを促進することを目的としている。EAは特許の無料開放を通して、ゲーム業界におけるこうした取り組みを推し進めている格好だ。今後メーカーを問わずさまざまな作品に開放された特許が活用されていくことも期待されるだろう。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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