『モンスターハンターワイルズ』製品版は、ベータテストからゲームプレイ改善や“弱い武器”の強化など「大改修」。これまでの“反省”や製品版の目標パフォーマンスも訊いた、開発者合同インタビュー

『モンスターハンターワイルズ』のプレビューイベントにて、開発陣への合同インタビューがおこなわれた。プロデューサーの辻本良三氏、ディレクターの徳田優也氏、エグゼクティブディレクター/アートディレクターの藤岡要氏に向けて、ベータテストや新要素についてさまざま訊いた。

カプコンは来年2月28日、『モンスターハンターワイルズ』を発売予定。『モンスターハンター』シリーズの約4年ぶりの新作として世界的な注目が集まるタイトルだ。10月末から11月初頭にかけてはベータテストも実施され、盛況を博していた。

このたび弊誌は、カプコンより『モンスターハンターワイルズ』(以下、ワイルズ)のプレビューツアーに参加。このなかではベータテストになかった内容が含まれるプレビュー版も試遊することができた(弊誌試遊プレイ感想記事弊誌スタジオ取材記事)。また開発のリーダー陣となるプロデューサーの辻本良三氏、ディレクターの徳田優也氏、エグゼクティブディレクター/アートディレクターの藤岡要氏に向けて、複数メディアでの合同インタビューの機会が設けられた。本稿ではインタビューの内容をお届けする。

左から藤岡要氏、辻本良三氏、徳田優也氏


── 本作では『モンスターハンター:ワールド』(以下、ワールド)や「アイスボーン」と同じくベータテストが実施されました。体験版ではなく、あえてベータテストを実施したきっかけや狙いはありましたか?

辻本良三氏(以下、辻本氏):
まず技術的なところでいうと、初めてマルチプラットフォームのクロスプレイを実装しますので、新しいサーバーやネットワークを試したかったのがベータテストを実施した大きな理由ですね。社内の方でも技術的なテストはやっていたんですけど、皆さんに触ってもらう環境でのテストもやはり必要だったので。あとは、短期間で限定的にプレイしていただくことによって、発売時にゲームの醍醐味を皆さんがフラットな状態で遊んでもらえる環境を作りたかったのもありますね。

── 製品版に向けて、動作のパフォーマンスについての目標はありますか?

徳田優也氏(以下、徳田氏):
『ワールド』でも解像度優先の通常モードで遊ぶ場合にはおよそ30fps以上出るように作っていましたので、『ワイルズ』でもPS5版では解像度優先モードも4Kで30fps以上を目指して最適化を進めています。なおベータテストでは、フレームレート優先モードの描画が上手く機能していなかったところがありました。特に羽毛の表現や、髪の毛の表現はジャギーが発生したり、ドット感が目立つ状態になっていて、不都合が残ったままプレイしてもらうかたちになり心苦しいところでした。

フレームレートは出るけどグラフィックが美しくないといった意見も多くありましたし、今のバージョンでもその辺りはかなりかなり改善されています。製品版に向けてさらに改善を進めており、フレームレート優先モードでも解像度優先モードでも、好みのモードで遊びやすいところを目指してそれぞれ最適化しております。

── ベータテストから製品版に向けて大きな調整が入る武器種は何でしょうか?

徳田氏:
そちらも改めてまとめて発表予定ですが先に紹介すると、特にランス、スラッシュアックス、操虫棍、片手剣あたりはベータテストと製品版でかなり違いがあるかと思います。逆に太刀や弓のような武器の手軽すぎて強い部分は、気持ち良さをしっかり残しつつダメージの幅をほかの武器とのバランスを見て下げる調整をおこなう武器もあります。ただ、「その武器一択」のようになる強すぎる部分は調整しますが、強い武器の性能を下げるより弱い武器の性能を上げる方針で格差を埋めるバランスを取っていく方針です。

ちなみに予定されている中には、ベータテストに間に合わなかったものの製品版に向けて元々計画されていた修正・調整もあります。一方で、ベータテストの結果を受けて、こちらが意図していなかったり機能していなかったりする部分はいくつかありました。できることの幅を広げながら、その武器のコンセプトや触り心地の良さを実現していきたいですね。またベータテスト時点ではまだスキルもほとんどありませんでしたし、エンドコンテンツを見たときのバランスも考慮したいので、そこはちゃんと見定めながら製品版に向けて調整しています。


── ベータテストでは過去作の斬り上げ系の攻撃やガンランスの竜撃砲などにあった、味方を吹き飛ばす仕様がかなり緩和されて話題になっていました(関連記事)。なぜ本作で吹き飛ばしをなくしたのでしょうか?

徳田氏:
これまで吹き飛ばしを採用していたのは、リアリティの面もありますし、それがプラスにもマイナスにもなることも加味しながら遊んでほしい意図がありました。ただ近年、プレイヤーの皆さんのいわゆるフレンドリーファイアへの印象も変わっているかと判断したのが理由のひとつになります。

あと『ワイルズ』ではゲームテンポも加速していますし傷口システムもあります。マルチプレイにおいて、集中して攻撃したいのに吹き飛ばし攻撃の存在で委縮するような場面が出てくるのは良くないなとも考えました。ちなみにベータテストではハンマーのかち上げが一部残っていたのですが、製品版では撤廃予定です。ハンマー一筋で世界一多く人をかち上げていたと思われる辻本にももちろん、「変えていいですか?」という話を通しています(笑)

一同:
(笑)

徳田氏:
あとは『サンブレイク』から登場した装飾品「緩衝珠」も引き続き用意してますので、尻もちのダメージリアクションも気になる方はさらなるオプションとして利用できるかと思います。

── 武器といえば、今回のプレビュー版では加工屋が利用できましたね。

徳田氏:
そうですね。加工屋については、製品版ではハンターの状態を見ながら、そのときに応じた武装をおすすめしてくれる機能も実装予定です。またいろんなタイミングで「装備整えないか」と聞いてくれますので、装備を変えるタイミングは過去作より気づきやすくなっているかと思います。

── トレーニングエリアもありましたが、設定項目が多彩で驚きました。

徳田氏:
『ワイルズ』では「相殺」のようなモンスター側の行動に応じて発動できる武器の新アクションもあるので、いろんな条件で試したり練習したりできるようにしています。装備を強化したときに、どのくらいダメージアップなどの効果があるのか、みたいなところも細かくチェックできるようにしています。

── なるほど。ちなみにベータテストではなぜトレーニングエリアがなかったのでしょうか?

徳田氏:
まずはサーバーテストを主目的としていたので、プレイヤーの皆さんには実際にクエストを回していただきたかったことが理由としてあります。あと、数値面は製品版に向けて大きく調整されるため、ベータテスト時点でいろいろ解析していただいても無駄になってしまうことも理由のひとつでした。

そのためベータテストではチャタカブラが皆さんの練習台になっていたようで、討伐数が凄かったです(笑)『ワールド』もそうでしたが、サーバーからは討伐数やクリア率、武器の種類などいろんなデータが取れますので、そうしたデータも製品版の開発に活かしてます。


── プレビュー版ではサークル機能も確認できました。どのような仕組みなんでしょうか?

徳田氏:
『ワールド』に近い形にはなります。サークルのメンバーが、専用のチャットを通じてコミュニケーションを取れるような機能として、ゲームの最初のほうから使えるようにしています。

── 本作ではマルチプレイではなくCPUキャラであるサポートハンターと協力も可能ですが、強さはどのようなバランスになっているのでしょうか?

徳田氏:
時間効率という面では、平均的なハンター3~4人が揃った時よりは時間がかかるような火力の出し具合に調整しています。その代わり、たとえば罠を使ってくれたり、体力を回復してくれたり、サポートに積極的な気配り上手なプレイヤーと一緒に遊んだときのようなプレイ感覚を想定していますね。

ほかには、傷口をサポートハンターが破壊しないようにしたり、乗り攻撃をしないようにしたりするオプションも用意しています。サポートハンターによってはたとえば乗りが得意な特性をもつハンターもいるのですが、プレイヤーが自分でやりたい場合もあると思いますので、好みのプレイスタイルに沿った設定をできるようにしています。

またゲームが進んでいくとサポートハンターのサポート力も上がっていきますので、モンスターが強くなっても頼りなくなることはないです。ずっと同じぐらいのサポート力を最後まで発揮してくれるような設計にしています。

── プレビュー版では新モンスター「ケマトリス」も実装されていました。尻尾を駆使した火炎攻撃など想像以上に個性的なモンスターでしたが、どのようなコンセプトがあるのでしょうか?

藤岡要氏(以下、藤岡氏):
序盤の火属性のモンスターについては当初から企画していました。なぜか『モンスターハンター』の導入部のモンスターは火属性が多くて、ある種の伝統かもしれません(笑)ただ単純に火を吐くだけだと今までと表現が変わらないので、いろんなアイデアを持ち寄って、特殊なガスにヤスリで火花を散らして引火させるギミックが面白そうだなと思ったところが原点になっています。鶏っぽい見た目でふわっとした羽毛がありつつ、尻尾で火花を起こすところが特徴になるようなデザインにしています。序盤に出てくるモンスターなので造形的にはシンプルめにしていますね。

── 尻尾を使う二足歩行のモンスターとして過去作にはディノバルドもいましたが、動きはかなり異なっていますね。

藤岡氏:
ディノバルドは斬りつける感じの尻尾の使い方がメインでしたが、ケマトリスではそれよりはもっと広範囲的に、ちょっと時間差をつけて火をパッと広げるような動きにしています。プレイヤーにもそうした動きを意識させる立ち回りにしていますね。火属性や範囲攻撃に対してどう対処していくかを考えさせる、序盤のモンスターとしてある種「先生」的なポジションになっているかと思います。

徳田氏:
チャタカブラは“点”で攻撃してくるので避けやすいですし、丸っこい体型なのでプレイヤー側は逆に攻撃の狙いをつけやすいかと思います。対してケマトリスでは尻尾をなぎ払うような範囲攻撃に対処してもらいつつ、プレイヤー側が攻撃する際に位置取りが重要になる縦長の体型で設計しました。なので、尻尾が長い獣竜種のモンスターとしてデザインしてもらいましたね。

藤岡氏:
あとは火の表現にもこだわっていて、草に燃え広がる様子や質感がしっかりと感じられるかと思います。いろいろ研究・検証した部分なので、ケマトリス戦ではぜひ注目してほしいです。


── 『ワイルズ』ではキャンプで自炊する方式になり調理場がなくなって実は寂しかったのですが、プレビュー版ではイベントで村人との賑やかな食事シーンを確認できました。ナンのような食べ物がふんわりとちぎれる表現などめちゃめちゃ気合が入っていますね(笑)

藤岡氏:
それ、一番最初に作ったところです(笑)

── (笑)やはり本作も含めて『モンスターハンター』では食事や料理シーンは力を入れる方針があるのでしょうか?

藤岡氏:
方針としてあるかどうかは分からないですが、僕はすごく大事なところだと考えていますね。今までのシリーズだといろんな食べ物を山盛りにした手の込んだ料理でしたが、本作ではかなりシンプルだけど、食感や風味が感じられるようなところにフォーカスして絵を作ろうとしました。ナンがちぎれる表現とか、チーズがとろける描写とかは本当に何回も何回もテイクを重ねました。素朴な料理でどこまで美味しそうに表現できるかを挑戦したかったので、めちゃくちゃこだわった部分です。

徳田氏:
新たな舞台で現地に住んでいる人の食文化に触れたり関係性を築いたりといった表現としても、食事シーンは大事だと考えています。ゲームとしてステータスアップの恩恵もありますし、ゲーム的な意味もしっかりもたせながら地域によって変化を付けてます。

── ストーリーに関して、たとえば隔ての砂原では砂嵐に関する言及が物語の中で見受けられますが、気象のサイクルについてはストーリー上でも重要な要素になるんでしょうか?

徳田氏:
そうですね。荒廃期、異常気象、豊穣期というサイクルは禁足地において、人も含めた生態環境に関わっていて「なぜ発生するのか」みたいな謎に迫るストーリーラインにしています。周期のサイクルは単純なゲームの一要素ではなく、その奥にあるエコシステムというか、生態系の設定にも紐付いた存在にしていますね。

── 隔ての砂原以外のエリアでも環境の周期は同じようなサイクルになるのでしょうか?

藤岡氏:
はい。ストーリーを進めていくと、なぜそうなっているのかもどんどんわかってくるかと思うので、楽しみにしていただければと。ゲームプレイ中にも各時期によっていろんなメリット・デメリットがあり、ストーリー的に禁足地の人々の感覚を知って没入感も生まれつつ、ゲームプレイにも反映される仕組みにしています。


── ベータテストにはなかったエリア「緋の森」をプレイした印象として、『ワールド』の古代樹の森以上にうっそうと茂っていて密度を感じました。それでいて隔ての砂原と同じくフレームレートなどパフォーマンスは安定しているのが驚きで、どのような工夫があったのでしょうか?

藤岡氏:
森の鬱蒼とした感じは、当初からかなり思い切って出そうしていたところでしたね。あとは、荒廃期における視界が悪い雰囲気など、森としての雰囲気作りにはこだわりました。ただ異常気象になるとさらに視界がどんどん変化していきますし、プレイにおいて遊びやすいかどうかは注意して調整した部分です。

あと、森は同じような景色になりがちなので特徴付けもして、「緋の森」と呼ばれる所以が感じられたり、エリアごとの差をしっかり出したり、高台から森全体を見渡せたりと、工夫を凝らしてます。時期によって彩りも大きく変化するマップで、かなり印象が変わるようにたくさん工夫も仕込んでいます。そうした変化も楽しんでいただければと。

徳田氏:
技術的な部分では、まず隔ての砂原ではワイドで見晴らしのいいフィールドを目指していました。モンスターの群れなども見えますし、さらに砂原といっても草も生えていますので、モンスターの量との兼ね合いで管理するのが大変なところでした。

そして緋の森に関してはもう、とにかくアセット数が凄いです。隔ての砂原もプロトタイプを作る際はもの凄く苦労したのですが、緋の森はもう大変でした(笑)うっそうとした感じを出そうとすると、表示するものも多くなりますので、それも含めた処理をどう保って行くのかには、一番苦労したマップといってもいいですね。草木だけでなく、水も流れていますし、エンジニアたちがいまだに取り組んでいるところです。


── 緋の森に登場する新モンスター「ラバラ・バリナ」のコンセプトについて詳しくお聞きしてもよいでしょうか。

藤岡氏:
ラバラ・バリナについては、当初別々のデザインのアイデアがあったところを統合して形にしています。元々細長い手足のモンスターにする予定で、バレリーナのように白い羽毛のようなものをまとったイメージが考案されていました。そこにボリューム感を出すためにバラのモチーフを取り入れていて、そういった二面性をしっかりキャラクター性として感じてもらえるデザインにできたかなと思います。あとは巣も含めて、緋の森の赤い水とも紐付いたデザインになっていますね。

ゲームプレイにおいてはせっかくバラを広げるので特徴的な攻撃も作ろうということになり、ハンターを麻痺させる赤い綿毛を周囲に振りまく攻撃をもたせています。今までのモンスターと違って単純な飛び道具ではなく、時間差をおいて上から降らせてくるようにしていて、新しい遊びに繋がればと考えています。ちなみに赤い綿毛は遠距離武器で撃って破壊することもできますし、マルチプレイではお互いに役回りを決めてサポートしあうのもいいかもしれません。

徳田氏:
ゲーム的には回り込み行動を多用してくるモンスターなので、カメラ操作やターゲットロックなど、チャタカブラやケマトリスとは違った操作に習熟していただく意図をもって設計しています。“置き麻痺”のような綿毛攻撃でプレイヤーに空間を認識させつつ、さらに回り込んでくるラバラ・バリナに対して上手く対応していただくようなモンスターになっているかなと。

── そういえばラバラ・バリナは作中で「刺花蜘蛛」とも呼ばれるモンスターですが、蜘蛛恐怖症対策モードが適用されないんですね。蜘蛛恐怖症対策モードも含め、ベータテストではUIの細やかなカスタマイズなど、アクセシビリティの幅広さも注目されていました(関連記事)。どのようなこだわりや考えがあるのでしょうか?

徳田氏:
幅広いプレイヤーの皆さまに遊んでいただきたいのが大前提にありますので、モニターのサイズなど環境を問わず遊びやすいように、いろんなニーズに対応できるようにアクセシビリティはかなり力を入れて設計しています。

蜘蛛恐怖症対策モードについては、ラバラ・バリナのような大型モンスターでは当たり判定などにも影響するので適用されませんが、環境生物や小型モンスターなど小さなモンスターの見た目を変えてくれる機能になります。やはり表現がリアルになったこともあり、蜘蛛のような多脚のモンスターがいるだけで購入のハードルになるのではないかといった意見もテスターから集まっていたので。ゲームプレイの根幹には関わらない表現を中心にいろいろ検証を進めて、チームの意見を反映しつつ、アクセシビリティ設定を拡充していますね。


── ちなみにモンスターのデザインにおいて、たとえばラバラ・バリナの蜘蛛っぽさを抑えるといった意図はありましたか?

藤岡氏:
蜘蛛風の見た目の鋏角種のモンスターであっても、そこは意識せずに思い切ってデザインに取り組んでおります。なので、虫らしい造形も含めて積極的に取り込んでいます。とはいえちゃんとキャラクターとしても魅力のあるデザインにしたいので、ラバラ・バリナだったらバラのようなモチーフを取り入れています。ファンタジックな要素も含めて、全体をキャラクターとして感じてもらえればと思います。

── 久しぶりに復活を遂げる「ババコンガ」についても教えてください。

藤岡氏:
ババコンガについては『モンスターハンターダブルクロス』ぶりの登場になりますね。久しぶりの登場なので、表現力も込みでかなり作り直しています。従来の愛嬌もありつつ、森の奥底に住まうモンスターらしさを感じてもらえるようになっていると思いますよ。

徳田氏:
実はババコンガは僕が『モンスターハンター2(ドス)』のときに初めてプランナーとして作った大型モンスターなんです。復活させるにあたっては凄く懐かしくもあり「なんでこんなん作ったんだろう」という気持ちになりながら、スタッフと一緒に昔のババコンガを紐解いていました(笑)現代化するにあたって残していく技と、追加する行動は吟味しながら対応していました。

── 東京ゲームショウ2024でのババコンガの復活発表時はファンも沸き立っていましたね(関連記事)。

徳田氏:
あんなに喜んでいただけたのは驚きでした(笑)

藤岡氏:
ババコンガ史上あれがマックスですね。あれ以上はもうない。

一同:
(笑)


── 最後に、ベータテストを通して集まったユーザー反応の中で、一番嬉しかった反応は何でしょうか?

藤岡氏:
皆さんがちゃんと楽しんでくれていたのは嬉しかったですね。本作ではストーリーラインの見せ方やチュートリアルなどを、シームレスでどんどん展開させて没入感をもたせて作ろうと取り組んでいました。なので、プレイヤーが引っかかって遊びにくくなっていないかどうかは注目していましたが、スムーズにプレイいただけましたし、周回して遊んでくれる人もいて。コンセプトがちゃんとプレイヤーの皆さんに届いたのは安心材料でした。

徳田氏:
今回のテストで遊んでいただきたかったところは大きく分けて2つあり、「ストーリーの没入感をもってクエストに入ってもらう」ところと「ある程度自由に遊びながらフィールドがどんどん変化していく中で、やりたいことを見つけて遊んでもらう」ところでした。その2つをテストできるような環境にしたので、今までの『モンスターハンター』シリーズのテストや体験版とはかなり構造が違っていました。従来は初心者のクエストと上級者クエスト、みたいなクエスト単位で用意していたので。構造の変化がどんな風に受け止められるか不安もあったんですけど、新しい感覚をスムーズに皆さんに捉えていただけたようですごく安心したところでした。

藤岡氏:
あとはキャラメイクでいろいろ作っていただけたのも嬉しかったですね。『ワールド』ではキャラメイクで作った感じと、ゲーム内の印象がどうしても差が出やすくなっていました。構造上仕方がないところもあったんですけど、そこはかなりフィードバックをもらっていたので、『ワイルズ』では凄く意識して改善しています。ベータテストの反応を見ていると、『ワイルズ』でのキャラメイク時とゲームに入った時に印象の差については違和感なく受け入れてもらえたかと思っていて、改善に取り組んだ部分として手応えを感じました。

あと、キャラメイクの幅についても今回はデザイナーとかなり協議しています。たとえば「可愛い」キャラを作るにしても人それぞれの可愛いがありますし、上手く反映できるような仕組みになるように取り組んでいますね。キャラメイクの幅についても、皆さんに楽しんでもらえていたので凄く良かったなと思ってます。


辻本氏:
楽しんでもらいたいところが伝わって、遊んでもらえた感触があったのは一番嬉しかった部分ですね。いろんなところで話題になって、動画もたくさん作られていましたし、開発チームとして大満足のベータテストでした。

ただベータテストについてはあくまで専用のバージョンなので、製品版と違うところがいくつもあります。ベータテストを踏まえて製品版に反映されるところも当然ありますので、ベータテストは最終形ではありません!また製品版で変わるところや、ベータテストを受けて反映する部分、それらの調整意図などをまとめてお伝えするタイミングを作る予定です。

── ありがとうございました。

モンスターハンターワイルズ』はPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに来年2月28日に発売予定。

[聞き手・執筆:Hideaki Fujiwara]
[編集:Ayuo Kawase]

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